映画「フィールド・オブ・ドリームス」の謎やオチ解説。感想。

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 今回紹介するのは、映画『フィールド・オブ・ドリームス

主演はケビン・コスナーで、監督・脚色はフィル・アルデン・ロビンソン。野球映画では有名な作品で、見た人も多いと思います。 

今作は不思議な現象が次々に起きるが説明が少ない。。~ 話やオチが分からない人も多いでしょう。 

今回は不可解な部分とオチやラストシーンの解説。 一度見て分からない方向け。ネタバレと謎やオチ解説なので、知りたくない方は見ちゃダメ。


■ はじめに 『フィールド・オブ・ドリームス』(Field of Dreams)とは (1989年)


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 理解を深めるために 簡単に映画の概略を紹介。
原作は小説の『シューレス・ジョー』。映画版のタイトルは製作途中で「フィールド・オブ・ドリームス」に改名された。なお原作の題名は当初「ドリームフィールド」であり、出版社が「シューレスジョー」に改名している。なお仮題は「JDサリンジャーの誘拐」だった。

主演のケビンコスナーは今作の前々年には「アンタッチャブル」、今作の翌年には『ダンス・ウィズ・ウルブズ』、そして『ロビン・フッド』『JFK』とヒット作が続く。まさに絶好調の時期だ。

1989年制作の古い映画だが、題材がアメリカの人気スポーツ。そして地方で農業を営む平凡な家族に起きる物語であり、美しい田舎の風景は今でも魅力がある。

 ● 映画のあらすじ

 At the original Lansing Farm site in Dyersville, Iowa. Original image from Carol M. Highsmith’s America, Library of Congress collection. Digitally enhanced by rawpixel.
At the original Lansing Farm site in Dyersville, Iowa. Original image from Carol M. Highsmith’s America, Library of Congress collection. Digitally enhanced by rawpixel. / Free Public Domain Illustrations by rawpixel


 映画のジャンルは、ファンタジー。

 主人公は、レイ・キンセラ。都会から、田舎にやってきて農業を営む。
ある日トウモロコシ畑で謎の声を聴く。「作れば、彼ががやってくる」。

主人公は、収穫前の畑をつぶして野球場を作る。周りの人間や親せきは、主人公を奇異の目で見る。借金の負担が重くのしかかるが、ある日球場に野球のユニフォームを着た男が現れる。それは伝説の選手「ジョー・ジャクソン」だった。そして彼は仲間を呼ぶ。「アンラッキーエイト」と呼ばれた選手たちだ。

レイに借金の返済期限が迫る中で、謎の声は続く。主人公は声の指示に従い、問いかけを解決していく。そして不思議な出来事が次々に起こっていく。



■ 制作経緯

1981年のこと。監督のロビンソンは原作を読み、気に入ったので映画化について活動を始めた。ロビンソンは売込みしながら、脚本を進めた。そして1985年にユニバーサルがプロジェクトを受け入れた。

 ■ 構成について

有名な史実を使って、次々と不思議なことが起こる話だ。ざっくり言えば、ベースボールとサリンジャーへの小説に対する懐古だ。
田舎で野球好きの純粋な少年が、野球場を作り夢をかなえていく。今作品の魅力は、野球の魅力。そして野球で繋がる人の絆だ。

主人公は平凡な男。だが苦労して自分を育てた父に、冷たい仕打ちをしたことを後悔している。田舎に溶け込もうと土良くするが、うまく馴染めずに侮辱もされる。だが今回の球場づくりだけは譲らない。主人公に有るのは家族の応援と、夢をかなえるという信念だけ。主人公に次々に起こる奇跡が見どころだ。

■ 謎解きと解説


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 わかりにくい部分を解説。
私も一回目ではオチの意味が完全には分からずに、消化不良感があった。何回か作品を見直したり、データを調べて疑問点を解決してます😃

なるだけ整合の取れる解釈をします。 ~推測部分は注釈を入れて解説。

● 役柄、人名、俳優 
  
• 主人公   = レイ・キンセラ(ケビン・コスナー)
• 地元の彼女 = アニー・キンセラ(エイミー・マディガン)
• "シューレス"・ジョー・ジャクソン  = レイ・リオッタ
• 作家 テレンス・マン ジェームズ・アール・ジョーンズ
・Dr.アーチボルト・"ムーンライト"・グラハム= バート・ランカスター[注


■ エピソードと解説 

 
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 Field of Dreams
Field of Dreams / CGP Grey

  
 エピソード毎に解説。 謎は時間順に紹介。

キャラクターも不明な部分が多いので解説を入れた。
この映画は、各キャラクターの立場や経歴が不明な場合が多い。あまり深く突っ込んでないところが、この映画特有のぼやっとした雰囲気、ファンタジーのような感触になっている。


■ 主人公 レイ・キンセラとは

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 都会育ちで、妻の地元にやってきた。農家を営み、娘カリンと一緒につつましく暮らしている。

原作小説では、双子の兄となっている。映画ではこのプロットは破棄されている。 配役だが、当初はトム・ハンクスにオファーして断られている。 主人公役のケビン・コスナーは、『さよならゲーム』(Bull Durham)で野球に関わったばかりであり、今作に興味を示すと考えなかったようだ。 ケビン・コスナーは今作の出演後も好調で、立て続けにヒット作に恵まれている。

■ 謎の声 「作れば、彼はやってくる(If you build it, he will come)」
 
2006-07-26 - 27 -  Road Trip - Day 03 - United States - Iowa - Dyersville - Field of Dreams
2006-07-26 - 27 - Road Trip - Day 03 - United States - Iowa - Dyersville - Field of Dreams / CGP Grey


畑でレイが聴く幻聴。なぜか妻には聞こえない。レイは青年時代に父との決裂してから、奔放に生きた。だが結婚してからは平凡に生きている。だが、謎の預言を信じて行動を始める。理由は父親のように何もせずに終わりたくないから。見方を変えれば、妻や子に人生すべてを捧ぐのではなく、父親がかって夢みた野球へ関わる道を自分も挑戦することを選んでいる。わがままに生きたレイが、夢をかなえずに苦労して死んでいった父親への罪滅ぼしにも見える。

なお作品の序盤でレイは、謎の声が気になりすぎて少し頭がおかしい感じになる。これはケビンコスナーが後の作品である『JFK』で演じた地方検事の役と良く似ている。

 face of Costner
face of Costner / oxfordmikie50


 ● 『ハーヴェイ』 映画 1950年

主人公レイが、娘がTVを見るのを咎める。その作品が『ハーヴェイ』だ。主演はジェームズ・ステュアート。アメリカの映画だ。あらすじは主が、大きなウサギと親友という幻想を抱いている。主人公は他の人が見えないものが見えることから始まるストーリーだ。

構造は「フィールド・オブ・ドリームス」と同じ。レイは「あいつは変人なんだ」と、娘がTVを見るのを止めてしまう。その後、皮肉なことにレイ自身がこの町で騒動を起こす。

 ● 父親との断絶
主人公レイは14才の時にテレンスマンの小説を読み、父親ジョンとのキャッチボールをやめた。そして犯罪者であるジョーを英雄扱いしていると侮辱した。父親の関係は断絶。主人公が街を出た後に、父親は無くなっているため、主人公は後悔していた。

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second base / gfairchild





● 農場 

  lightness of being
lightness of being / Cornelia Kopp


 主な撮影場所はアイオワ州ダビューク郡。

● 球場 Dyersville, IA 42°29'51.8"N 91°03'18.4"W

 Iowa
Iowa / US Department of State


 キンセラ農場のシーンは、アイオワ州ダイアーズビルにあるドン ランシングの所有地で撮影された。野球場のシーンのいくつかは、隣接するアル アメスカンプの農場で撮影された。

2010年7月に球場を含む、農場が売りに出された。2011年に売却された。



■ アンラッキーエイト
 
 MLB Hats Done Rignt (Home)
MLB Hats Done Rignt (Home) / LandRover164


  かってメジャーリーグで起きた、ブラックソックス事件で追放された野球選手8人を指す。

 ・ジョー・ジャクソン 

 [Shoeless Joe Jackson, posing as catcher, Chicago AL (baseball)] (LOC)
[Shoeless Joe Jackson, posing as catcher, Chicago AL (baseball)] (LOC) / The Library of Congress


 映画でトウモロコシ畑の球場へ最初に現れた人物。不思議なことに彼自身が自分が若いことを驚いている。また自分の姿を保つのに、フィールドの外には出れないと悟っている。

経歴:ジョーはメジャーリーグの選手。外野手、打率4割で、最年少記録やMVPで上位に入るなど好成績を残した。だがワールドシリーズの『ブラックソックス事件』で、永久追放された。


 ・ブラックソックス事件
 
 [Joe Jackson, Cleveland AL (baseball)]  (LOC)
[Joe Jackson, Cleveland AL (baseball)] (LOC) / The Library of Congress
 
 
元となったのは、実際に起きた事件だ。 1919年メジャーリーグのワールドシリーズで発生した。新聞が暴露して、賭博が発覚。ホワイトソックスの選手8人が刑事告訴された。選手は刑事責任は免れた。しかし新たに誕生したコミッショナーにより、選手たちは球界から永久追放された。

経費を出さないオーナーの仕打ちに対して、選手が八百長に手を染めたといわれる。ブラックソックス事件のきっかけを作ったと言えるオーナーは処分をまぬかれ、後に殿堂入りするなどの名誉を受けた。それゆえ世間には処分を受けたメンバー達への同情が集まり「アンラッキーエイト」と呼ばれた。後に映画や小説の題材にもなった。映画「ナチュラル」でも扱われている。



■ 「ここは天国か?」

Field of Dreams
Field of Dreams / mwlguide


 シューレスジョーが、トウモロコシ畑の球場を見てをおもわず呟く言葉。 ここで面白いのは、ジョー自身は戸惑っている。つまり彼が望んで球場に来たわけではない。 主人公の作ったフィールドが彼らを引き寄せている。

このセリフは、主人公の成長や変化を試すように、ラストにもう一度登場する。


 ● 謎の力に関するルール

 主人公が謎の声に従って、努力するうちに次々に奇跡が起こっていく。 突如、故人である有名な選手が現れる、自分が時代を超えてしまうなどだ。その力は主人公以外の人物やトウモロコシ畑の球場以外でも働いており、一見ルールは無いように見える。

だが謎の力が働く人には、ひとつだけ共通項がある。
それは「野球でやり残したこと」があるということ。 主人公は父の好きな選手を侮辱したことを後悔している。シューレスジョーは球界を追放された。

わき役でも同じ。レイの妻の娘は主人公の球場づくりに協力する。レイの妻の娘にとっても、野球によってレイと祖父が仲違いしているので関係がある。 レイの義兄には、終盤までフィールドの選手たちが見えなかった。だが娘の事故の後で主人公に協力しはじめると、選手たちが見えるように変化している。



■ 作家 テレンス・マン

 
Meeteetse Catcher / newrambler


 映画の原作小説では、主人公が会う作家はJ・D・サリンジャーだ。 だが映画では、ヒット作を出した後に隠遁しているという設定だけを残して、別キャラになっている。制作側が、サリンジャーの告訴を恐れたからだ。

 ・ 作家と主人公、謎の会話
作中で主人公レイは、「自分の父親の名前がテレンスマンの小説に使われている」と語る。ちょっと理解が困難なセリフだ。これは原作と映画で設定が変わったことにも一因がある。

実は、サリンジャーの短編に”レイ・キンセラと”いう名のキャラが登場している。「フィールドオブドリームス」の原作では、主人公がサリンジャーの小説に登場するキャラと同名で縁を感じる設定だ。だが映画「フィールドオブドリームス」の場合は、架空の小説家が想像した登場人物に、さらに架空のキャラが縁を感じるという3重構造。理解にしくい展開だ。

 ・ 謎のメッセージ

~ここまでは、主人公を導く物は、謎の声や妻の予知夢などやや曖昧なものだった。だが主人公と作家が訪れた球場では、アーチボルド "ムーンライト" グラハムの経歴が流れるのを目撃する。

突然SFのような展開になるのだ。今までの謎の声とは、次元が異なる展開だ。 まず場所が拡大した。フィールドから遠く離れているのに預言が現れた。 次に謎の予言が視覚面でも届くようになった。 そして複数の目撃者。メッセージは作家も見ており、さらには、レイの妻が旦那と作家が球場にいる夢をみている。 球場を取り巻く不思議な出来事が、もはや主人公だけの幻想ではないと明らかになってくる。



■ アーチボルド "ムーンライト" グラハム

同名の実際の野球選手に基づく。メジャーで一回だけ出場するが、チャンスが巡ってこずに球界を去った。そして医師になったのは同じだ。

原作の作者が経歴を調べ上げている。 なおグラハムの経歴は若干異なっており出身地などが異なる。また唯一のメジャーリーグゲームは、1922シーズンの最終日ではなく、 1905年6月に行われた。そして本物のグラハムは1965年に亡くなっている。

なお配役だが、当初はジェームズ・スチュワートにオファーされていた。

 > 夜の街で1972年のグラハムに会う。

ミネソタでは、驚く現象が発生している。主人公が、夜の街に出ると突如過去へ移動してしまう。そこには老年のグラハムが居た。遂に、主人公自身もジョー達と同じように時間を超えてしまうのだ。

> 若き日のグラハム
主人公達はアイオワへの帰路につく。そこへヒッチハイカーとして若き日のグラハムが現れて、主人公の車に同乗する。不思議なことに、フィールドの外なのに若い姿を保っている。また医師時代の過去や昨晩に主人公達と会った記憶はないようだ。

 ・ウィンク
この映画で良く分からないが、グラハムのウィンクだ。若き日のグラハムは「相手選手にウィンクしてやる」と息巻いており、実際に行う。すると相手のピッチャーが激怒するのだ。ルーキーの挑発に怒るのは分かるのだが、激昂してビーンボールを何回も投げており怒り方が半端ない。「ウィンクして相手が激怒する」のは、アメリカの映画や風習でもあまり聞いたことが無い。良く分からないシーンだ。



■ その他の人たち

Basilica of St. Francis Xavier
Basilica of St. Francis Xavier / Dirk DBQ


この映画で面白いのは、登場する街の人々の愛層が良くないこと。 主人公が棲むアイオワの街の人たち、主人公が訪れるボストン。野球場売店の売り子。誰もがむすっとしており不機嫌そうだ。

作品の雰囲気からすれば、ニコニコしていてもよさそうなものだが。おかげで愛嬌のあるキャラが目立つ。例えば主人公の娘や、ボストンの新聞社の婦人の人柄の良さが輝いている。また作品全体にシニカルな雰囲気が出ており、引き締めるのに成功している。

MLB Cafe
MLB Cafe / Kanesue




■ 終盤 

 Field of Dreams
Field of Dreams / NatalieMaynor


 ● 事故 ~そしてドクターの夢が成就する。

義兄マークと主人子が口論。そのさいに娘がベンチから転落してしまう。そこへ、グラウンドにいたグラハムが一瞬ためらった後にフィールドを出て娘の蘇生に向かう。

不思議なことに、グラハムはフィールドを出ると戻れないと分かっている。 だが「一度でいいからメジャーの選手と試合がしたい」というグラハムの夢は叶っており、悔いはないようだ。


● トウモロコシ畑にいく作家

 このシーンも分かりにくい。テレンスマンは小説を書くことを予感させる。おそらく「フィールド・オブ・ドリームス」の原作が生まれることを予感させている。


● 義兄にも見えた
義兄マークは、姪を危険な目に合わせてしまい猛省する。すると不思議なことが起こった。グラウンドのプレイヤーが見えるようになったのだ。同一人物でも、フィールドが見えるように変化する現象だ。

 Field of Dreams Movie Site
Field of Dreams Movie Site / jjandames



● 娘の予感
娘も予言をする。「お客さんがたくさんやってくる」と。 既に球場が生む謎の力は、娘まで波及しているのだ。


● 去り行く作家
ジョーは、作家をトウモロコシ畑に誘う。主人公は自分が招待されなかったことに憤る。~しかし冷静に考えると、まるで作家が黄泉の国に連れていかれるようであり、少し怖いシーンだ。

だが、ジョーは名プレイヤーと会うことを夢見ており、夢を実現するわけだ。ここでもフィールドが一人の男の夢をかなえた形だ。

Field of Dreams
Field of Dreams / S.A. Street Photographer



■ クライマックス 


 Field of Dreams
Field of Dreams / H. Michael Miley


 いくつかの仕掛けや謎が収束、そして解決していく。
分かりにくい部分を解説する。

1. 謎の声は誰か。

主人公はジョーに問いかける。だが「声は君自身だよ」と返される。
観客は一見納得しそうになるが、実はこれはおかしな話だ。一部の声は、確かにレイ自身なのはあり得る。だがタイムスリップしたり、球場では主人公にはゆかりのないグラハムの名前が示されたうえに、作家も見ている。一連のメッセージを主人公が発しているとは考えられないからだ。正確に言えば、謎の声は主人公を通して授けられたこともある、ということだ。

なお制作側は、謎の声優を明らかにしていない。 製作中に、俳優たちの声を個別に録音作業をしたこともあるようだ。余談だが、妻役の実際の旦那であるエドハリスともいわれている。原作者は、エドハリスが声を担当したと伝えられた、と書いている。

3. 「ここは天国か?」

グラウンドにいたキャッチャーは、実は主人公レイの父親だった。
レイが作品の序盤で、悲しむほど老いていた父ではない。レイが初めて見る、前途洋々たる姿の父だ。そして、初めて妻子の前に現れた自分の父だ。

ジョーはレイに「ここは天国か?」と問いかける。そしてレイは「天国はあるか?」と問いかけると、ジョーは「ある」と答える。ジョーは死と天国を理解しているのが興味深い。そしてレイは家を見て「ここが天国だ」と言う。レイは短い期間だったが、家族との絆を深めつつ様々な人と会い成長した。そして我が家のすばらしさを知ったのだ。アメリカ映画で重要視される、家と家族への愛を告白している。

3. 父親との邂逅。

どうやら、父親は主人公のことを記憶している。親子間にはうれしさも有るが、おおきなわだかまりが漂う。

かってレイは、父と野球を拒絶して街を飛び出して、父には2度と会えなかった。 作品の序盤で、レイは「何もせずに終わった父親のようになりたくない」と球場づくりを始めた。だが結局は、父の好きだった野球の場所を作っている。老人のように見える程に苦労しながらも、主人公に野球と言う夢を託したかった父。それをレイは拒絶したことを悔やんでいる。野球場づくりは、父への罪滅ぼしのようでもあり、仲直りしたい・会いたいという自分の夢でもあった。

主人公は意を決して、父に「キャッチボールしよう」と声を掛ける。キャッチボールの誘いは、父親のすべてと親子で有ることを肯定する。主人公の精いっぱいの声に出した謝罪だ。 父親は受け入れ、親子のキャッチボールが始まる。フィールドによって、父子の夢がかなったのだ。

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 ● 作品の最終シーン 

 親子のキャッチボールが空撮される。素敵なシーンだが、面白いのは映画「ナチュラル」との酷似だ。ナチュラルでは主人公が故郷に帰り、畑の中で息子とキャッチボールをする姿が写って終わる。今作『フィールドオブドリームス』でも父子のキャッチボールで終幕する。

・最後の奇蹟 

球状へ繋がる道に、車のライトが並ぶ。全米からフィールドへ人々が押し寄せてきたのだ。

一見するとSFXやCGに見えるが、実写による映像だ。撮影は地元のエキストラが協力している。ダイアーズビルの街からフィールドまでを車が埋め尽くしている。台数は、500台。 撮影すると、車が道路のライトのように見えた。動きを出すためにヘッドライトのハイローを切り替える指示が出されている。撮影は監督とJ. デビッド ジョーンズ(「アポカリプス ナウ」、「スピード」、「ツイスター」などの映画の航空写真を担当) が行った。



■ テーマとオチのまとめ

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 この映画のテーマはやはり野球だ。
テーマ自体は、トウモロコシ畑に消える作家が熱く語っている。野球だけが変わらなかった。不変だと。

次々に引き起こされる奇跡も、「人々が心から望んで、ここにやってくる」と解説される。不思議な出来事は、一人の男が作った球場が起こした。そして力の源は野球なのだ。


■ あとがき


 kevin costner.
kevin costner. / _mogi.


 お告げを受けて、男が行動するのは映画でよくあるパターンです。
典型で想い起されるのは創世記のノアの箱舟物語であり、いつになっても魅力がある構成です。

この映画は、破たんした部分も多い。不可思議な現象は、整合が取れていない。だが高い人気があるのは、アメリカで人気のベースボールが題材というのもあるが、感情を強く揺さぶる力でしょう。

誰もが心に持つ、悩みや痛みを解消している。例えば、作中で主人公レイは「父が俺の年には、もう老人だった」と呟く。 残酷な言葉です。誰もが年を取る。苦労することも有る。だがレイは父親に苦労をさせてしまった、いたわることが出来ずに、罪に悩まされていると伝わる。

誰もが夢があり、若い日があった。そして過ちを犯す。だが謝罪の機会を失い、後悔に縛られる。「あの時ああしていたら」「あの時あやっていれば・・」年を重ねれば、誰もが持つ感情だ。

そんな誰もが持つ気持ちや夢を、映画「フィールド・オブ・ドリームス」は見事に表現している。


■ おまけ - 鑑賞法と映画の見どころ 


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Field_of_Dreams / IowaPolitics.com


 映画『フィールド・オブ・ドリームス』の楽しみ方。
この映画は、不可思議な力や現象を余り説明していません。最後の作家が語る「野球の力」が根源で、力技でねじ伏せている。


 ●  SFの構成。それともポエムか?

今作の構成は、ファンタジーどころかSFです。
主人公は時を飛び越えて、謎の予言を成就させてゆく。他の人々も不思議な力にひきよせられて、死を超え時や場所までも超えて球場に集まる。私も最初は、なにか整合性はあるのか。話を読み解くキーワードやルールはあるのだろうか?と考えた。だがあまりに謎が多くて、整合は取れないと悟った。

SFの楽しみ方の一つは、トリックを読み解くようにSFのアイデアが生んだ混沌を説く方法を推理することだ。 だが今作で不可解な現象は、話を進めるための単なるきっかけでで重要ではない。科学の説明や物語の整合性は放棄している。

これは作品がSFというより、ポエムの領域でしょう。話の核は、親子の邂逅や野球への郷愁だ。野球や家族、田舎に感じる思いをドラマにしたに過ぎない。

敢えて超常現象を受け止める、もしくは流す心のゆとりが必要です。「バックトゥザフューチャー」や「ターミネーター」のように、主人公のドタバタを楽しむ。田舎の景色を眺める。 もしくはテーマのみを楽しむのが正解でしょう。


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■ 音楽


 音楽はジェームズ・ホーナーが担当した。

 ・ サントラ

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