今回紹介するのは ゲーム『SUPER XEVIOUS(スーパー・ゼビウス)』
SUPER XEVIOUSを解説。歴史や実際にプレイしての感想を書く。
■ はじめに 『SUPER XEVIOUS』(ゼビウス)とは (1982)
xevious / Nicolas Esposito
ゼビウスは1983年にナムコから発売されたシューティングゲームだ。
そのアップデート版が1984年に発売された『スーパーゼビウス』だ。
遠藤正信氏によるゼビウスの後継版となる。
・『スーパー』がパワーワード
当時は”スーパー”という言葉に人気があった。1978年に映画『スーパーマン』が公開されており、スーパーの言葉は普及していた。子どもたちはスーパーと付くだけでときめいた時代だ。日本のアーケードゲームの輸出版もスーパーのタイトルが付く場合が多かった。
続編で接頭語で追加される場合もある。ナムコでは1982年のパックマン2作目『スーパーパックマン』でも使われている。他社ではコナミの『スーパーコブラ』が有名だ。『スクランブル』の高難易度バージョンで、ゼビウスオリジナルとスーパーゼビウスの関係や評価とよく似ている。
・タイトル名について
タイトルは英語とゼビ語との混在になっている。スーパーに相当するゼビ語は使用されていない。開発者によると当時はその発想が無かったとのこと。*1
だがスーパーゼビウスのネームエントリーは新たにゼビ語へ置換されている。Best Five がオリジナルの『WARRIORS』から『GOULZEHG』となった。
■ 歴史
Xevious, Centipede, Kick / greggman
ゼビウスは発売後、大人気となり『インベーダー』に次ぐ売り上げを記録した。当時のゲーム業界はヒット作のコピーや模倣が多い時代だ。ゼビウス以降は大量のスクロールシューティングゲームが登場した。
ゼビウスはファミリーコンピューターに移植されてファミコン人気を高める。その後数々の機種に移植されて、ゼビウスはハードの性能を示す指標としても機能する。*6
■ スーパーゼビウス発売経緯
スーパーゼビウスは1984年に発売された。
だが現在残る資料が少なく、発売経緯などの真偽を確かめるのが困難だ。ナムコ公式でも記載されてない状態だ。 幾つかの情報を転載しておく。
整合性が取りづらいが、スーパーゼビウスは海外向けに開発されたが一度とん挫しているようだ。その後、ファンの要望を受けて国内販売されている。
・ 制作経緯
スーパーソフトマガジン1983年 12月号 ミニコラム「スーパーゼビウスってすごいんだ」より要約する。
ゼビウスは日米欧の同時発売だった。それらの国では早く終わってもらわないと困る。
ところが発売して一ヶ月も経たないうちに日本で1000万点行く者が出た。外国でも1000万点出す者が出るのではないかとナムコ営業が危惧。それに対抗すべく開発されたのが低料金諸国用バージョン”スーパーゼビウス”だ。
このスーパーゼビウスのテストのために、日本で最初に一千万点だした最初の3人が招待された。そしてゼビウスの難度ランクでAーDがテストされる。結果は一番強いランクDで10万点、ランクAでさえ30万点。あまりの難しさゆえに発売されず闇に消えた。
・ 2Ch 『XEVIOUSを懐かしむ』での 遠藤正信氏応答 ログより。 *11
269 名前: EvezooEND 投稿日: 2001/03/15(木) 12:49 ID:???
>>138
> イタリア・スペイン向け仕様、「スーパーゼビウス」というのは、国 内版とは違うということでしょうか?
イタリアやスペインはゲーム料金が1回10円くらいなので、すぐに逝ってもらわないと営業できないわけです。そこで難易度を高く設定したバージョンを作りました。
この中でも、さらにDIPスイッチで難易度の設定が出来ます。ハード中のハード、通称「ウルスパ(ウルトラスパニッシュ)」ときたら、スタートミュージック中にギドスパリオが飛んできます。
このウルスパの噂を聞いた一部の熱狂的ファンから、国内販売してくれとの声があり、それだったらちゃんと別バージョンにしようと考えて、ロゴの左上に「SUPER」の赤字がついたゼビウスを作ったんです。
若干のプログラム変更により、オリジナルに出ていないキャラも登場させたはずです。もう詳しくは覚えてませんが…。
■ ハード
・[画像] ゼビウスの基盤
ナムコ初期のゼビウス基板。JAMMA規格以前であり専用ハーネスが必要だ。CPUはZ80を3基使用している。
スーパーゼビウスにも使用可能。6個のROMを交換する。
■ スーパーゼビウスのその後 ~ アーケード版
アーケード版では1995年発売の『ナムコクラシックコレクション Vol.1』にゼビウスとスーパーゼビウスが収録された。 オリジナルからの変更点が幾つか有り、16エリアで終了となる。
■ 魅力を解説
スーパーゼビウスの魅力を紹介する。
● 稼働状態について
Barcade, Jersey City, NJ, 8/20/11 / goodrob13
当時はオリジナルのゼビウスはコピー品に比べて圧倒的に少なかった。 さらにスーパーゼビウスとなると希少だ。
WIKIの項目では特定の店舗向けの販売と記述されている。実際にどれだけの数がどのような形で販売されたかは記録が見つけられなかった。 なお私はナムコ直営ではない一般の中規模ゲームセンターで『スーパーゼビウス』の筐体を確認している。
■ スーパーゼビウスの評価について
・動画 ナムコ ミュージアム オブ アート第2回 ゼビウス(1983年)
ナムコ公式サイトに現在スーパーゼビウス単独の項目は無い。上のゼビウス紹介動画でも『ガンプの謎』は取り上げられているが、スーパーゼビウスにはタッチしていない。
現在は評価が振るわないスーパーゼビウス。しかし発売当時は違う。
むしろスーパーゼビウスは評価が高かった。人気ソフトのアッパーバージョンであり、期待が大きかった影響があるだろう。その人気はいくつかの移植作品でタイトルがそのまま使われたことからもうかがえる。
・スーパーゼビウスの評価変遷
スーパーゼビウスの評価が混とんとしているのは、推測だがアーケードへ筐体の出回りが悪かったことだ。評価以前に接してないユーザーが大半だったはず。 ~ 評価が少なければ声が大きいものが目立つ。母数が大きくて平均化された感想とは異なる。さらに時間と共に淘汰されて刺激の強い意見が生き残ったのではないか。
発売当時の評価や人気が後年と大きく変わることがある。例えば著名人やゲーム誌などのメディアで批評家がレッテル張りをした場合だ。人気者だった子がある日からいじめられるようになったようなものだ。あまり感心しない。
そして時代の変化だ。
ゲームの評価はかっては販売側の宣伝力の影響が大きかった。そして雑誌や口コミが主体であり穏やかに評価が固まっていった。だがインターネット時代に切り替わって評価がリセット。発信力の強い者や印象に残りやすい極端な意見が主流となり、さらにスーパーゼビウス筐体の出回りが悪いゆえにプレイ経験が少ないユーザーが同調していったように見受けられる。
■ スーパーゼビウスの特長
Custom Atari Joystick / fwonkas
スーパーゼビウスの特長。
大きな部分は高難易度版ということ。
そして調整がされている。目立つ部分はキャラの得点調整、出現位置の変更。キャラの追加などだ。
■ 変更点
スーパーゼビウスとなり変更された、進化した部分。
表面上で分かりやすい、無印セビウスと区別をつけやすい部分。デモ中やプレイ開始直後に確認可能だ。
・タイトルにSUPERの赤文字が追加された。
著作権表示の年度が新たに追加された。
・スタート時にある森の隠しコピーライツが変更された。
・ネームエントリーのランキングが開発者からゼビウスのキャラになった。
■ 新キャラ
スーパーゼビウスで目立つのが新キャラだ。
ゼビウス時代から存在が噂されてたキャラクターが公に登場する。中盤(8エリア)以降に登場する。
ギャルボス(ギャラクシアン・ボス)は12インチシングル『スーパーゼビウス』のジャケット裏で見ることが可能だ。ゼビウス軍に合わせて銀色のボディになっている。
❒ 新キャラリスト
ギャラクシアンボス: 空中物 150点
単独、もしくは波状で登場し、攻撃してくる。オリジナルゼビウスにもデータがある。
戦車: 地上物 スコアリセット/10000点
エリア 8 で登場。最後の河の手前、芝生の上で静止している。破壊するとスコアリセット。触れると一万点。形状はタンクバタリアンの戦車に似ている。
ファントム: 空中物 スコアリセット
エリア 10 の滑走路右手に駐機している。発進して画面外へ消える。ザッパーで破壊するとスコアリセット。
ヘリコプター: 地上物 スコアリセット
エリア 14 2度目のアンドアジェネシスの後。エリア終盤の滑走路に登場。微妙に動いているので空中か地上かわかりにくい。ブラスターで破壊するとスコアリセット。
ファルコン:空中物 破壊不可能
エリア 15で登場。最後の河を超えるあたりで、画面上から下へ一気に飛行する。破壊不可能で接触するとミス。サイズはかなり大きい。ソルバルウの1.5倍くらいある。 ファントムに似ているが羽根にマークがあるなど微妙に違う。
・ オリジナルゼビウスにも存在していた新キャラ達
新キャラはオリジナルゼビウスにも存在していたのは有名だ。
ゼビウスは開発時の段階ではベトナム戦争を題材とした「シャイアン」というゲームだった。そのキャラデータがゼビウスのROMに残っていると言われる。データの存在自体は遠藤正信氏自体も認めている。 ゼビウス時代の情報では、ベーシックマガジンのゼビウス攻略情報等でヘリなどの目撃情報が寄せられていた。ハードの暴走などで出現すると言われており、確実な出現方法は明らかになっていない。
同じくベーシックマガジン1984年1月号によると『ROMには犬が入っている。開発者が遊んでいたら入ってしまった。ギャラクシアンは使う予定だったがデータを入れ忘れて出なくなった等(要約)』との文章もある。 *4
・制作意図
新キャラは減点のないギャルボス以外は現代兵器なので味方機だとは推測できる。だがゼビウス軍と同色で地上物も有り、空中物も有り統一感がない。動きもバラバラだ。
❒ 新キャラの特長 高得点か0点か ~制作意図
スーパーゼビウスで大きな不評を買ったのが新キャラの得点。その中で目立つのがスコアのリセットだ。スコアを初期化するキャラクターが複数登場した。
制作意図ははっきりと語られていない。 私たちが分かるのは、ゼビウスに得点リセットで「撃つことを制限する」ことを導入していること。そしてエクステンドの阻止だ。 新キャラは後半エリアの戦闘中に登場する場合が多く、やはりトラップの意図が強いように見受けられる。
オリジナルのゼビウスでは減算キャラがなかった。そのためスーパーゼビウスでも同じようにプレイすると、まず新キャラを破壊する。そしてゼロ点となる。 さらに後半エリアに新キャラが存在するのも問題だ。序盤にいれば警告になっただろう。だがスコアが上がってきた後半に新キャラは登場して、スコアがリセットされるのだがら憤慨する。 スーパーゼビウスで一番反感を買った部分だろう。これが大きな不評となる。 製作者も「やり過ぎだった」と認めている。
・新キャラのほとんどが破壊するとスコアをクリアする。
ギャルボス以外は減算キャラだ。 戦車、ファントム、ヘリ。得点がゼロ点どころではない。スコアがリセットされる余り前例のないキャラだ。
・高得点獲得も可能。
実際にはバランスを取るような仕掛けもあった。戦車に触れると1万点のボーナスもしくはエクステンドとなる。*4 「スーパーソフトマガジン」(電波新聞社)
■ 新構造物
後半エリアに橋が追加。ドモグラムが河を渡れるようになっている。
行き止まりや狭い場所で散歩している印象のドモグラムだが、檻から飛び出すのだ。結構新鮮な光景だ。ただし橋は難度上昇の仕掛けであり、ドモグラムが長時間追跡してくるようになる。
■ 得点調整
Xevious / cinz
スーパーゼビウスの特長だ。
大まかには上級プレイヤーの高得点化を阻む、難易度を上げるように変更された。
ただし、バランスを取る為に高得点化の仕組みやキャラも組まれている。
■ 高得点、エクステンドキャラの位置調整
高得点キャラであるソル、そしてエクステンドのスペシャルフラッグの位置が変更された。
・ゼビウスで高得点なキャラがソルだ。得点が多い上に個数も多い。
ソルの多くが位置変更されている。オリジナルと同じ水平線上や垂直位置にある場合が多い。
・ゼビウスで容易にエクステンドが出来るのがスペシャルフラッグだ。
一部のSPフラッグで位置が変更されて永久パターン防止がされた。 エリア切り替えライン以降になった。
■ 得点変更
主に高得点キャラクターが変更されている。
減算が印象に残るスーパーゼビウスだが、実はバランスを取るように多くの得点アップも行われている。
● 減算
・ソルの得点が半分
ゼビウスの高得点獲得では大きな要素のソル。半分の1000点へ減算された。
● 増加
スーパーゼビウスでは得点の増大も行われている。
・1万点グロブダーの増加
・ガルザカートの誘導弾が2000点になった
なかでもガルザカートは、遠藤正信が誘導弾の利用をする上級プレイヤーに対するご褒美として追加した。これによりスーパーゼビウスで1000万点を目指す場合に誘導弾利用が有利な方法となった。
■ 上級プレイヤーも苦しんだ難度
"Game On" at Pacific Science Center / Scarlet Sappho
スーパーゼビウスの特長であり、問題とされるのが難度だ。
なお難度調整の仕組み自体は無印ゼビウスからあり、スーパーゼビウス向けにチューンしたものだ。
・難度調整
デイップスイッチでの難度調整は4段階。ノーマル、ハーディスト、ハード、イージー
料金は1コイン/1、2、3、6クレジットが用意。 *12
・空中物出現テーブル
敵の出現テーブルが変更された。また難度の変化量も変更。
■ ゲーム性 ~ 変化する難度
ゼビウスでゲーム性に大きな要素となるのが難度調整の仕組みだ。
ゼビウスには自動難度調整が組み込まれている。プログラムが敵破壊率や時期の損失をカウント。敵機の出現パターンを変化させる。 オリジナルでは未だプレイを始めたばかりの人でもゲーム初心者でも楽しめる仕掛けだ。 ~それゆえ初見で「難しいから」と離れる事態を避けている。
スーパーゼビウスでも難度調整は受け継がれた。そして空中物のテーブルが変更されて高難度化されている。
なお難度調整はDS版「ナムコアーケード」や「アーケードアーカイブス版」のゼビウスでプレイ中に変化を数値で確認可能だ。DS版ならスーパーゼビウスで利用可能。
Bajé el Xevious para la 3DS, y hueón, es lasorra / droggowave
■ 上級者へのリベンジ
スーパーゼビウスの難度は、既定ではオリジナルと序盤はほぼ変わらない。だが途中から難度が上がり始め、凶悪な難度となっていく。
実は初心者は無印ゼビウスであまり違いが分からないはずだ。序盤の難度が低いのと、ミスをすると大きくランクが下がる為だ。「ちょっと難しいかな?」と感じるくらいでランク上昇前にゲームオーバーになるだろう。製作者の意図する初心者向け難度調整がスーパーゼビウスでも上手く働いており、さすがだと感心する。
スーパーゼビウスと特徴が出るのは上級者がプレイした時だ。
スタートすると最初は「ゼビウスと大して変わらないじゃないか」と油断する。だがやがて『スーパーゼビウス』は本性を出す。ミスしないプレイヤーに対して難度上昇は早く、率も大きい。高難度の空中敵が組み合わせて攻撃してくる。敵弾がばらまかれる。スーパーゼビウスが牙をむいてプレイヤーはフルボッコにされるのだ。まさに「入口はあっても出口は無い状態」だ。
遠藤正信氏は、ゼビウスの難度上昇は二つあり「急に上がるものと、真綿を締めるように上昇するものがある」と解説している。そして急なものは運、緩やかなものは腕で回避すると話している。これはゼビウスの初心者を楽しませる仕掛けであり醍醐味でもある。
だがスーパーゼビウスは極端だ。ゼビウスはソルバルウの移動速度や連射速度が遅いため、敵や弾の増加の対処は困難だ。運では避けられないし、腕でも限界を超えている。さらに緩やかな上昇は凶暴な領域へと向かう。プレイヤーは”まさに窒息するまで”締めあげられるのだ。
■ 『SUPER XEVIOUS』というブランド
xevious_screenshot10 / gamerscoreblog
ゼビウスは強いブランド力を持っていた。
スーパーゼビウスも家庭用への異色作や音楽アルバムなどに使われている。
ただしシューティングゲームの人気失速に合わせて、スーパーゼビウスの人気も陰り、移植やメディアでタイトルで利用されることは無くなっていく。
■ コピー
Z80 / Mark Ramsay
ゼビウスはコピー品が多いが、スーパーゼビウスでも海賊版が登場している。
■ 困難な移植の中で輝く。視線はいま「スーパーMZ」へ
スーパーゼビウスの移植には時間がかかった。
オリジナルのゼビウスで移植の敷居が高かったこともあり、移植されるのはかなり後年となる。
・8ビットパソコンの終焉に咲かせたあだ花。「これがスーパーMZだ」
1985年10月にパーソナル・コンピュータでスーパーMZことMZ-2500が登場した。究極の8ビット機と呼ばれている。奇しくもゼビウス基板と同じZ80Bを搭載していた。
1986年1月に『XEVIOUS』が発売。早いリリースであり、ゼビウスに対する期待が読み取れる。
MZ-2500版『XEVIOUS』ではスーパーゼビウスを遊ぶことができた。 当時は高根の花だ。本体も高額だがゼビウスで4096色モードの本領を発揮するにはビデオボードが必要だ。 当時、私も実機で実際にプレイしたことがある。ゼビウスの移植作品ではずば抜けた美しさだった。
起動後のゲームタイトルは『XEVIOUS FOR SuperMZ』と記載されている。スーパーゼビウスのタイトルと機器名を上手く掛けている。ゲーム構成だが、『スーパーゼビウス』はエリアセレクトで入る形となる。疑問点だが ややこしいコマンドを使わずに素直に二つのゲームをモードで分けなかったのか。当時の隠しコマンドや隠しコンテンツの影響が悪い形になった印象を受ける。
MZユーザーは「ゲームが無いなら自分で作る」という気概を持つ。だがスーパーMZの『ゼビウス』は美麗な画面と共に話題になる。高額なスーパーMZと合わせて、マイコン&ナイコン少年たちに羨望の対象となる。だが時代は16ビットを迎えようとしており、8ビット機終焉は近づいていた。スーパーMZ版『ゼビウス』は、8ビット機終盤に咲いたあだ花だった。スーパーMZ以降はMZ書院ことMZ-2861で16ビットのハイブリット機になり、そしてMZシリーズは終焉を迎える。
その後、PC版ではモトローラのMPUを使ったシャープのパソコンで『SUPER XEVIOUS』が登場したが、内容は無印のゼビウスだった。
当時、ゲームの主戦場は家庭用ゲーム機に移行しつつあった。PCで移植ゲームをする時代は休眠期を迎える。以降PCでのゼビウス、さらにスーパーゼビウスの登場には大きく時間が開くことになる。
■ 参考 MZ-2500のスーパーゼビウスの仕様について
☆ M Z - 2500 に 不 可 能 は な い ☆
https://itest.5ch.net/kizuna/test/read.cgi/i4004/1390095262/
【件名】ゼビウス(for MZ-2500)におけるスーパーゼビウスモードの入り方
タイトル画面でエスケープ[ESC]キー押してエリアセレクトモードにし、
アルゴキー押しながらテンキーの[2][8]キーまたは
ジョイパッド/ジョイスティック等上下キーで16〜を選択する。
17エリアから(32エリアまで)スーパーゼビウスモードに入ることができる。
■ 完成度の高い移植には時間がかかった ~ 家庭用機の進化とPC版の苦闘
その後は長い間、スーパーゼビウスが取り上げられることはなかった。
大きな転機はプレイステーションで1996年に発売された『ゼビウス 3D/G+』へスーパーセビウスが収録されている。急激に進化した次世代機と呼ばれたプレイステーションでは、かって困難だったゼビウスが苦も無く動くようになった。今作には『ソルバルウ(1991年)』を除くゼビウスシリーズが揃っており、ゼビウスが再び輝いていた時期だ。
・ Windows版でゼビウスが登場 完成度の高い作品
アーケード版に近い移植がされたのは後のWINDOWS版だろう。1997年4月25日発売の『ナムコヒストリーVol.1』にゼビウスとスーパーが収録。ナムコ自らが出した作品だ。移植というより、基板からデータを取り出して動作させるいわゆるエミュレーターだ。 WIN95のOSは32ビットであり、プロセッサはIntel486以上を使う。ついに原作に近い完成度となった。
PC版での移植が原作に近づくために、アーケード版発売から実に14年もかかっている。
■ ゲームをするなら家庭用ゲーム機で!
ファミリーコンピューター版『スーパーゼビウス ガンプの謎』
人気作の続編はファミコンでも期待された。
ファミコン版ゼビウスの第2弾として「スーパーゼビウス ガンプの謎」が発売された。タイトルはアーケードと同じだが副題が付く。ナムコとしてはアーケードのスーパーゼビウスの後編として位置づけたかったのではないか。 金色に輝くカセットで登場しておりナムコの期待値が見て取れる。
ナムコット名義で発売。制作に遠藤正信氏は関わっていない。『ガンプの謎』は、アーケードの高難易度版と異なるアプローチがされている。当時流行していたRPGの要素が組み込まれた。 パワーアップとストーリー性の追加だ。なおストーリーはオリジナルのゼビウスの並行世界とされた。*説明書解説より
当時は「ガンプの謎は、アーケード版スーパーゼビウスと違う」との批判もあった。だが子どもたちはゼビウスの新作ということで楽しく遊んでいる。いまでは高評価を受ける作品となった。 アーケードへの逆移植もされており人気があったソフトだ。
今振り返ればゼビウスの続編として『ガンプの謎』は、当時の世相を上手く反映して作られた作品だ。
・ DS版『ナムコミュージアムDS』(2007年)
2007年には忠実な移植がされた。『ナムコミュージアムDS』が登場。ゼビウスとスーパーゼビウスが収録。
M2による移植で設定も充実している。
副画面を利用してレーダーや難易度等の表示ができる。縦画面でのプレイも可能。スーパーゼビウスはマニアックオプションから切り替えを行う。全体に良い出来だ。気楽にゼビウスが出来るのは楽しい。弱点はDS画面の故に、画面がちらついて目が痛いのが惜しい。
■ 作品の最終シーン
初代アーケード版のゼビウスに終焉は無い。
ループゲームだ。16エリアを超えると再び8エリアに戻り、以降繰り返される。スーパーゼビウスも同様だ。
当然、オリジナルと同様にカウンターストップの一千万点が目標となるが、あまりの高難易度で敬遠されたことや筐体数が少ないことからデータが取れなかったのだろう。オリジナルゼビウスのように話題にはならなかった。
■ テーマやオチのまとめ
オリジナルのゼビウス、スーパーゼビウスにはエンディングは無い。
遠藤正信氏が関わった作品では、ゼビウスのスピンアウトである『グロブダ』がある。だがゼビウスの世界観に関しての終焉は描かれていない。*5
小説「ファードラウト サーガ」はアーケードゲーム「ゼビウス」の前日譚であり、ゲームに繋がる部分で幕を閉じる。
その後、ナムコはゼビウスと名が付く作品を多く発売する。だが並行世界だったり、ラストを濁している。
明快な終わりがない。そこがオリジナルのゼビウスがいまだファンの興味を惹く理由の一つだろう。
■ あとがき
『ガストノッチな気分で行こう』
~細野晴臣によるアルバム『スーパーゼビウス』の帯に書かれている言葉だ。ガストノッチはゼビ語で”絶好調”を意味する。ゲームが未だ文化として成長中の時期に登場した今作は、細野晴臣による素晴らしいサウンドで後のゲームミュージックの先駆けとなった。まさにガストノッチな作品だ。*4
スーパーゼビウスは情報が少ないゲームだ。
一般向けのゲーム情報誌や専門誌が無かった頃に登場しているため、データがあまり残ってないのだ。ユーザーやメーカーの期待値は高かった。だが流行の変化が激しい中で、出回りが少ないスーパーゼビウスは話題になれなかったのではないか。制作は短期間で行われており勿体無い印象だ。 それゆえ先入観や印象で忌避される傾向にあるのも大きいだろう。
正直なところ。私は『スーパーゼビウス』に対して印象は悪くない。むしろ良い。
結局のところ単なる高難易度版でありアップデート版だ。自分が乗りこなせないF1マシーンのような印象を持っている。『いつか上手く操縦できたらいいな』とう感覚だ。
そして私は『スーパーゼビウス』の魅力を確かめたくて、今でもDSの『ナムコミュージアム』やWIN版『ナムコヒストリー』でスーパーゼビウスをプレイしている。
■ シューティングゲームの抱える問題
Yestercades, Somerville, NJ 5/3/15 / goodrob13
高難易度版の悪例で引き合いに出されるのが、コナミの『スーパーコブラ』だ。ヒット作『スクランブル』の後継だが、高難易度で前作程の人気を獲得できなかった。ゼビウスの開発自体が『スクランブル』を参考にしており、似たタイトルや展開になったのも因縁を感じる。同じく『スクランブル』を参考にして大ヒットした『グラディウス』があるが、こちらも続編を重ねるたびに高難易度化の道をたどった。プレイ時間が長くなりがちなシューティングゲームが持つ課題と言える。
■ スーパーゼビウスふたたび
『スーパーゼビウス』には評価の変化とばらつきがある。
スーパーゼビウスに触れたプレイヤーが少ない事も大きい。感想に一部ユーザーのバイアスがかかりやすい。 そしてゲーム自体の違いがある。店舗による難易度設定によりプレイヤーの印象が大きく変わることも大きい。
ゼビウスは今だにファンがおり、シューティングゲームでは神格化された存在だ。
だが現時点でスーパーゼビウスは歴史に埋もれた感が強い。有名ゲームの後継なのに惜しいことだ。
『スーパーゼビウス』は元々は短期間で開発された。低料金向けに作られて、お金に関わる部分だけありかなり急いだ。だが一旦開発が中止された後、ファンの要望を受けて市場に投入されている。かなり変遷しているのだ。ナムコとしては、ゼビウスがブームとなっている市場が熱いうちにアップデート版を早く投入したかったはずだ。それゆえ荒い部分も出来てしまった。
だが「ゼビウス」ほどの高い完成度のゲームを作れたスタッフだ。時間に余裕があれば、作りこみが出来ていればゼビウスを昇華した名作になれただろう。 しかし時は戻らない。たらればで終わるだけだ。もしがあるとすれば、スーパーゼビウスの改良版が出ることだが、それもまずありえないことだろう。
アルバム『スーパーゼビウス』はゲームスタートから一千万点へと突き進む。そしてクライマックスは熱狂の中で拍手と歓声で幕を閉じる。
アーケード版『スーパーセビウス』が再び輝く時を期待している。
文章: GIL
■ 公式動画
■ 注釈
*4 ベーシックマガジン別冊のゼビウス攻略記事は、後にナムコゲームを集めた『オールアバウト・ナムコ』にまとめられている。ゼビウスのストーリーも読むことが可能だ。 何度か再版されており、現在も入手可能だ。
*5 ゼビウスでは活躍しなかったグロブダーだが、遠藤正信氏が作った「GROBDA」では主役となった。
*6 ファミコン版スーパーゼビウスはアーケードの続編と同じタイトルだが副題が付く。また説明書によると「ゼビウス」の並行世界とされる。
*11 ・ 2Ch 『XEVIOUSを懐かしむ』での 遠藤正信氏応答 *11
ログより。 http://ton.2ch.net/retro/kako/983/983292101.html
*12
■ 参考
・Wiki ゼビウス
ゲームや関連作品の発売年度などを参考にさせて頂いた。
■ 更新情報
2024年9月21日 作成