映画「ナチュラル」の謎やオチ解説。感想。

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 今回紹介するのは、映画『ナチュラル』

ロバート・レッドフォード主演で、監督はバリー・レヴィンソン。野球映画では有名な作品で見た人も多いと思います。 

今作は史実を元にした部分が多いこともあり、映像だけで表現する部分が多い。~ 話やオチが分からない人も多いでしょう。 

今回は不可解な部分とオチやラストシーンの解説。 一度見て分からない方向け。ネタバレと謎やオチ解説なので、知りたくない方は見ちゃダメ。


■ はじめに 『ナチュラル』(The Natura)とは (1984年)


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 理解を深めるために 簡単に映画の概略を紹介。
原作は1952年のバーナード・マラマッド著作の同名小説から。タイトルは”天性の才能を持つ人”の意味がある。

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『レインマン』や『グッドモーニングベトナム』で有名なバリー・レヴィンソン監督と、『明日に向かって撃て!』や『スティング』他、多くの名作で有名なロバート・レッドフォードが主演。魅力がある組み合わせになっている。撮影は前年公開された『ライトスタッフ』を担当した、キャレブ・デシャネルと豪華な布陣だ。さらに有名俳優も多数出演する。

1984年制作の古い映画だが、題材がアメリカの人気スポーツ。そして地方から出た青年が夢を追う姿と、不正を行う周りとの確執。作品自体のテーマは今でも通用するし、魅力がある。


 ● 映画のあらすじ

 映画のジャンルは、スポーツもの。

主人公は、ずば抜けた野球の才能を持つ。
ピッチャーとしてスカウトされて、田舎から野球選手になる為に都会へ向かう。だが事件に巻き込まれる。

その後、35歳になったロイ。ルーキーとしてメジャーリーグに登場。なんとバッターとして再起していた。最初はバカにされて干されるロイだが、小さなチャンスから実力を見せ始める。やがてチームをけん引する中心人物として成功していく。

 ■ 構成について

 
MLB Hats done Right (Road) / LandRover164


有名な史実をベースにした小説。
田舎で野球好きの純粋な少年が、野球で成功する。まさにアメリカンドリームを描いている。だがこの作品の魅力は、有名なとばく事件を元にした悪との葛藤だ。

主人公ロイは自信家で、天才。そして不正や圧力には断固として戦う。 だが魅力もある。都会で女性の誘惑に翻弄されたり弱い部分も見せる。そしていつもファンやマスコットボーイの子供にやさしくする純粋な面を持つ。観客は安心して感情移入して観れる。 

映画版では、純粋な野球好きの男が、メジャーリーグの中で、古い慣習や巨大な権力と戦い生き抜くかが見所。


■ 謎解きと解説


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farm / lakshmansrikanth


 わかりにくい部分を解説。
私も一回目ではオチの意味が完全には分からずに、消化不良感があった。何回か作品を見直したり、データを調べて疑問点を解決してます😃

なるだけ整合の取れる解釈をします。 ~推測部分は注釈を入れて解説。


● 役柄、人名、俳優 
  
• 主人公   = ロイ・ホッブス(ロバート・レッドフォード)
• 地元の彼女 = アイリス・ゲインズ(ロバート・デュヴァル)
• 監督の姪  = メモ・パリス(キム・ベイシンガー)
• 新聞記者  = マックス・マーシー
• 謎の男   = ガスサンズ
• ニューヨーク・ナイツのオーナー = 判事

■ エピソードと解説 

 
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  Robert Redford
Robert Redford / uphillblok


 エピソード毎に解説。 謎は時間順に紹介。

キャラクターも不明な部分が多いので解説を入れた。
この映画は、各キャラクターの立場や経歴が不明な場合が多い。あまり深く突っ込んでないところが、この映画特有のぼやっとした雰囲気、ファンタジーのような感触になっている。


■ 主人公 ロイ・ハブスとは

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架空のキャラ。幾つかの有名な野球選手から作られている。 主にメジャーリーグで、八百長に巻き込まれた選手がベースになっている。

Butch Cassidy and Sundance Kid ( 1969 )
Butch Cassidy and Sundance Kid ( 1969 ) / Thank You (23 Millions+) views


撮影時に47歳のロバート・レッドフォードが、劇中で青年から壮年期までを演じている。 ロバートレッドフォードは、主人公と重なる部分が多い。 彼自身は、野球の特待生としてコロラド大学に進学した。だが飲酒で中退している。

 Robert Redford is kinda haunting me on this trip a little?
Robert Redford is kinda haunting me on this trip a little? / lolololori



なかなか目が出ずにいたが30代の時に映画『明日に向かって撃て!』に出演して一躍注目された。 主人公と重なる部分がある。


 ・ジョー・ジャクソン(人名) 

 [Shoeless Joe Jackson, posing as catcher, Chicago AL (baseball)] (LOC)
[Shoeless Joe Jackson, posing as catcher, Chicago AL (baseball)] (LOC) / The Library of Congress


プロ野球選手。ロイの元になった人物と推測される。
ジョーは外野手。打率4割で、最年少記録やMVPで上位に入るなど好成績を残した。だがワールドシリーズの『ブラックソックス事件』で、永久追放された。「フィールド・オブ・ドリームス」でも登場する。


 ● アイテム: ワンダーボーイ

 
thunder / Chmnll ⚓


主人公のバット。実家にあった、落雷して裂けた木からロイによって作られた。半田ごてで「ワンダーボーイ」と書かれている。
ジョー・シーウェルの持っていたバットが由来と推測される。

劇的なシーンからアイテムが誕生するのは、まるで神話だ。 ヤマトタケルが、ヤマタノオロチを倒した後に、しっぽから草薙の剣を取り出したエピソードを思い起こす。

・ジョー・シーウェル(人名)
メジャーリーグの活躍。内野手で、メジャーリーグ史上最高のコンタクトヒッターと呼ばれた。連続出場の記録を作るなど活躍した。 バットを「ブラック・ベッツィー」と名付けて大事にした。一本のバットで現役生活を乗り切っている。



■ 主人公の元彼女 アイリス 

主人公が故郷で付き合っていた女性。主人公が街を離れる前に、結婚の約束をしている。再婚もせずに、失踪した主人公の子をしっかり育て上げていた。

主人公がアイリスと付き合う時機は運気が上がる、彼女はあげまんだ。 主人公がメモと付き合って不調になる中、アイリスがスタンドに現れて好調に導いた。



■ マックス・マーシー

新聞記者。主人公を追う、解説する役目だ。
主人公を好意を持って追いかけているように見えるが、主人公に蛇蝎のごとく嫌われている。主人公に何度もボールをぶつけられている。

 
Newspaper pile / Valerie Everett


マックスも、上手く使えていないキャラだ。
多分、マックスは主人公につきまとう面白キャラとして作られている。だが俳優がロバート・デュヴァルだ。『地獄の黙示録』のキルゴア中佐のイメージが強すぎて、良い人にもギャグ担当にも見えないのが残念だ。

実際の「ブラックソックス事件」では、賭博を明るみにしたのは記者だ。 だが映画のマックスは現実と異なって賭博をしており、怪しい男ガスを主人公に紹介する。つまり展開を進めるための埋め合わせ用人員だ。彼もまたピンボケなキャラで、単なる変な人になっている。

上手く使えば、観客や大衆視点で主人公を応援できるキャラにも出来るのに勿体無い存在だ。例えば、映画『ライトスタッフ』のラストで、”ホットッグ”ゴードン・クーバーを見守る記者や神父のようになれたはずだ。



■ 最初の対決 

主人公は、汽車の中で出会ったワマーと対決することになる。ワマーはベーブルースがイメージ元。
なおこの対決前には、謎の女性バードがワマーを追っていた。だが勝利した主人公を見て、追跡対象を切り替えている。

 
Babe Ruth 003 / rchdj10



■ 謎の女 ハリエット・バード(バーバラ・ハーシー)

 
Revolver / trawin


謎の女。主人公をホテルで銃撃する女だ。同機は不明だが、当初はワマーを追っていたため野球選手を狙っていたようだ。映画公開当時には、定義する言葉が無かったため存在が分かりにくいキャラだが、いまなら「ストーカー」と言えば分かりやすい。

主人公が野原でワマーと野球対決する際に、女は相手バッターのワナーに付きまとっている。 後に主人公を銃撃した後に、自殺していると分かる。生い立ちや狙撃や自殺理由も不明。

彼女も作中で、上手く機能していないキャラだ。それゆえ、単に主人公に年齢を重ねさせるための仕掛け。もしくは後に主人公を脅迫する素材になっている程度だ。

映画内の役割では、主人公を誘惑して負の面に落とす最初のキャラだ。~もう少し立ち位置がはっきりすると、主人公に試練を与えるキャラとして機能するのに惜しい。



■ ナイツ 

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主人公が入団するニューヨークの球団。主人公の事件からは16年後の1939年になっている。最下位で苦戦しており、冴えない選手ばかりだ。主人公とともに運気が上昇。勝利し始める。

語感から、同じニューヨークのチーム「メッツ」に掛けているのかも知れない。


● 球場 

 
Baseball / newyorkcitypeoples


野球シーンの多くは、ニューヨーク州バッファローのウォー メモリアル スタジアムで1983 年に撮影された。同球場は1937 年に建設されて、1988 年に取り壊されている。

・アウェイのスタジオ
バッファローにあるオールハイスタジアムは、重要なシーンで シカゴのリグレー・フィールドの代わりになった。



■ 女 - メモ・バリス

監督の姪。謎の男ハブスと付き合っている。並行して主人公を誘惑する。
叔父に「不運を呼び寄せる」と言われるほどの”さげまん”だ。簡単に言えばスターウォーズにおけるダークサイド側だ。主人公に幸運を呼び寄せるバットのワンダーボーイ、同じく幸運を呼ぶ主人公の元彼女アイリスと反発するキャラになっている。

彼女はかなり理解しにくいキャラだ。 まず立ち位置が不明だ。終盤までハブスに送り込まれたのか、私的に好きなのか分からない。また古い映画でよく見かけるキャラづくりで、若くてパニックを起こしやすい性格だ。それゆえ行動が支離滅裂。立場が分からない上に、性格も危ないキャラになっている。

 ・謎の言葉「前に会った」
劇中で主人公がメモに対して「前に会った」と謎めいたセリフを言う。この映画の不思議さに沿うセリフだ。
私の推測:セリフや制作側の意図が不明だが、銃撃した女と本質を重ねているのかも。 つまり、銃撃した女の過去に相当する役目のキャラだ。野球を憎む、もしくは野球で成功するものを恨んでいる女性だ。



■ 主人公に賭ける人物 :ガスサンズ 

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Baseball / newyorkcitypeoples


彼も何者かはっきりしない人物だ。 分かるのは、記者マックスの知り合いで金持ちだ。そして野球賭博を行っている。後半にはナイツのオーナーと賭博していると明らかになる。

立場や行動も理解できないキャラだ。主人公と出会った頃は主人公に賭けており、主人公びいきの様だ。 だがなぜか運気を下げる女を、主人公に近づける、もしくは交際を黙認している。 賭け対象がロイ以外に転々としているの可能性はあるが、良く分からない部分だ。

ガスは登場時のインパクトはかなり強い。不思議な能力を見せており、主人公の手持ち金額をほぼ当てた。主人公の幸運に対抗するような力だ。

 Mephisto Pencil Holder
Mephisto Pencil Holder / debrazer


しっかり立場を説明すれば、ファウストを誘惑するメフィストフェレスに相当するような存在感を出せたはず。もしくは球界に群がる悪として主人公の対抗軸として描けたはず。 だが作中では、ガスの存在は希薄で行動や背景も見せない。ふわふわしたキャラの一人になっている。



■ 判事 /オーナー 

主人公のいるチーム、ナイツのオーナー。明るいところが怖いなど、初対面で主人公にいじめられて面白みがある雰囲気だ。だが、実は主人公を悪の道に誘うキャラだ。スターウォーズの皇帝に相当するような、ラスボスになっている。

判事が悪の理由は、球団内で監督と賭けをしている。そして自チームが負けるほうに賭けている。賭けの条件は、チームが負けると所有権が判事になる。そして終盤、主人公に大金を出して賭けへの協力を強要ぢて悪へ誘う。自チームを手に入れる為に、ふがいない監督と運営権を賭けるのは分かりやすい。 だが判事は、球団外部の男とも賭博をしており、単なる悪になっている。

分かりにくいキャラだ。球団オーナーが不正をしているようにも見えるし、元は賭博師で球団乗っ取りを企んでるようにも受け取れる。

 
Newspaper sunny yellow / NS Newsflash


 さらに現実を知ると混乱しやすいキャラだ。 なぜなら現実の「ブラックソックス事件」では、世間からオーナーが悪玉。判事が事件を整理しており、球界の救世主と認識されている。 ~だが映画では、なぜかオーナーと判事が一緒になっている。そのため現実の事件を知っていると、映画内の善悪が混乱しやすい。 



■ バットボーイのボビー・サヴォイ

 主人公になついている少年。序盤に、主人公と一緒にバットを作る。



■ 産婦人科へ緊急入院 ~ 主人公の再生と誕生。

パーティーで倒れた主人公は、病院に搬送される。そこはなんと産婦人科。みょうにほっこりする状況だ。だが展開では区切りとなる、意味があるシーンだ。私が推測した2点を紹介しよう。

1. 主人公が球界に復帰する、再び誕生する為の場所。
映画でクライマックス前に訪れる大きな試練だ。主人公がどう立ち上がるか、試すシーンになっている。まず医者は、ロイに野球を辞めることを宣告する。 そして悪側の女性メモも、野球を辞めることを提言するがロイは拒否する。

以前は誘惑に負けだ。だが今度は違う。チームメイトとの絆、そして恋人の再会で主人公は変わった。主人公は自分の意思で、悪の誘惑を拒否したのだ。

すると主人公の体からは、かって”間違った行動”から受けた銃弾が取り出される。 結果として、主人公から厄が落ちた、もしくは災難が抜け落ちたような演出だ。悪は去り、主人公はもう一度ここで善として誕生するのだ。

2 失った時間を取り戻しはじめる、最初の舞台。 
16年前にロイは、故郷を出て自分の息子の誕生に立ち会ってない。 だが16年後に、恋人アイリスと産婦人科で一緒になる。二人は新しい生命が生まれる場所の雰囲気と喜びを共有しているのだ。


 ■ 銀の弾丸と謎の食物 ~ 主人公の成長を試す試金石か?

  
Silver Bullet / Rodger_Evans


産婦人科に入院する前に、ひとつ出来事がある。それはパーティーでメモが、主人公に何かを食べさせる。直後に主人公は倒れるのだ。これは、16年前に謎の女に弾丸を受けて倒れた主人公を彷彿とさせるアクシデントだ。

次の産婦人科のシーンで弾丸が取り出されることから、まるでメモが弾丸を主人公に食べさせた・入れたようにも見える。時間を混乱させるような作りで、一見演出意図が分かりにくい。

だが流れを観察すると面白い構成になっている。 観客からは、メモと銃撃した女性が同一、もしくは循環しているように錯覚する、感じるのだ。銃撃と入院。浮気や女遊び・不純な恋愛をすると、主人公が罰を受ける。入院シーンでは再び悪によって、主人公が倒されたように見える。

 ・銀の弾丸
銃撃した女が奇妙だと感じる印象と、今作がファンタジーになる印象を増幅している。
それはロイの銃撃には、なぜか銀の弾丸が使われているからだ。 妙に意味深なアイテムだ。西洋では怪物退治に銀を使う信仰がある。映画などでも悪魔や怪物を倒すのに銀の弾丸が使われる。 悪の道にそれて、怪物になるロイを女が倒したようにも見える。



■ 終盤 

 Comiskey Park Home Plate,
Comiskey Park Home Plate, "Chicago Black Sox" Scandal / Chicago Crime Scenes


終盤は不調となったナイツの勝利が目標となる。3試合連続で負けて、1ゲームのプレイオフが設定された。
主人公は、残りの野球人生を捨ててでも試合に出ようとする。


● 野球賭博が主人公に迫る。

ロイは試合への復帰を望むが、不穏な状況となる。野球賭博が主人公を巻き込むのだ。主人公をオーナーが買収する。そして他に中心人物が買収されていると通告される。

 ・ブラックソックス事件
 
 [Joe Jackson, Cleveland AL (baseball)]  (LOC)
[Joe Jackson, Cleveland AL (baseball)] (LOC) / The Library of Congress
 
 
元となったのは、実際に起きた事件だ。 1919年メジャーリーグのワールドシリーズで発生した。新聞が暴露して、賭博が発覚。ホワイトソックスの選手8人が刑事告訴された。選手は刑事責任は免れた。しかし新たに誕生したコミッショナーにより、選手たちは球界から永久追放された。

映画とはやや異なり、経費を出さないオーナーの仕打ちに対して、選手が八百長に手を染めたといわれる。ブラックソックス事件のきっかけを作ったと言えるオーナーは処分をまぬかれ、後に殿堂入りするなどの名誉を受けた。それゆえ世間には処分を受けたメンバー達への同情が集まり「アンラッキーエイト」と呼ばれた。後に映画や小説の題材にもなった。「フィールド・オブ・ドリームス」でも扱われている。


■ クライマックス 


 一気に多くの仕掛けや謎が収束、そして解決していく。
やや分かりにくい部分を解説する。

1. 買収されているのは誰か。

  
Baseball / Snapmann


ゲーム中、主人公はタイムを取り、ピッチャーに詰め寄る。
ふがいないピッチャーに憤る、だがピッチャーに「お前こそしっかり当てろよ」と返される。そう、ピッチャーが買収されているのだ。チームの雰囲気は最悪だ。

だがその後、ピッチャーは踏ん張り、失点を0に抑えながらゲームは続く。

2. 主人公に渡された手紙の内容は? 
手紙に書かれていた言葉は不明だ。 だが、アイリスの子供が主人公の子供だったと書かれていたのは明白だ。主人公が奮起する起爆剤となった。

2. 最後のバット「SABOY SPECIAL」 

 #Thunder
#Thunder / EKIN4891


バットボーイであるサヴォイの持ち物。主人公が入団初期に、サヴォイと一緒に作ったバットが「サヴォイ・スペシャル」だ。このバットもまた、幸運を呼び寄せるアイテムだ。

落雷を受けた木で作ったバットが、再び落雷の中で砕けるのは上手く伏線が効いており、自然な流れだ。この記事の序盤で、バット「ワンダーボーイ」が神話の剣を想像されると書いた。このクライマックスではバット(剣)が再び破壊されて、新たなバット(剣)を呼び寄せるという劇的な構成だ。 ここで面白いのはアーサー王の越話にも似ている。アーサーは2本の剣カリブヌスとエクスカリバーを使った。2本目の剣が別の人(神話では湖の乙女)に渡って鍛え直されていた構成も似ている。

そして興味深いのは主人公ロイの資質だ。作品序盤に、自宅の木が落雷で真っ二つになった。普通なら不運と感じるだろう。だがロイは木をバットに変える。不運を幸運に替えたのだ。 オーナーの悪の誘惑を断ち切り、体の故障を迎える逆境の中。再び自分で作った「サヴォイ・スペシャル」で、試合や自分の運気の流れを変えるのが面白い。 そしてバットは既に子どもの持ち物であり、サヴォイによって伝説が続くことを想像できるのも観客には愉快ではないか。

また、バットにも雰囲気のバランス取りが見られる。バットの銘に、自分の名前とスペシャルなんて付けてしまうところが、子どもらしくて愛嬌がある。良いガス抜きになっている。


3. 破壊される照明。 

 遂に試合は9回裏。スコアは2-0。二人が出塁。ピッチャーとの激戦が続き、最高に盛り上がる。
主人公は特大のホームランを打つ。球は照明に激突。連鎖して照明が火花を拭いて破壊されていく。

映画「ナチュラル」は、撮影をキャレブ・デシャネルが担当した。彼は、映画『ライトスタッフ』でも印象に残るシーンを作った。グレンが搭乗した、宇宙船フレンドシップ7の周りを宇宙ボタルが舞うシーンを彷彿とさせる。『ナチュラル』では、グラウンドに火花が舞い落ちる中で、主人公がゆっくりと回っていく。幻想的でかつ美しいシーンとなった。


 ● 作品の最終シーン 

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シーンは唐突に切り替わる。畑の中で、主人公がにこやかにキャッチボールをしているシーンで終わる。

小説や元となった事件では選手たちは、破滅。もしくは不幸になった。だが映画「ナチュラル」では、主人公は賭博を拒否。チームを勝利に導いた。そして、ナイツの監督も憧れていた田舎の農場に戻る。

Farm
Farm / carnorlar




■ テーマとオチのまとめ

 【天使の翼】 天使の羽 コスプレ衣装 舞台用 灰羽連盟 エンジェル

恋人アイリスが言ったように、主人公は故郷を出てからは学ぶ時期だった。

そして成長して最後は勝利した。大切なことは、主人公が旅をする中で誘惑と悪を断ち切った。さらに逆境や校長の中でも、野球好きな子どもたちを大切にする純粋さは失わなかった。それは幼いころの夢を守り続けた、自分自身を大切にしたと言える。

主人公のその後は描かれていない。そうアイリスが言ってたように『その後の人生』となったのだ。 ロイは長く離れていた故郷へ帰った。そして、子どもと妻も手に入れた。遠回りした時期もあったが、素晴らしい人生を手に入れたのだ。

アメリカ人や男性が憧れる、幸せで正統派のエンディングになっている。


■ あとがき


I had dinner with Robert Redford
I had dinner with Robert Redford / Global X


ダメチームが一人の人間で変わり始める。この展開は、映画で多いパターン。

しかしナチュラルでは、史実を交えて説得力も持たせている。なのに余り説明しない部分が多い。ギャグも有り、賭博など深刻なエピソードもある。相反する要素が詰め込まれて、それがなぜか破たんしていない。不思議な雰囲気を残している映画だ。

「ナチュラル」の見方だが、実はハートフルコメディとして見るのが正しい。 私は最初、この映画を『がんばれベアーズ』や『プリティリーグ』のようなギャグもの、もしくは『フィールド・オブ・ドリームス』のようなファンタジーものと先入観を持って見始めた。それゆえ見ていて、着地地点が読めずにそれなりにハラハラして視聴した。

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私が映画「ナチュラル」を見始めて思った感想は、映画『天国から来たチャンピオン(1978年)』に展開がそっくりだと言うこと。天国から来たチャンピオンのあらすじは、才能ある青年が事故死するが、天使の間違いだと分かって、現世におじいちゃんとして蘇る。最初は周囲にバカにされながらも、やがてチームを成功に導いていく。そして一人の女性が主人公に惹かれる・・・・。また主人公が体を借りた老人が、実は殺害されていたというサスペンスの軸もある。ナチュラルと話の骨格が良く似ている。

『天国から来たチャンピオン』を野球版としてリメイクしたと考えると、不思議な雰囲気も納得できる。映画『ナチュラル』では、深刻な話題。賭博や浮気、銃撃などがあるために、リアル路線の映画にも見える。だがシンプルにコメディとして視聴すると、夢見て都会に行って浮気した青年が、成長して彼女の元に戻っていく。実にシンプルなほのぼのとした作品になっている。

史実やコメディのバランスが危ういが、なぜか映画として破たんしてない。
映画『ナチュラル』は綺麗な映像もあって、不思議な魅力がある作品になっている。


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■ 映画


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■ 音楽


 2014年にサントラが限定盤として発売されている。


 ・ サントラ



■ データ

 Netflixで吹き替えと字幕版を視聴。


■ 公式動画


■ 参考

 ・Wiki アンラッキーエイト


■ 更新情報

2022年10月28日 作成

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