
今回紹介するのは、映画『ブルーサンダー』
ロイシャイダー主演で人気の作品です。
さて『ブルーサンダー』ですが、勢い重視で説明不足の部分も多い。
今回は『ブルーサンダー』の見どころと不可解な部分の解説。
一度見て分からない方向け。ネタバレと謎やオチ解説もあるので知りたくない方は見ちゃダメ。
■ はじめに 『ブルーサンダー(Blue Thunder)』とは (1983)

映画の概略を紹介。
1983年の映画でジョン・バダム監督。
そしてロイ・シャイダーが主演。タイトルは主人公が乗る機体のあだ名です。
■ 映画のあらすじ
映画のジャンルは、サスペンスとヘリ・アクション。
主人公マーフィーはロスの市警察航空課に勤めるヘリパイロット。
ある日、航空課へロサンゼルス・オリンピックに向けて、暴動鎮圧用のヘリ「ブルーサンダー」が導入されることが決定。パイロットは地元出身を使うという意向でマーフィーが選ばれる。
しかし計画にはベトナム兵役時代の知人コクラン大佐が関わっている。 マーフィは議会委員長殺害事件を追ううちに、ヘリ導入計画の裏で進む陰謀「THOR」計画に気づく。事実を明らかにするため『ブルーサンダー』に乗り込み、ロス上空で陰謀側と戦う。
■ ブルーサンダーの見どころ
1 作品のスピード感。

ざっくりいうと『過去に傷を持つ凄腕パイロットが理不尽な圧力に耐えるが、遂には正義を貫くために超兵器で暴れまくる』~ 実に日本人が好むパターンになっている。
見事な脚本でテロやベトナム戦争の後遺症も描いており、そして新兵器や陰謀を主題とするやや難解な設定にもかかわらず整合性に破たんも無くて綺麗に展開している。
2 実写のリアルさ。

Los Angeles - View from City Hall / roger4336
車やヘリの空中戦。ほとんどがスタントで実際に撮影された。 緻密に計画と撮影が行われて映像化された。
ビルの間をヘリが飛び交い戦う,市街上を15メートルほどの低空で飛ぶなど、驚く映像が実現している。

3 音楽のすばらしさ

Artur Rubinstein - L' Amour De La Vie / Piano Piano!
音楽はArthur B. Rubinstein。バタム監督と多く組んでおり『ウォーゲーム』にも曲を提供している。『ブルーサンダー』ではデジタルとクラシックの融合を成功させた。
■ 謎解きと解説

ブルーサンダーは見事な脚本だが、面白さやスピード感重視で説明が省かれてる部分が多い。 あと面白い裏話があるので解説します。
● 人名について
・ 主人公 = マーフィー (ロイ・シャイダー)
・ 仕事の相棒 = ライマングッド
・ 恋人 = ケイト(キャンディ・クラーク)
・ ベトナム時代の上官 = F・E・コクラン大佐(マルコム・マクダウェル)
・ 航空課の上司 = ジャック・ブラドック警部(ウォーレン・オーツ)
■ エピソードと解説

人物や謎の物体、作品中で解説されていない設定。メディアの特典やメイキングなどから私が面白いと思ったものを抜粋して紹介。
• マーフィーについて
製作段階ではかなり病んだ性格を考えられていた。 例えば、カットされたシーンで精神鑑定のテストが存在する。 結局は前向きな性格に描かれて難解なシーンは削除されて、観客が感情移入しやすくされた。
■ 登場アイテム
• ブルーサンダー (コードネーム;スペシャル)

架空の機体。建前上は暴動鎮圧用として、最先端の機能が搭載されている。なお機体に02の番号が付いているが01は登場せず作中での解説も無い。

作品のヘリ・アクションはほとんどが実際に行われた。 ブルーサンダーは実機を改造して撮影用に予備機を含み2機制作している。制作者は画面上でミッドナイトブルーに映る機体を実現するために、機体にライトが埋め込まれて自機を照らしている。
コックピットのみの模型、ラストの爆破用に実物大模型も作られた。作中ではラジコンがビル爆破と宙返りシーンに使用された。なお映画『ファイヤーフォックス 』で、ミルのヘリが偵察にくるシーンにブルーサンダーのコックピットが流用されている。実機は売却、実物大模型とコックピットのプロップも廃棄されて現存していない。
• マーフィーの時計。CASIO 103 AA-85
作品で鍵となるアイテム。103 AA-85自体の機能には1分タイマーは存在せず、作品の演出。時計は監督の私物でビジュアルが面白いので使用した。*BDのコメンタリーより。
• F-16 ファイティング・ファルコン

F-16 / JoshuaDavisPhotography
当時は新しい機体。作中では新鋭戦闘機F-16と新開発戦闘ヘリのブルーサンダーが戦う見せ場となる。 撮影には日本のプラモデルを使用し、映像が合成された。新鋭の特技スタジオが担当したが、当時多かった合成時の輪郭線がほぼ無い映像になっている。
■ 謎のシーン、分かりにくい行動など。
• 空戦シーン

Century Plaza Towers, W. LA. In Explore 10/27/17 / Joey Z1
実際にロスの上空で撮影された。ビル街でのブルーサンダーとコクラン大佐ヘリとの戦闘も含む。
交通量の少ない日曜日に撮影。電線を撤去しています。なお地上を走る車はスタッフが運転している。当時はカメラが大型だが、空戦シーンでは6台のカメラが常時回っていた。
用水路や廃墟での戦いは、数メートルの高さで飛んでおり凄い迫力。
• リトルトーキョー「AMOS’s B・B・Q」の爆破 ~ 大量の降り注ぐチキン

バーベキューの店を丸焼きにするという危険なジョーク。店内でお兄さんやおじさんが楽しそうに丸焼きチキンを作ってるが、ブルーサンダーがミサイル対策におとりの熱源として利用して、店ごと爆破される。
制作では、助監督に「ばかげている」とカットされそうになったシーン。 なお大量に降り注ぐチキンは本物で、イミテーションより安かったから使用された。 今だと食べ物を粗末にしていると怒られて撮れないシーンでしょう。

BBQ Chicken / drukelly
• 見事なカーチェイス
一部シーンでカーアクションで有名な『ブリット』にも参加したドライバーが参加。当時70才ほどだが見事な腕前を披露している。
• ライマングッドの死
愛嬌のあるライマングッド。観客視点にもなる重要なキャラ。
監督はライマングッドを殺すかどうか、かなり悩んだ。 結局はライマングッドの死を選択し、ヘリを奪って戦うマーティーの動機付けとなる。
• 顔のひきつったコクラン大佐
マルコム・マクダウェルは実は飛行機が大嫌い。『ブルーサンダー』での契約もヘリには乗らない契約だった。
しかし撮影に入ると、ロイ・シャイダーや他の俳優がヘリに実際に乗り込むのを見て、マルコムも恐怖症を隠して撮影に挑んだ。そのためヘリで顔が凄く緊張してるシーンがある。
• ブルーサンダーを実際に操縦する、ロイシャイダー
ラストシーン。列車の前にブルーサンダーを下すシーンの撮影中に、カメラマンの命綱が外れそうになり操縦者が助けています。ヘリはロイシャイダーが操縦せざるをえず、そのまま着陸させた。
■ ラストとオチの解説
作品のラスト。マーフィーはコクラン大佐との戦いで勝利を収めた。次に危険な兵器であるブルーサンダーの破棄を決意する。
マーフィーは「お前の出番だぞ」と、自分の時計で[60秒タイマー]をセット。 時間を測定しながらブルーサンダーを列車の前に乗り捨てる。列車はブルーサンダーと激突し大破させる。
マーフィーは脱出に成功。時間の感覚は正確で、マーフィーが最後まで正気だったと証明した。
■ テーマとオチのまとめ
当時は超兵器・架空兵器がブームで1982年には映画『ファイヤーフォックス』が公開されている。
ブルーサンダーも空想の要素がありました。 しかし現在は、ブルーサンダーで想像された機能が現実化された。またテロの脅威やビルの爆破も現実に起こってしまった。
■ あとがき
とても完成度が高いアクション映画です。今では作れない映画ですね。
おすすめ。
■ 関連商品

ブルーサンダーの媒体や関連製品
■ 映画
● ブルーサンダー [Blu-ray]
ブルーレイの高画質で見られる。フィルムの粒子が見えるような出来で、ほぼ画質の上限に来てると思う。ヘリ風防ごしのパイロットやサングラス越しの目などもしっかり見える。
特典はメイキング、撮影裏話、コメンタリー。2006年版が元と思われる。
> 2016年版 SPE BEST
ソニー・ピクチャーズのセレクション。
上の版と違いは無いようです。
■ DVD
DVDでは1999年から発売。国内では9回ほどDVD版が更新されて販売されている。
• ブルーサンダー アルティメット・コレクション [DVD] TSUC-10160
2006年発売。
特典が多く追加された。コメンタリーやメイキングも新しく作られています。
収録内容】
●(★NEW★)NEWジャケット
●(★NEW★)5.1ch(日本語吹替)収録
映像・音声特典
●(★NEW★)製作スタッフによる音声解説
●(★NEW★)メイキング・ドキュメンタリー集
●(★NEW★)フォトギャラリー
●(★NEW★)TVエピソード1&2
●オリジナル劇場予告編集
• ブルーサンダー [DVD] 2010年版
販売年度が新しいバージョン。
特典は予告編のみ。
■ 配信
• Amazonプライムビデオ
■ TV版
ブルーサンダーのTVシリーズ。日本語吹き替え版は未発売。
■ 音楽
音楽はArthur B. Rubinstein。
『ブルーサンダー』では、デジタルとオーケストラの融合に成功している。
• Blue Thunder: Original Motion Picture Soundtrack
輸入盤でサントラが有ります。
元はプロモーション用のCDのようです。ブルーサンダーのサントラで、CDは公式国内版が発売されておらず、手に入れるのが難しいので有名だった。現在はネット通販もあるので手に入れやすくなった。
今商品は16曲入り。アナログ盤に曲が追加されている。収録時間が編集されている曲も有り。
良いサントラです。音質も良い。ブルーサンダー登場シーン(Sunrise at 'Pinkville')や用水路のチェイスシーン( River Chase)、ラストの音楽(Murphy's Law - Theme from Blue Thunder)などの有名な曲が詰まっている。地上波テレビ番組でよく引用されました。
元々高値で流通してるが、今はちょっと高いですね。
■ トイ
人気メカであり、何度もモデル化されている。
• 青島文化教材社 ムービーメカ No.SP4 1/48 ブルーサンダー メタル製ガトリング砲付 【限定版】
限定モデル
• 島文化教材社 ムービーメカ No.04 1/48 ブルーサンダー
• 1/32 Dream Machine Project ブルーサンダー
オーガニック
■ 参考
解説や裏話はBD版のメイキング,コメンタリー,制作裏話を参考にしています。重複する解説も有るため記事中に注釈を入れていません。
■ 更新情報
2019年7月2日 KRB lady-n用タグを修正
2019年6月20日 写真追加。
2018年8月10日 作成