ドラマ「イ・サン」の謎やオチ解説。感想。

 

  今回は『イ・サン』を全話見た感想と、簡単なあらすじや見所を紹介。

 若干ネタバレに近い解説を含むので、知りたくない方は見ちゃダメです。


 ■ 『イ・サン』とは


 

 『イ・サン』の原題は「이산 李祘」。 韓国のTVドラマで、2007年9月17日~2008年6月17日までMBCにて放送された。当初予定の60話から延長されて全77話。

 監督は「宮廷女官チャングムの誓い」『ホジュン 宮廷医官への道』など、歴代で最高視聴率上位を誇る作品を手掛けたイ・ビョンフン。 俳優は同監督作品に出演した役者も多く登場した。主演はイ・ソジン、ヒロインをハン・ジミンが演じる。

 ➤ プライムビデオ 『イ・サン』


 ● あらすじ

 

 李氏朝鮮の第22代国王である正祖ことイ・サンが主人公。幼いころからの友人であるパク・テスとの友情、そしてソン・ソンヨンとの恋物語も描く。 三人を中心に物語は展開していく。

李氏朝鮮時代(朝鮮王朝)で、イ・サンの生涯と重なる1752年ごろから1800年までが描かれる。日本だと江戸時代。アメリカが独立戦争をしていた頃となる。



 主軸は.前半部はサンが父の汚名を晴らす。王位や派閥を巡る争いや陰謀と戦いながら、奴隷制度や腐敗した制度の改革を目指していく。



もうひとりの主人公といえる女性ソンヨンは、孤児の出身ながら画力の才能と頭脳を活かして、宮廷の見習いから宮廷に重宝される存在まで駆け上がっていく。 後半ではソンヨンとの恋と、後継ぎ争いも主題になる。またパク・テスも武官の道を歩みながら、ソンヨンの恋と王の成功を助ける。




■ 全話を見た感想 


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IMG_5723 / karendotcom127


 全体に面白かった。  
三分の二ほどまではかなりテンションも高く,展開も早い。夢中になって見れた。




 ■ 作品の要素毎の解説。

 
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 『イ・サン』の見どころを紹介する。


 ● 話作り、構成について

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IMG_5704 / karendotcom127


 政治ドラマ、ラブストーリー、アクションのバランスが良くとれている。補完する人間ドラマも魅力だ。



まずイ・サンの軸だが、王族や重臣たちによる暗殺と冤罪の汚名を晴らす戦いの繰り返しが大部分を占めている。マンネリの展開になりそうだが上手く切り口を変えるのと、伏線の展開が巧みで脇キャラクターが上手く問題を解決していくため爽快感が有る。 



ソンヨンの軸では、仕事場や宮廷でのいじめで 自分の生い立ちを卑下する者たちと戦う。持ち前の起点と能力で困難を克服していく姿がすがすがしい。

史実をベースとした創作部分が多いが、展開が面白い。日本の大河がかなり劣っていると感じた。幼い3人の成長と恋心を描く展開はNHK「おんな城主 直虎 」がだいぶん影響を受けていると推測する。 忍者がいたり、現代の服飾や電気製品が有ったりとやや破天荒だが、実際に面白くて視聴率も高いのだから成功しているといえるだろう。



● キャラクター



 魅力有る人物たちがあふれている。

 そして良い人と悪人がはっきりしており、分かりやすい。 基本は悪側が自爆したり成敗されて良い人は出世していくので、水戸黄門のようなすっきりした展開で安心して見れる。

 

 見た目では、女性陣が綺麗。サンの正室(嬪宮)も凛としてカッコいい。ソンヨンの友人チョビも活発でくるくると変わる表情が魅力だ。敵役となる大妃も一貫してすごみがあり見事だった。



 わき役や子役に魅力があり演技のレベルも高い。特に幼少時代のサン、ソンヨン、テスはほんと愛らしいですね。護衛隊のソ・ジャンボやカン・ソッキもはっきりした性格で楽しい。そしてテスのおじであるタロと酒屋の女将マクソンも彩を添えていた。


 

 悪役も良い。才能が有りながらも悪に落ちていくチョン・フギョムやホン・グギョンも目を引く。老論派のチャン・テウは敵ながらも筋が通っており、庶民思いで正義感が強い。

 

 悪側のメンバー達は、派閥や陰謀に関わる理由が自分の子供を守るためや階級や幼少時のトラウマが原因で同情できる場合が多い。根っからの悪役は大妃の兄キムぐらいか。ほとんどの人物が最後は反省や後悔するので憎めないのも見事だ。

 



■ 感動したシーン



・清(中国)での政変に巻き込まれて行き場を無くしたソンヨン。宿代を払うために画材を売り払い、清から厳寒の中を歩いて自国まで帰還する。画家としての夢を絶たれ、恋の行き場も自分の居場所も無くして絶望するソンヨンが切ない。



■ 謎解きと解説


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IMG_5747 / karendotcom127


 不可解な部分とオチやラストシーンの解説。 ネタバレと謎やオチ解説なので知りたくない方は見ちゃダメ。



■ キャラ解説



ソン・ソンヨン: 実在の人物たが、作中と実際はは異なる人生で脚色が多い。 史実のソンヨンは父が宮廷に関した召使いであり、ソンヨン自体も女官となった。側室のファビンに仕えており、王の目に留まる。

ソンヨンが生んだ一人目の子は作中と同様に夭折する。2人目の長女は生後2か月たらずで死亡。そしてソンヨンも3人目の子を宿しながら死亡した。



パク・テス: 架空のキャラ。ペク・ドンスがモデルと思われる。ペク・ドンスは正祖の時代に武官や県官として活躍。作中と同様に武芸書の編纂に関わった。純祖時代に定配(監視付きの流刑のようなもの)されるが、後に復帰した。1816年に死亡。

なお『オクニョ』に出てくるパク・テスと、『イ・サン』のパク・テスとは別人。


■ エピソードと解説 

 
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 エピソード毎に解説。 謎は時間順に紹介。

・ 1~2話 サンの父(荘献世子、思悼世子)はなぜ米びつに入れられたのか? 

サンの父は14才にて英祖の代理となり、老論派との対立が決定する。老論派によりサン父の、素行の悪さが伝えられて英祖との関係が悪化した。そしてサンの父は側室を殺害したり妓生と遊んだり上に、老論派により謀反を企んでいると伝えられて、英祖がサンの父に自決を命じた。自決を拒んだため、米びつに入れられる。

 作中では38話からサンとソンヨンが、サンの父が残した絵の秘密を暴く。サンの父が謀反を企てて無かったことが証明されて、43話に英祖の命による「洗草」儀式により記録から「米びつ事件」は消された。サン父は栄誉を取り戻す。


・ 73話 ソンヨンの子はなぜ死んだ? 



 73話でソンヨンの子である王世子が突然死んでいる。 73話の冒頭でソンヨンが王世子の夢を見ている。急な展開である上に、夢の中の空想と過去が交錯しており分かりにくい部分だ。 
 
72~73話の間で王世子は、はしかで亡くなっている。王世子が夢の中でソンヨンに会いに来たため、ソンヨンがお腹の子が生まれ変わりと信じて守る決意と絵筆を再び取るきっかけになっている。


■ ラスト


 最終話。キャラとやや分かりにくいオチを解説。

・ イ・サンはどうなった? 
  

 作中でサンの最後は、執務中の姿を映してカメラが引いていき静かに終わる。文字が見づらく、またナムに声を掛けようとすることから死期が近いと分かる。次のシーンは王座に就いた純祖(サンの子)とテスのシーンとなる。つまりこのシーンの間でサンは死亡している。

イ・サンは1800年に病で死亡。49才だった。


・ 最後の王世子は誰の子? 

 ソンヨンの子ではない。ソンヨンの後に来た側室スビン(綏嬪)が生んだ。次男であり第23代国王の純祖となる。


・ 純祖の時代やその後はどうなった?

   

 作品で純祖のその後は描かれていない。 歴史から紹介する。 純祖もイ・サンが幼少に戦った時と似た状態となる。不幸にも英祖とイ・サンが戦い続けた派閥政治と、王族や上層階級の支配が復活してしまう。 

 純祖は政権を大妃(貞純王后)に主導される。次に勢道政治と呼ばれる特定人物や集団が政治をコントロールする状態となり、大妃と妻(純元王后)が属する 安東金氏(朝鮮氏族のひとつ)の支配が続く。

幼い王(君)が続いたため、勢道政治による支配が続き国は衰退していく。朝鮮民族最後の統一王朝、国家となった。




■ 登場人物。その後

 作中では触れられない、人物のその後。

・ 大妃(貞純王后)はどうなった? 
 

 イ・サンの次の王、純祖時代に政権を主導する。しかしイ・サンの死から5年後の1805年に死亡。英祖の陵に埋葬される。
 

・ ファワン(和緩)翁主はどうなった? 
 

 中盤活躍するファワン親子。ファワンは養子の出世のために頑張るので憎めないキャラだった。作中では途中で退場し出てこなくなる。

 史実ではイ・サンが死亡する前年に許されて、宮廷にもどる。イ・サンの死から8年後の1808年に死亡。
 

■ その他


・ 他作品との関連性

 『トンイ』の主人公は、イ・サンの曾ばあちゃんに相当する。英祖がトンイの息子。


・ロケ


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 『イ・サン』の撮影にはMBCが所有するMBCドラミア(現:龍仁大長今公園)で行われた。北京から一時間ほどの利便性の良い場所で観光もできる。『チャングム』を含む多くの作品がここで撮影されている。





■ 作品の長短所

 ● 良いところ

・ お金が掛かってる、映画並みのセットやアクションで進行する。
・ アダルトなシーンが無いので家族で見られる。
・キャラの出し入れが絶妙で上手い。
・展開が早く無駄がない。

 ● 気になる点

・ソンヨンとサン役の演技は控えめだった。
・全体に説明が少ない。エピソードの西暦や立場の説明が少ない。またひげ面の人が多くて名前が覚えにくい。
・史実に合わせるため不整合な展開や説明不足なキャラの動きが多い。
・長い。各話が一時間を超える上に話数も多いので凄いボリュームだ。日本や米ドラマは大体45分なので1.5倍くらいの長さ。つまり日米ドラマなら100話くらいに相当する大作だ。


● 勉強になったところ

 人は権力を持つと、更に権力をほしがる。そして悪の道に飲み込まれやすい。




■ 総評とこれからへの期待


 

 総評 71点。 

 観終わった感想だが、後半がややテンションが落ちたため疲労感があったものの、全体では好作品だった。

 残念だと感じたのは、私はソンヨンが主人公と思って観ていたので後半の展開には驚くことが多かった。物語3分の2くらいまではソンヨンが主体の部分が多いが、後半は元気がなくなってイ・サン側に軸が映っていく。ソンヨンの真っすぐさと明るさ,絵に対する情熱や努力がとても激しいのが魅力だったので、終盤は薄くなったのが残念だ。

 史実がベースとなるため無理が出る部分もあるが、全体では良く出来た作品です。




■ 作品リンク

 • プライムビデオ 『イ・サン』




■ 関連用品

 • 「イ・サン」オリジナル・サウンドトラック/CD/PCCA-02977

 音楽は『チャングム』も手掛けたイム・セヒョン。
主題歌の「約束」や挿入曲の「ハンア~私が愛した幼い女官」も収録されれている。

 有名曲を上手く昇華したような曲もあり、ヒット作を作る手腕に感心する。





■ 更新情報

 2020年4月29日 公開
 2020年3月12日 作成


■ 参考、関連リンク

• Amazonプライムビデオ
 >  プライムビデオ 『イ・サン』



参考: Amazonプライム
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