ACアダプターの接触不良を簡単に直す。DCジャックのばね修理編


 今回は家電の修理。充電や給電できない時のメンテナンス。
ACアダプタでDCジャックの接触不良は多いトラブルです。

今回はDCジャック側の修理。ネットであまり見かけなかったので記事を書いた。似た例ではヘッドフォン端子の接触不良も今回の修理が応用可能。

誰でも簡単にできる方法と、使った道具や用品を紹介する。

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■ はじめに 


 
Laptop AC Adapter / aprilandrandy

Slater

 今回はACアダプターを使う機器の修理。DCジャックの接触不良対策。
最近の家電は充電端子はUSBが増えた。しかし古い家電や小型家電、大容量を扱うノートPCやオーディオでは未だにDCジャックを使用するものが有る。

今回紹介するのは、接触不良で通電や充電が出来ないトラブル。


 ■ トラブル ~ DCジャックの接触不良。

 
DC Barrel Power Jack/Connector (SMD) / SparkFunElectronics


ACアダプターやDCジャックの使用で困ることが有る。それは接触不良。

端子の不具合で通電や充電が不可になる。
まだ寿命には早いと考えられる家電品が使用できなくなる。


ACアダプタのコードはひ弱な場合が多くて接触不良が起きやすい。またDCジャックも同様。抜き差しを繰り返すうちに不具合が出る。

 ■ 状況 エラーと発生傾向。

 よくあるのが『通電したりしなかったりする』パターン。
例えば 端子根元を触ると、まれに通電する場合だ。


■ エラーが出やすい状況

 端子の抜き差しが多い、移動が多い製品などで発生しやすい。
例えば小型家電などで充電回数が多い場合だ。携帯扇風機や掃除機などのバッテリー内蔵機器。


■ その他 ~ 断線や半田割れの場合

 修理では難度が高い。
なおACアダプターの断線ならば買い買えが無難だ。ショートや発火の危険がある。また価格と労力、リスクが釣り合わない。 今記事では取り扱わない。





 ■ DCジャックをメンテナンスする。


OK these really are the last photos of Unboxing the Bug from Bug Labs-20081206-6 / roland


  今回は頑張って直す。

ACアダプターは意外と価格が高い。 また純正が無い場合は互換品を調べるのも大変だ。
酷使しての寿命なら諦めるが不具合なら直したい。壊れている製品が有ると手間やストレスになるので修理する。だめだったら踏ん切りがつく。

 ● 対象
題材は、実際に接触不良が出た小型扇風機の修理。




 
■ メンテ概要


 修理の概要。
今回は実際に家電品を整備する。

流れは 検査→修理と清掃→確認。


■ 工具類 - 


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 作業の全体で使う機器と工具を紹介。

必ず必要なのは検査機能付き充電器。

細かい工具や用品は行程毎に紹介する。必要なものを選んで下さい。



■ テスター

 ACアダプターの通電を確認するためにテスターを使用する。
検電テスターでも構わない。

国内メーカー品でも1~2千円程度で購入可能だ。
家電のチエックや車の電圧測定など、日常で結構使うので持っておくと良い。

・オーム(OHM) デジタルテスター 普及型 大型ロータリースイッチ トランジスターチェック機能付き オーム電機 TST-KJ830 08-1288

 



・小型デジタルテスター/マルチメーター DT-830B

 低価格なテスター。ただし耐久性は余り無い。
本体はまずまずだがコード部の断線が多い。

初心者向け。テスターになれるのに向いている





● その他の工具類。

 電気加工以外のちょっとした道具。
お家にあるものでも可能です。

今回は、端子の修理にピンセットを使用した




・無水エタノール

 ホコリ取りや汚れとりに便利。
日常でも掃除に便利なのでお勧め。キッチンの掃除やシールはがし、家電品の掃除にも使える。

 単にエタノールの商品名でも、エタノール(C2H6O)のみの製品が掃除や汚れ落としに便利。なお消毒用や掃除用に、エタノールIPなどの製品名の物は添加で溶剤のイソプロパノールが入っている製品があるので注意。塗料やコートを溶かす。 




・綿棒 ジョンソン

 定番製品。
精密機器の掃除や、エタノールを使って細かい汚れやホコリ取りに使える。
ジョンソン製は繊維がふやけにくい・ほどけにくくて使いやすい。 安物は折れたり繊維が抜けるのでジョンソンをお薦め。




・TAMIYA 精密ピンセット (ツル首タイプ)
 タミヤ

 精度が高めのピンセット。薄いものでもつかみやすい。
掃除にも活躍します。





■ 修復


 それでは実際の修理作業に入る。

家電製品は『故障してる』ようでも、実際には電源が不調だったり、もしくは単に接触不良がほとんどだ。ネットで情報を検索すると、充電池の場合はやはり接触不良が原因の場合が多い。 ~ 自分で直せる気がしたので挑戦する。

 
■ 今回の対象商品

  B08XM7CNHT

 卓上扇風機 PPM-1081U。2011年製で2014年ころまで発売されている。後継機が端子やデザインを変えながら今も販売されているロングセラーだ。私は家でうちわ代わりに。また家電品の冷却や夏場の外出時などに使う。

特長:3電源対応で乾電池、ACアダプター、USBに対応。 家庭用電源の場合は付属のUSBケーブルと電源アダプターを使用する。

不具合内容: 本体とケーブル接続部がDCジャック形状。
使用するうちに徐々に接触不良が出始めて、最近は通電しないことが多い。なお、後にもう一機手に入れたが同様の症状なのでも修理する。

B08XM7CNHT



 ■ 故障状態の判別

 今回は2種のトラブルを扱う

 1. 端子の接触不良
 2. 端子部の汚れ




■ ACアダプターの検査


 B0CFTBP3ZD

 まずアダプターの検査。断線が無いか確認する。

■ チェック方法

 
Multimeter / Andrew Mason


 テスターで通電を確認するだけ。テスター棒をACアダプターから出ているジャックの外と内側に当てて通電を確認する。

X 通電しなければ ACアダプターの不良。修理か交換になる。

〇 通電する場合はアダプターはOK。本体充電端子側の修理を行う。



■ 端子の修理


私の経験だと端子の不具合による接触不良は2種ある。

1. 半田の剥離
2. 接点となる金属板の不具合。曲がりやテンション不足による接触不良



■ 1 半田の剥離

 
DC Barrel Power Jack/Connector (SMD) / SparkFunElectronics


 よくある不具合。端子の抜き差しが多い場合やジャックに力が加わるような使い方をするときに発生しやすい。ジャックと基板のはんだ付けが割れる。取れている

 症状: 端子の差し込み方でたまに通電、回復する
分解してはんだ部を触って、接触不良が起こるか確かめる。

  ・対策 :  はんだ付けを行う。 機器の分解さえできればさほど難しくはない。 修理後に導通を確認する。


My vices / robin.hodson

 


■ 2 接触部の不具合。

 
DC Barrel Power Jack/Connector (SMD) / SparkFunElectronics


 本体側のジャック内にある端子の不具合。
アダプター側に不具合が無いか気を取られやすいが、意外と多いトラブルだ。

原因は内部の板バネの曲がり。上の写真でジャック部内に金属板がある。
不具合の理由: 長期間の使用でバネ板がヘタる。そしてテンション不足等で接触不良が起きる。

ACジャックを使う小型家電では結構多い。
例: 小型ラジオ、コードレス電話子機など。

発生しやすい環境;端子部にストレスがかかるような構造、設置をした場合
似た例;オーディオ、ラジオやラジカセのヘッドフォン端子など。こちらも音が出ない・途切れるなどの不具合が出る。

 ・対策

B004MXQ5UU

細いピンセットやピックなどで端子部、板バネの浮いている側を起こす。板バネの浮きを増やして接触圧を高めるのだ。~ 意外と簡単に接触不良が改善する場合が多い。

注意点:危険防止のために 本体側にバッテリーや電池を内蔵している場合は抜く。
バッテリーが抜けない機種は爪楊枝等を使うと良いだろう。


■ 清掃作業


 
cotton / tiziana.disora


 端子を清掃する。

清掃で直る場合が多い。 接触不良は、汚れで発生しやすい。
不具合が出る端子は端子部が灰色でくすんだ感じ。接触不良を起こしていると推測される。
10年以上使ってるような機器なら、まず汚れている。



・ エタノールで清掃 

端子部をエタノールで磨く。綿棒やピンセットに布をつけて磨くなど。
歯のケア用の歯間ブラシや糸ようじも便利だ。


・ 接点復活剤には注意 

接点復活剤は 意外と金属専用の場合が多い。
DCジャックには樹脂が使われている。手持ちの接点復活剤が樹脂に対応しているか要確認。非対応品だと余計に接触不良を起こす。

■ テスト


 B08XM7CNHT

 再度、DCジャックを接続して通電を確認する。

通電できるようであれば成功。

未だ接触不良が出るようであれば、もう一度端子部を修正や清掃する。




● 作業終了

 できあがり。おつかれさまでした。

20130307150407-55.jpg



■ 作業した感想。

 長い間、私の小型扇風機を接触不良のまま使っていた。
ケーブル側の不良と思っていたのと、一応動くので不具合を放置してた。

今回、あっさり治りました。


■ 追記 1 もう一つ携帯扇風機を直した

 記事を書いた直後にもう一つ同型機を手に入れました。

この個体も同じように接触不良の症状が出てた。
そこで今回の方法で修理。 結果は治りました。

2機目のロットは 一つ目より3年後の製造。どうもこの機種に発生する不具合です。



■ 追記 2. 置時計も直した

デジタル液晶の置時計も直した。電源を使用してバックライトを光らせるタイプ。

この時計も同じように接触不良の症状が出て、点いたり消えたりしていた。そこで今回の方法で修理して治った。アダプタ側の不具合かと考えてたら違った。ストレスが解消された。


■ 完成


 無事に修理できました。

本体の廃棄か充電器の交換を考えていたので回復して嬉しい。

使用頻度の高い小型家電や携帯機器などでは
定期メンテナンスで端子清掃や修理が必要なようです。


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■ 今回使用した機器

データ
B00IROIAI0

■ 更新情報

2025年9月13日 デジタル置時計を修理した
2025年6月18日 同型機を修理、追加
2025年6月17日 作成

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■ 関連リンク

・ドウシシャ周辺機器リスト 扇風機(パーツ・リモコン)
https://www.doshisha-marche.jp/c/supplies/SP-AL/SP-AL001?page=5&sort=latest

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