
今回紹介するのは、映画『フォレスト・ガンプ』
トム・ハンクス主演で、監督はロバート・ゼメキス。人気の組み合わせで見た人も多いと思います。
今作は主人公の独白で進行しており、映像だけで表現する部分が多い。~ 話やオチが分からない人も多いでしょう。
今回は『フォレスト・ガンプ』の不可解な部分とオチやラストシーンの解説。 一度見て分からない方向け。ネタバレと謎やオチ解説なので、知りたくない方は見ちゃダメ。
■ はじめに フォレスト・ガンプ/一期一会とは

理解を深めるために 簡単に映画の概略を紹介。
1994年の映画。 タイトルは主人公の名前。由来は、白人至上主義の結成者、ネイサン・ベドフォード・フォレストから取られている。ガンプは方言で愚か者などの意味がある。
『バックトゥザフューチャー』で有名なゼメキス監督とトムハンクスが主演。1994年制作の古い映画だが現在でも通用する作品です。当時の最新映像技術が使われている事。そして徹底した時代描写。そして人生がテーマで普遍性がある。
■ 制作経緯

1985年に原作小説『フォレスト・ガンプ』が発表された。そして映画用にエリック・ロスが脚色する。映画の監督はゼメキスの前に テリー・ギリアムも検討されていた。
1994年7月6日に米国で公開。劇場公開中に世界中で6億7,820万米ドル以上を稼いだ。同年でライオンキングの次に高い興業収入だ。ロバート・ゼメキスがこれまでで最高の興行収入を上げた映画となる。
フォレスト・ガンプはアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞の6部門を受賞。高い評価を受けた。
● 映画のあらすじ
映画のジャンルはコメディー、ロマンス。
物語は、バス停にいる主人公フォレスト・ガンプが、隣に居合わせた人に語る形式で始まる。
フォレストガンプはアラバマに住む少年。家族は母親のみだ。足が不自由でまたIQは75で平均より若干劣る。だが母親の愛と応援を受けて健全成長していく。
ガンプは少女ジェニーと出会う。ガンプとジェニーはそれぞれの道を選んで故郷を出る。ガンプは軍に入隊。ベトナム戦争を経験する。ジェニーは反戦運動に没頭。 二人の人生は時々交錯しながら動乱の時代を駆け抜けていく。
■ 謎解きと解説

Forrest Gump / jdxyw
わかりにくい部分を解説。
私も一回目ではオチの意味が完全には分からずに、消化不良感があった。何回か作品を見直して疑問点を解決してます😃
なるだけ整合の取れる解釈をします。 ~推測部分は注釈を入れて解説。
● 人名について
Gump House / chrstphre
• 主人公 = フォレスト・ガンプ (トム・ハンクス)
• 母 = ミセス・ガンプ
• 彼女 = ジェニー(ロビン・ライト)
• 中尉 = ダンテイラー(ゲイリー・シニーズ)
■ エピソードと解説

エピソード毎に解説。 謎は時間順に紹介。
■ キャラとエピソード
登場したキャラに関する話題
■ フォレスト・ガンプ

ガンプはまじめであり、アメリカ人の理想でもある。裕福な家庭に生まれて母の愛を受けて育つ。そして社会通念に従う保守的な生き方を選ぶ。アメリカの模範たる人生を歩む。大学生でのクラブ活動、軍への入隊、事業で成功しての慈善寄付など。
・賢くないガンプ:映画のガンプはあまり賢くない。だが原作ではガンプが物理学のクラスで満点を取った。そして宇宙飛行士、プロレスラー、チェス選手としても登場する。
・ガンプのギブス:ガンプの歩行器具。湾曲した背骨を矯正する為に装着していた。ガンプの長所となる強靭な脚力を生み出すきっかけになる。原作には無いエピソードだ。

・走り続けるガンプ: ガンプはとにかく走る。子供時代、大学でのアメフト、ベトナム戦争。ジェニーとの失恋。走った後に幸運が訪れるのも面白い構成だ。
● バスに乗るガンプ
この映画はバスが話の節目に良く登場する。
オープニングでバスを待つガンプ、幼少時代母に見送られて学校生活に飛び込むガンプ。ジェニーとの出会い・・・。そしてラストに子供を見送るガンプ等。
制作裏話:ガンプ役の俳優は最初ジョン・トラボルタにオファーされた。トラボルタは後に断ったことを後悔したという。ハンクスは脚本を読んで一時間半後にサインしている。
■ ジェニー・カラン

ガンプが幼少時代に出会う少女ジェニー。親に虐待されるなど不幸な身の上を持つ。
いじめられるガンプを助けるなど真っすぐで正義感も強い。
ジェニーは親や社会の抑圧に逆らうように生きた。反戦運動やショーなどアメリカの反文化スタイルに身を投じる。ガンプとは対照の人生を歩むのだ。最後にはまるで社会に負けたようにジェニー自身が弱って死んでしまう。

■ ドロシー・ハリス
ガンプが登校する際のバス運転手。後にガンプJrの運転手も担当した。
■ ババ

ベトナムでガンプの仲間。ガンプとエビ漁をする夢を持つが、戦死してしまう。 なお俳優は突き出た唇を表現する為にアタッチメントを使用している。
■ ダン中尉

Gary Sinise / Bob Bekian
ベトナムでガンプと出会った。初対面のガンプにしっかり教えを説く。ガンプをバカにする人物に激昂したりと真っすぐでしっかりした人だ。
最後にアジア系と思われる女性が伴侶になっているのが興味深い。推測だがエビ漁で知り合ったのではないだろうか。アメリカは太平洋戦争やベトナム戦争でアジアと対立した。反目した地域の女性と米軍兵であるダンが仲良くしているのはほっこりするエピソードだ。

Bubba Gump / Il conte di Luna
制作裏話:演じたのはゲイリー・シニーズ。作中で足の切断後の映像は青い布で包んで合成している。トムハンクスとは次作『アポロ13』でも共演する。フォレストガンプではダン中尉がガンプに向かって「おまえがシュリンプボートの船長なら俺は宇宙飛行士だ」とからかった。
配役はデイヴ・シャペルが断っている。今作が失敗すると思ったからだ。後に彼は後悔したという。
■ フォレストJr
演じるのは映画初出演となるハーレイ・ジョエル・オスメント。キャスティング・ディレクターがピザハットのコマーシャルで彼に注目した。
ハーレイ・ジョエル・オスメントは、1999年に『シックス・センス』、2001年の『A.I.』と話題作に出演している。
■ 有名人たちとの出会い。ジョン・レノンやジョン・F・ケネディ

Kennedy Assassinated / RTD Photography
今作では主人公がアメリカの有名人と会うのが特徴だ。
多くがアーカイブ映像とハンクスが合成されている。高い合成技術は映画公開当時話題になった。
■ TV司会者
ディック・カヴェット本人が演じた。ケネディやジョンレノンのような合成とは異なる。
■ 場所とエピソード
登場した団体や地名に関する話題
■ ババ・ガンプ・シュリンプ(レストラン)

Bubba Gump Shrimp Co / Per Olof Forsberg
1996年、劇中のお店をモデルとしたシーフードレストランが設立された。カリフォルニア州モントレーに第1号店をオープン。日本では3店設立。東京、豊洲、そしてUFJにもあり現在でも利用可能だ。グッズも購入可能。

Bubba Gump / Leandro's World Tour
■ ロケ地

Beaufort / Gerry Dincher
撮影は1993年8月に開始されて同年12月に終了。 映画のほとんどはアラバマ州が舞台だが、撮影は主にサウスカロライナ州ビューフォートとその周辺、バージニア州とノースカロライナ州の海岸沿いの一部で行われた。
・フォレスト・ガンプの座るベンチ。
ジョージア州サバンナのチペワ スクエアの北端で、ガンプはバス停のベンチに座りながら人生を語った。

Chippewa Square, Savannah, Georgia / Ken Lund
・ガンプ一家のセット:サウスカロライナ州イェマシー近くのコンバヒー川沿いに建設され、近くの土地はカランの家とベトナムのシーンのいくつかを撮影するために使用された。ベトナムの景観を改善するために20本以上のパルメットの木が植えられた。
・大学シーン

Bovard Administration Building with Tommy Trojan, University of Southern California (USC), Los Angeles, California / Ken Lund
ロサンゼルスの南カリフォルニア大学で撮影された。
・架空の町グリーンボウのダウンタウン部分;サウスカロライナ州ヴァーンビルで撮影された。
・ベトナム


Saint Helena Island / Mike Licht, NotionsCapital.com
銃撃を受けながらベトナムを駆け抜けるフォレストのシーンは、サウスカロライナ州ハンティング アイランド州立公園 とフリップ島で撮影。

Mister Flauschi: Forst Gump Curve - North Carolina / orangetruck1
追加撮影はノースカロライナ州アッシュビルのビルトモアエステートと、ノースカロライナ州ブーン近くのブルー リッジ パークウェイ沿いで行われた。最も有名な場所はグランドファーザー マウンテンで道路の一部が後に「フォレスト ガンプ カーブ」として有名になった。
■ ワシントン DCのリンカーン記念館とリフレクティング プールで行われた平和集会

Reflecting Pool / DeaPeaJay
ガンプがジェニーと再会するシーン。1500人のエキストラが使用された。CGで群衆を合成している。映画ではガンプのスピーチは表現されなかったが、原作では「戦争を愚かだ」と否定している。
■ アメリカを走るフォレスト。

Forrest Gump's Mama always said "You got to put the past behind you before you can move on". / rulenumberone2
原作にはないエピソード。映画ではトムハンクスの弟ジム・ハンクスも参加している。
● ランニングシーンのロケ地
サバンナ地域とその周辺でも撮影されたシーンが多い。

West Bay / It's No Game
ランニングの撮影地はビューフォートのリチャード V. ウッズ メモリアル ブリッジ、サバンナのウェスト ベイ ストリートなど。
・マーシャルポイント灯台

Marshall Point Light / susanbellphotography
フォレストが初めて大西洋に到達するために横断する灯台は、メイン州ポート クライドにある。
・ユタのモニュメント バレー

フォレストがランニングを終了した場所
・その他のシーン: アリゾナ、モニュメント バレー、モンタナのグレーシャー国立公園で撮影された。
■ 支払いのトラブル。
原作者は映画の純利益の3%を受け取る契約を結んだ。だがパラマウントと映画プロデューサーは作品はお金を失ったと会計して原作者にお金は支払われなかった。ハリウッド会計と呼ばれる問題の多い算出法だ。アメリカでは度々、訴訟になっている。
■ ラスト

ラスト。主人公の旅とやや分かりにくいオチを解説。
1. ガンプの独白
ガンプの独白で一気にストーリーはまとめにはいる。
ガンプはジェニーの墓前で語る。 「母は言っていた、死は人生の一部だと」そして自分の想いを述べる。 「母が正しいのか、ダン中尉が正しいのか分からない ~(中略) みんなには運命があるのか、それともただ風に吹かれているだけなのか。でもたぶん両方が起こっているのだろう。・・・・」
そして寂しいと呟き、ぼくはここにいるからねと呟く。
ガンプは真っすぐに生きてきて、母の愛を受けて事業でも成功した。観客からすると上辺だけ見ればガンプは幸せに見える。だがガンプは悩み苦しんでいたことを独白する。ガンプの感情が一気にあふれ出しており、観客の涙を誘うシーンだ。
2. ガンプJrの乗るバス
ガンプジュニアが乗るバス。ガンプの時代に運転手も担当したドロシー・ハリスが今も担当だ。
ガンプはかってガンプの母が見送ったように、自分の息子を送り出すまでに成長した。ガンプJrによる新しい旅が始まるのだ。
3. 羽根

White Feather / Scouse Smurf
羽根のシーンは今作で目を惹く。CG合成で有名になった。羽根は作品の導入部に登場、そしてエンディングでも登場している。
作中では羽根自体に説明はない。ただしガンプが亡くなったジェニーに話しかけるシーンが説明といって良いだろう。ミセス・ガンプを演じたサリー・フィールドも羽を運命になぞらえた。「風に吹かれて、あちらこちらに着地する。それは計画されていたのか、それとも偶然だったのかはわからない」と語った。
人は羽根のように翻弄されているだけなのだろう。 だがガンプのように他人や自分の人生を受け入れる。愛する者の死や成長を見守り、そして自分自身も生きていくしかないのだ。
なおトムハンクス主演でゼメキス監督の映画「キャスト・アウェイ」では、天使の羽根が展開に関わる重要なアイテムになった。
■ テーマとオチのまとめ

映画「フォレストガンプ」はサクセスストーリーに見える。そして古き良きアメリカを描く、アメリカ版の昔話の様でもある。
映画は、アメリカ人の理想をガンプに重ねている。仲間を助けて家族を愛する。軍に入って活躍して、退役後は事業を初めて成功する。そして主人公ガンプが立派に成長したシーンで終わる。知らないうちに子供がいたというのはよくあるパターン。映画「フィールドオブドリームス」でも有りました。 自由奔放に生きて子ども得ていたのはアメリカ人にとっても理想なのでしょう。
ガンプはかって愛情を注いでくれた母のように、息子を見守れるまでに大人になった。作品では主にガンプとジェニーの二つの人生を描くが最後は2人の人生が交わり、ガンプJrによって新しい人生が始まる部分で幕となる。
ガンプが幸せなのか、それとも不幸なのかの判断は観客にゆだねられる。

■ あとがき

愚直な青年が人生を上手く運んでいくストーリーは、物語の構成で古くからあるパターンです。
小説だと『アルジャーノンに花束を』が有名。 日本だと「裸の大将」などもそう。奔放に生きて彷徨う雰囲気は『寅さん』シリーズにも見受けられる。
ガンプは何をしても幸運に恵まれる。ファンタジーのような不思議な能力を持つ。 話作りには便利な能力であり、同じくトムハンクスが出演した『グリーンマイル』でも死刑囚がもつ不思議な能力が描かれた。ガンプは序盤に障害を持つ。だが映画『エレファントマン』のような悲壮な雰囲気にならなずに明るく乾いた空気を持っている。
この映画「フォレスト・ガンプ」が面白いのは対極となる人生を描いたこと。恋人のジェニーが全く別の人生を歩むところだ。アメリカが激しく変化して成長していた青春のような時代を、ジェニーとガンプ二人が生きることで描いている。
「フォレストガンプ」はゼメキス監督が得意とするコメディーやファンタジー寄りの構成だ。フォレストガンプでは障害や差別が扱われて大きな事件などが次々に登場する。だがあまり大きく取り上げられることは無く、制作側の考えは抑えた表現にとどめられた。例えば反戦集会でガンプのマイクがオフになるなど。 また今見るとちょっと笑えない、ジョークにならないシーンもある。原作がある上に古い作品なのもあるが、やはり差別や病気を扱うのは難しいのだと感じた。そのあたりが今見ると煮え切らない・惜しい感じに見える。
ただガンプを差別する者やいじめる物に対して敢えて大声を上げて反発しなくても。 ガンプがかろやかに生きて成功していくのは痛快だ。また映画自体が十分にヒットしており万人に受けた。ゼメキス監督の判断は正しかった。

Banco / AlexSlocker
■ 関連商品
気になる方、「また観たい!」時用に紹介。
■ 映画
>ブルーレイ
>DVD
■ 配信
• Amazonプライム
プライム会員は、キャストアウェイが無料対象の場合が有ります。
*2018年12月時点では無料対象。
• Amazonプライムビデオ
■ 音楽
サウンドトラックは、スコアと音楽集の2種類がある。
・サウンドトラック
サウンドトラックは 1994 年 7 月 6 日にリリース。32曲入り。
ボブ・ディランやプレスリー、ビーチボーイズと有名な音楽が並ぶ。ゼメキスの要求によってえらばれている。
・サウンドトラック スコア
映画のスコアはアラン・シルベストリによって作曲・指揮された。1994 年 8 月 2 日にリリース。
サウンドトラックはビルボードで最高2位を獲得した。1200マン枚を売り上げている。
■ 小説
■ 公式動画
■ 参考
・Wiki https://en.wikipedia.org/wiki/Forrest_Gump
■ 更新情報
2024年11月5日 文章調整 誤字修正 項目や区切りを増やして見やすくした
2022年12月23日(金) 作成