「世界ふしぎ発見!」が終了へ。 考察。
Cessna 172 / bk1bennett
「世界ふしぎ発見!」が終了する。
私は、最近は地上波TVをほとんど見ていない。だが『世界ふしぎ発見!』は以前の私が見ていたTV番組のうちの一つだ。
しかし人気は下降。ついに終了となる。今回は番組の低迷理由について考察する。
■ 世界ふしぎ発見!の魅力
Nazca Lines / kanjiroushi
「世界ふしぎ発見!」には魅力があった。知らない場所への旅行の魅力、そしてスタジオではレギュラー陣の魅力だ。
レギュラー陣の安定した面白さ、関連性はおなじく長寿番組でもある「笑点」も持つ力だ。
かって私は、毎週リアルタイムで『世界ふしぎ発見!』を見ていた。仕事や家事を済ませて週末を区切るお楽しみの一つだった。見知らぬ土地の人たちとハンターたちの出会いや探索は番組の大きな魅力だった。そしてあまり著名ではないハンターが時に喜び、時につたない言葉でも懸命に感動を伝えるからこそ感動した。まるで海外へ自分が行っているような気分になれたのだ。
■ 変化
そんな「世界ふしぎ発見!」を私が見なくなったのはコロナあたりだった。
視聴が減った大きな要因は、ミステリーハンターの出演が減ったから。代わりにミステリーハンターとして、芸能人が出ることが増えた。番宣色や芸能事務所への忖度感が強くなり、面白さは皆無どころか悪印象だった。
また著名人が出ると、旅行やミステリーへの興味ではなく、どうしてもその人物を見てしまう。よってハンターと自分の一体感が減り不思議への感動が無くなったのだ。
ゲストに同局の番宣やタイアップの舞台出演者が出るのは理解の範囲内だ。番組内容のスパイスとなり変化が付く。~ だが今番組で重要なミステリーハンターまでゲストが占有するようになると、もはや「世界ふしぎ発見!」ではなく、たんなる宣伝番組だ。スタジオにも番宣を兼ねたゲストが居る。旅もスタジオ部分も番宣のゲストが占める。それは延々とCMが続く感覚に近い。退屈なのは当たり前。
番組に興味を無くし、面白そうな取材対象でも途中で視聴を辞めることが増えていった。
やがて土曜夜になっても『世界ふしぎ発見!』を見ることは無くなっていった。
■ 迷走 ~番組に違う不思議が増えていく。
Cessna 172 N928H / Capwatts86
番組の迷走はつづく。キャスティングミスだ。ますだおかだの採用。これも芸能事務所への忖度感が強い。なぜ居るのか分からない、必要性も面白さも感じないからだ。単なるノイズになって邪魔なのだ。
ますだおかだ自体は私個人は嫌いではない。だがになぜ抜擢したのだろうか。これぞ不思議だ。「世界ふしぎ発見!」の進行補助役を採用するのはいいアイデアだ。だが人選を誤っている。
生真面目さが「世界ふしぎ発見!」の魅力だ。メインの草野仁、アシスタントの出水麻衣。そして人間の面白さの部分はベテランのレギュラー解答者たちで十分だった。
「世界ふしぎ発見」をほぼ見なくなっているうちに、司会も交代した。さらに回答も以前のレースから、討論を経ながらの共同解答へとスタイルが変化した。
面白さの本質を見誤っていないか? 新しい事は、良い事でも面白いわけではない、ただ変化しているだけだ。面白さが伴わなければ、単に「変」なだけだ。
そしてもう私が「世界ふしぎ発見!」を見なくなった現在。番組終了のニュースが発表された。
■ 類似した変化を起こした番組
『ふしぎ発見!』がたどる失敗への軌跡。これは「紅白歌合戦」やNHKの大河ドラマにも当てはまる構図だ。
複数の大手芸能事務所への忖度。似たようなグループの出演による退屈。自称お笑い芸人の採用による番組の凡庸化と低質化。
人気を追うあまりに、新鮮さは薄れてパターン化された手を使う。そして他番組との差別化が減り、番組自体も変化が乏しくなりマンネリ化を招く。あふれる内輪ネタと他者をさげすむくだらない自称お笑いの低俗な会話。
本質を見失い、長く番組を見ていたコアとなる視聴者が脱落してく。視聴率の低下に対して、お笑い芸人や芸能事務所のグループを陣版に後退していくだけの退屈な手法。低俗と退屈は加速して悪循環は続く。結果は視聴率の低下だ。
はっきり言えば、枯れた芸人や面白みも無い旬を過ぎた芸能人を使わなくても良いではないか。紅白は歌番組であり、それなら新鮮なアーティストや古参で実績のある歌手を使えばいい。
枯れた人、民放で人気があると言われているお笑い芸人を使う必要があるのか? 台本通りの寒いコメントをする芸人、出演者のコントは、視聴者が評価すらできないような理解不能のアングラ劇のようだ。なんの利点があるのだろうか?
もはや音楽番組でもなく、年末の催しでもない。 NHKが忖度する芸能事務所と行う、単なる内輪向けの催事と化しているではないか。紅白の視聴率は低下が下げ止まっているように見えるが、これは単に底を打っているのと、芸能事務所のファンをトレードして数字を補完、水増ししているだけでは無いのか。面白い番組でなく、単にファンが視聴しているだけだ。それなら別に紅白でなくても良いではないか。
税金を投入している放送だ。だが紅白はもはや国民向けの放送からずれて、本質を見失っているのだ。
■ 世界ふしぎ発見の魅力とは
Hitachi / Janitors
大きな部分はやはり、日立が提供を占めていたことだろう。
それにより番組に流れる気品と統一感があった。 CMにもあふれるテクノロジー嗜好。そして番組に還流される見知らぬ場所の紹介や未来へのチャレンジ。
それは主要人やゲストにもあふれていた。ベテランの草野仁、地上波放送の初期からTVに関わるもはやレジェンドといえる黒柳徹子。そしてゲストは専門家やジャーナリスト、探検家やアスリートなどのプロの出演だ。
現在でも『世界ふしぎ発見!』には、まだ魅力が残っていた。それは黒柳徹子や野々村真など、レギュラー陣の安定した面白さだ。そしてももクロも参加して世代交代も順調に見えた。だがそれだけでは支えられないほど、番組構成は変化した。
~変化したから人気が落ちたのか?人気が落ちていたから変化していたのか? 私には分からない。
変化が悪いわけではない。ふしぎ発見!は過去に視聴者のクイズ参加やプレゼントなど面白い仕組みの導入などを行ってきた。
だが最近の変更では、番組の重要な部分。本質や構成、テーマ等。多くの大事なものを次々に破壊していったのは確かだ。
例えば、番組終了の締めもなく突然番組か途切れるように終わるなど不可解な構成も有った。あきらかに変化と言うより破たんしていた。
結果は?番組の終了だ。
番組終了前の迷走を見ると、TV局の制作はいったい何をしたかったのか分からない。
■ これからの「世界ふしぎ発見!」
Fifteen Moai / anoldent
番組終了前に、「イースター島」を取材した回を偶然みたがとても面白かった。今までの番組での取材蓄積。そして現地で最近のあらたな遺跡発見やモアイの保全取り組みも紹介されており、「世界ふしぎ発見!」の魅力にあふれていた。 世界の不思議を探す、現状と未来を想像させる面白さだ。本質部分はまだ十分に作れる力があるのだ。ならやはり出演者の取捨選択だけで大きく番組を改善できるのではないだろうか?
そして 最後まで主要レギュラー陣の面白さはさすがだった。
お疲れさまでした。
「世界ふしぎ発見!」は、これから先は特番で続くとの事なので、番組の復調と毎週放送への復活に期待している。
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