今回は番組「PRODUCE48」。
大手配信で無料視聴が可能な場合も有るので、気になる人も多いでしょう。
全エピソードを見た感想。簡単なあらすじや見所を紹介。
■ 「PRODUCE 48」とは
「PRODUCE 48(프로듀스 48)」は、オーディション番組。
2018年6月15日 8月31日 ~毎週 金曜20:00 - 0:00に放送。BSスカパー!と韓国Mnetで放送された。
日本と韓国の共同企画。出演は、48グループと韓国側のプロダクション在籍者や個人参加で合計96人。
■ 簡単なあらすじ
集められた少女たちが、ガールズグループの結成を目指す。そのために課題や審査を乗り越えていく。
MNetの既放送番組『PRODUCE 101』の構成を踏襲している。 メンバーは、まず実力に応じてクラス分類。そして曲やダンスの課題が与えられて公開放送が行われる。 そしてバトルを行いながら視聴者投票が行われランキングを決定。4回に分けて、メンバーが絞り込まれていく。
■ 作品の流れ
サバイバルオーディション番組で、各メンバーは視聴者の人気獲得が必要となる。
課題に対してチームが結成されバトルする。 メンバーはチーム内でのポジション争いもあり、実力のアピールと自チームが勝つために役割の選択や互いの協力も必要となる。
そして息抜きで、バラエティー番組のようなメンバー紹介やゲームもある。練習は現地の韓流トレーニングセンターで行われた。合宿となり、少女たちの寝泊りやレッスン・日常の姿も見れる。
■ 良い点
作品の面白い部分、ひきつける部分。
• 人気、注目メンバーが登場
AKBグループの新鋭やベテランが主体となる。
日本では、AKBドラマ『マジムリ学園』の放送が近かったため、同ドラマの出演者以外が参加した。 各チームから、エース級の宮脇咲良や松井珠理奈、白間美瑠などが参加した。 参加者の幅は広くて、選抜総選挙上位者やベテランメンバーに加えて、ドラ2出身でまだ中学生の千葉恵里や16期で佐藤美波などの新人も登場する。
韓国側は、各事務所から1~6人が登場。サポートするコーチたちには、韓国側からベテランや人気芸能人が出演する。
• 構成と舞台
番組の構成は、既存番組をベースとしており構成はしっかりしている。 注目点は、スタジオセットや公開ホールはかなり豪華で、日本やアメリカの番組でもなかなか見かけない高度なレベル。というか日本は負けてますね。
■ 見どころ
注目エピソードを紹介する。
•タイトル曲『NEKKOYA(ネッコヤ)』で戦い(エピソード1~3)
集められたメンバー達に与えられた最初の試練は、番組テーマ曲となる「NEKKOYA」での戦い。表題曲のポジションが決定を巡る競争だ。
~ 過去の同シリーズ番組ではセンター経験者がそのままデビューしており、最初のポジションが重要となる。 今回参加のメンバー達も、ゼロポジションを目指して火花を散らす。
まず実力に応じてクラス分けが行われた。そして次に短期間でダンスと曲の習得が要求された。
振付は高度で、歌詞は日韓語両方を覚える必要が有る。人気メンバーであり、ベテランの宮脇咲良や松井珠理奈でさえ苦戦する。 あまりの過酷さに泣いているメンバーも多かった。 クラス分けでは、日本から参加した宮脇咲良が審査でトレーナー陣に酷評されて下位に脱落かと思われたが、唯一ぺ・ユンジョントレーナーのみが「私が責任を持つ」と宮脇のAランク入りを推薦した。
日本からの参加メンバーは、韓国勢に比べて当初は「ダンスやボイスのレベルが低い」と指摘されていたが、練習と審査を重ねる内に、舞台度胸と信念で韓国勢より早く成長。トレーナー達を唸らせた。
• ファン層の違い
日本のAKBファンと違うところは、韓国のファンは年齢が低くて女性が多い。個人的で過剰な応援をせずに大声もださないし、マナーも良いですね。 AKBの若手メンバーに女性ファンが懸命に応援してるのは好感が持てた。
• 『地獄のブンバヤ』 ~ ブンバヤ2班の奮闘 (EP3~4)
今番組で一番盛り上がったグループバトル。「地獄のブンバヤ」と呼ばれた。
課題曲は、ラップでダンスの難易度も高いBLACK PINKの『ブンバヤ』だ。挑戦するのは、実力者が集まるダンスが得意な1班と、各チームに選ばれなかったメンバーが自動で集まる2班が対決した。
落ちこぼれチームに見えた2班が、注目を集める。2班のメンバーは下位F,Dクラス所属であり、ユニット選抜では押し出されてて全員が委縮している。インタビューで千葉恵里は「誰にも必要とされてないと感じた」と語る。 課題曲に絶望してカン・ヘウォンが泣きはじめ、他のメンバーも泣き始める。心配した司会イ・スンギが「どうして泣いてるの」との質問に対して千葉恵里が「無理です」と答える姿が、ネットで可愛いと話題となる。
2班は体格が小柄で華奢なメンバーが多く、可愛い系中心であり、ブンバヤには不向き。レッスンでやる気のない2班に、トレーナーは呆れて「やる気がないなら出ていけ」と怒る。なんとかやる気を出させようと応援したのが転機となる。そしてリーダーのハン・チョウォンが頑張り全員に火が付く。
美形でおとなしくて清純なイメージのカン・ヘウォン。誰もが手を挙げないメインラッパーを自ら志望して、トレーナーに叱られながらも頑張る姿に人気が急上昇する。 ハン・チョウォンはリーダーとセンターを兼任し、日韓メンバー間で時に涙を流しながらも頑張った。魅力ある笑顔とダンスでは強烈な目力を見せ「ギャップの女王」のあだ名もつき好感度を上げる。
日本人では、千葉恵里が注目された。若手で16期の佐藤美波と共にやる気が無かったが、韓国側メンバーと審査員のアドバイスで火が付き奮闘する。佐藤や浅井も頑張り、メンバーは力を付けていく。佐藤美波とカン・ヘウォンは「母子のように仲がいい」と呼ばれ、周りを笑顔にさせた。
成長した2班は、ステージでも注目を集める。 得票発表では序盤は劣勢となる2班だが、残りのメンバーが票を集めて逆転勝利。 ”ダメなメンバーが努力して、エリートチームに勝つ”という漫画や映画さながらの展開となり、一班を打ち負かした。
最初、不安で泣いていたブンバヤ2班に総合司会がアドバイスした「出来るという意思をもち努力すれば、投票者の心を動かせる。涙をうれし涙を変えるんだ」と掛けた応援が、見事現実に変わった。
カンヘウォンは「地獄から来た清純ラッパー」というあだ名が付き、次の評価では順位を一気に上げて、後の最終選考も勝ち残りデビューした。最下位のFクラスからのデビューとなった。 ハン・チョウォンも最終13位とデビューにもう少しのところまで奮闘した。 千葉恵里は韓国でも人気を集めて、番組では非選抜メンバーのなかで最終のコメントを求められた。後の番組『留学少女』にも参加が決定する。
• ゆるい展開
韓国のバラエティーらしく、のんびりとした笑いが見れる。
参加者やコーチは、日本のバラエティー番組のように大げさなリアクションや大声を出したり、怒ったりと負の感情を出すことはほぼ無い。少女たちは年齢相応で、等身大の姿を見せる。指導者はプロの仕事に徹しており好感が持てた、
• 最終メンバー発表 (EP12)
最終回は生放送。なんと3時間もの放送時間。 巨大で豪華なステージセットが舞台となり、非選抜メンバーも応援に駆け付けて会場を沸かせた。
最後の審査に向けて、ステージ発表と順位発表が行われる。残ったメンバーのレベルは高くて、どのチームもデビューできそうなほどハイレベル。 20人から、最終で12人が選ばれてデビューが可能となるが、順位変動は激しい。かって中間発表で一位を取った者でも、脱落してしまうほどの激戦となる。メンバーは長時間の緊張を強いられ、顔はこわばっていた。
そして晴れてデビュー圏内に選ばれたメンバーには、周りが惜しみなく拍手を送り、涙を流して抱き合い送り出す姿に感動する。
• 鬼コーチとドジっ子たち
トレーナーはレベルが高い。その分レッスンは厳しくて、練習生が自信過剰ならば容赦なく叩き、実力不足なら鋭く指摘するので涙するメンバーが多かった。
有名な漫画『ガラスの仮面』の月影先生や、『エースをねらえ』の宗方コーチと主人公との関係を思い出す展開だ。 ただし日本だと根性や抽象表現で指導する場合が多いが、『Produce48』韓国のトレーナー達はトップクラスだけあり、的確な指摘と練習方法を分かりやすく教える。
鬼コーチ陣にも見えるが、諦めず挑戦する参加メンバーには惜しみなく称賛を贈り、気弱なメンバーには優しく接するなど相手に合わせる。 そして努力しもがくメンバーや成長してステージをこなす姿を見て、怖いと評判のダンストレーナーであるペ・ユンジョン先生が感極まって涙を流すシーンもあった。
ドジっ子達が怒られながら成長し、エリートに見える人気メンバーも影で苦悩しながら闘うという、青春ドラマさながらの展開だった。
● いまいち&惜しいところ。
全体のレベルは高く弱点はほぼ無いが、若干気になる部分がある。
・メンバーに名札やテロップの日本語表記が無い、もしくは少なすぎる。ハングル表記のみで分かりにくい。
・放送回でピックアップされて推されるメンバーと、グループ内のポジションで票が偏ることが多い。
・順位が放送側の意図や、運に左右される部分がかなり大きい。 仕組みでは順位決定した後に、投票数はリセットされて仕切り直しとなるため積み重ねが効かない。そしてベネフィットが極端に大きくて、ゲーム性が強いのと不確定要素が多い。例えば平均して人気が高いもしくは序盤に人気が有ったメンバーでも、番組で注目された人物に押し出されて脱落する場合がある。 言い換えれば人気がそれほどでもないメンバーでも、放送の登場タイミングが良かったり、上手く魅力を見せれば逆転して勝ち残る場合もある。
■ 全体の感想
「PRODUCE48」は面白い。
各回が2時間を超える長時間番組だが、全体を通して緊張感は保たれており、楽しく見られた。
『Produce48』で途中に脱落したメンバーでも、千葉恵理は後に「メンタルがタフになった」と語っているし、卒業して別の未知へ転身したり韓国への挑戦を選んだ物もいる。過酷だったが、貴重な経験になっているようです。
「PRODUCE48」は未だ若い少女達が競争して、時には協力して励まし合い涙を流す。見ていて元気が出る番組です。
■ 追記
昨年末に「PRODUCE48」でも、接待や順位操作の問題が表面化した。
リアリティーショーやサバイバル番組が持つ問題は、以前から見えていた。例えば、過剰な演出ややらせ疑惑、出演者の自殺など。私も「PRODUCE48」の視聴中に不自然に感じる部分があり薄々は感じていたが、事件になってしまった。番組の検証記事や今記事の訂正を考えたが、当時の経緯や状況の記録や感動を保存する為にそのままにしておくことにした。
不正や接待疑惑そして順位操作の問題は、「PRODUCE48」や番組から生まれたIZ*ONE にも影響が及んだのは残念だ。そして、日本でも今後の放送にかなり深刻なダメージを与えていると思われ、幻の作品になりかねない。 昨年から日韓が戦後最悪と呼ばれる関係悪化の前に「PRODUCE48」は撮影されており、日韓の少女たちが参加する同番組は、国家間の問題でも関係緩和へのヒントになったはずだ。しかし、貴重な作品は破壊された。
参加した少女達には罪は無い。それどころか、貴重な成長期の時間を捧げている。思うに、本来なら報われるはずのメンバーがいたのでは。多くの少女が、無駄な涙を流さなくて済んだのではないか。残念だ。そして視聴や応援、アンケートに時間を割いた視聴者も惨めだ。
リアリティーショーやサバイバル番組に疑問を持っていたが、『Produce48』で良い面を見て好感を持った。しかし今回の事件で、疑念が確証に変わった。
出演した少女達や視聴者たちの時間や努力は、何だったのか。 今後私は、おそらく同種の番組を見ることは無いだろう。
■ 映像作品
本編のブルーレイ&DVDなどのメディア販売は未だ無い。
■ オンデマンド配信
・GYAO PRODUCE48(日本語字幕版) https://gyao.yahoo.co.jp
› タイトル一覧 › 音楽 › アジア https://gyao.yahoo.co.jp/p/01047/v00081/
毎週エピソードが一話ずつ公開、毎日エピソードを分割して配信されていたが、現在は全話が無料配信となった。10月27日まで公開される。
・Abema 【Abemaビデオ】 https://abema.tv/video/title/458-1
1~3話が無料。
■ 音楽作品
『PRODUCE48』の番組で放送された曲のCDも発売されているが、日本ではあまり流通していない。
・テーマ曲『NEKKOYA』
日本国内では、残念ながらCDは未発売。
ただしMP3がネット販売中で配信だとアップルが販売中。1が海外版で韓国語、2が日本語版です。
→PRODUCE 48 - NEKKOYA (PICK ME) PRODUCE 48
■ IZ*ONE (アイズワン)
日本ではEMI Records(ユニバーサル ミュージック)が取り扱う。
人気は好調。作品も順調に発売されている。
■ 注意点
文章を読みやすくするために、敬称を略させて頂いてる場合が有ります。
■ 更新情報
2020年6月8日 文章調整。不正・接待事件について追記。
2019年7月18日 作成
■ 参考、関連リンク
■ 関連記事
・PRODUCE48の『NEKKOYA (PICK ME)』 - 解説と日本語歌詞
・ドラマ「マジムリ学園」の全話を見た感想。あらすじと見どころ解説 +作品集