
今回紹介するのは、映画『遊星からの物体X ファーストコンタクト』
内容は人気作の序章となる話で、衛星でも良く放送される作品だ。
今回は『遊星からの物体X ファーストコンタクト』の不可解な部分やオチの解説。 一度見て分からない方向け。ネタバレ・謎やオチ解説ですので知りたくない方は見ちゃダメです。
■ はじめに ~ 遊星からの物体X(2011)とは

『遊星からの物体X ファーストコンタクト』は2011年の映画。
アメリカでの原題は「The Thing」で、1982年の映画『遊星からの物体X』と同じだ。コロンタイトル(例 トロン: レガシー)は無い。着けると1987年版への敬意が薄れる為との理由。 原作は、ジョン・W・キャンベル 『影が行く』
1982年の映画『遊星からの物体X』の前日譚となる。
2011年版の内容は旧作と似ている。~1951年『遊星よりの物体X』と1982年『遊星からの物体X』を組み合わせた雰囲気だ。UFO発掘は1951年版で、基地内での怪物探しと戦いは1982年版を彷彿させる。 そして展開では2011年版『ファーストコンタクト』でも状況説明の少なさや疑問を持たせるシーンが想像の余地を生んでいる。
■ 制作について
プロデューサーの意図は1987年版のリメイクでは無くて付属物として制作された。 作品内容は原作小説に近づけており科学者が多くなった。撮影は監督がデジタルフィルムの印象を嫌って35㎜フィルムで撮影されている。
■ 映画のあらすじ
映画のジャンルはSFホラー+アクション。
1982年 舞台は南極。観測隊が巨大宇宙船を発見する。
主人公は古生物学者のケイト・ロイドでメアリー・エリザベス・ウィンステッドが演じる。
宇宙船の探査にはアメリカから生物学者であるサンダー博士と助手のアダムそして主人公ケイトが参加する。 調査隊は南極ノルウェー基地に派遣される。ノルウェー基地の調査隊はUFOと氷原で凍結したエイリアンを発見していた。 ケイト達は異星人を氷ごと切り出して基地に持ち帰る。しかしサンダー博士は安全確認の手順を怠り、ケイトの制止も聞かずにエイリアンの調査を開始する。
その後 エイリアンが蘇生して人間や犬を襲撃し惨殺していく。 ケイトは怪物”The Thing(それ)”を調べる内に他生物を複製して増殖する生命体だと気づいた。
基地には吹雪が近づく。 誰が”X”か分からない状況で、人類とXの闘いが始まる。
■ 謎解きと解説

設定やわかりにくい部分を解説。時間順に紹介する。
無茶な推測やこじつけなどは避けてます。
■ Xの正体は?

Antarctic Peninsula / NASA Goddard Photo and Video
作品を楽しむためにXの正体と属性を解説。
今回の”物体X”は、1982年版『物体X』と比べて新しい設定が幾つか追加された。
2011年版では最初の"X"がエイリアンから出現する。エイリアン自体は墜落UFO付近で氷漬けになっていた。
Xは危険な能力をもつ。それは他生物に同化してコピーそして本体を破壊する。 作中での解説はケイトの研究シーンにある。『Xは細胞単位で他生物と同化して複製する』

● Xの特長と属性
[2011年版で追加された設定]
✔ 怪物時の攻撃性が高い。
✔ 無機物と同化できない。金属製の歯詰め物、骨のプレートなど。
✔ 暗中でなくても同化できる、かつ速度が早い。同化中に服を破かない。
[1982年版と同じ設定]
✔ 火に弱い。
✔ 血液単位でも生存可能。
✔ 低温になると冬眠可能。
✔ 知能が高い。血液検査を妨害する、証拠を隠ぺいする等。
● Xの見分け方は?
✔ 血液鑑定。被験者から血液を採取して反応を見る。
✔ 歯に銀の詰め物等がある場合は人間。ただし治療歴が無い人やセラミックだと見抜けない。
■ UFOとエイリアンの正体と経緯。
1982年版と2011年版『物体X』でわかったこと。
1982年版『物体X』の冒頭ではUFOがふらつきながら飛行。その後に地球へ落下している。”X”の正体は雪上車で研究者ブレアがノートを読むシーンがある。「~ たくさんの遊星で無数の生物と同化してきた。いつでもそれに変われるのかもしれない。今度は地球の生物が狙われている」。 さらに2011年版映画『物体X』ではエイリアンが凍死状態で発見された。 経緯を整理すると、まずUFO乗組員が”X”に襲われた。そして地球に墜落。 そして宇宙人は氷原に出て凍結した。
・UFOについて
UFO内部は、さまざまな形状のエイリアンを収容するようにデザインされている。これは1987年版で未使用となった設定を埋めるものだ。UFO乗員が動物を集めるために標本を収集していた設定だ。
■ クリーチャーについて
今作はCG部分で悪い評価が下される場合が多い。
だが実はマタイス・ファン・ハイニンゲン・ジュニア監督は映画でのCG使用に猛烈に反対していた。撮影はアニマトロニクス(生物を模したロボット)で制作されている。だがユニバーサルは異なる考えを持っていた。さらにテスト上映で評判が良くなかったため怪物にはCGが重ねられている。
■ 舞台での疑問。 旧作との関連性や相違点

Moon over Antarctic / NASA Goddard Photo and Video
研究隊はなぜアメリカ側から派遣されたのか。
= ノルウェー観測基地にいる人とアメリカのサンダー博士が知人だった。ノルウェー基地にアメリカ人が加わる流れが出来ている。
● 舞台となる基地の場所はどこか?

Antarctic Ocean (aka Southern Ocean) Location Map / BlatantWorld.com
架空の基地。作中では看板に”Thure基地”と記載されている。
・ 建物
2011年版『物体X』のノルウェー基地は、1982年版『物体X』に登場した基地が元となる。
1982年版『物体X』(作品開始後16分付近)では序盤に主人公マクレディが博士とヘリでノルウェー基地を訪れる。ノルウェー基地の惨状に主人公たちは絶句する。 整合するように2011年版『物体X』で建物は物体Xとの戦闘で大きく破壊される。
■ 登場アイテム
2011年版では旧作と設定が重なるアイテムが多く登場する。それらを紹介する。
■ 登場キャラクターに関する謎。
各キャラクターの不可解な行動や最期について解説
● 消えたキャラ コリン
作品途中でいつの間にか退場するのがコリンだ。
終盤に、基地内で人類とXの戦いが激しくなる。その際にコリンは怯えて隠れる。その後は出てこない。
どうなったかはエンディングで救援隊が来た際に判明する。無線室でコリンが椅子に座り自殺してる。 ~ 1982年版『物体X』のノルウェー基地探索シーンに重なる展開だ。
参考: 2011年版『物体X』でカットされたシーンでコリンがカミソリで自殺するシーンがある。DVD、BDの特典に収録。
● ラースはどうなった。

Siberian husky / Valerio Avvisati
犬好きのおじさん。中盤でケイトを補佐して頼もしい存在だ。
だが途中で、一旦退場する。 退場の経緯だが、作品の1時間6分あたりで米兵の監禁場所付近の探索中にラースはいきなり小屋に引きずり込まれる。
何が有ったか解説する。 ラースは英語を話せないことが仕掛けとして使われている。
監禁場所からの逃走後に再登場したカーター達はラースの持ち物とおぼしき火炎放射器を所持している。そして終盤の雪上車内でカーターが「我々は(ラースを)殺してない」と語る。 経緯を推測する。まず逃走中のカーターはラースと遭遇した。だがラースは米兵を殺害する決心が固い。そして英語も喋れない。カーターはラースの説得が出来ないので拘束もしくは監禁した。
ラースはエンディングで再登場する。
ライフルを持っており、駆けつけたヘリから降りた知人を狙撃するなど錯乱状態だ。 そこへ基地からハスキー犬が飛び出してきて逃走する。犬好きのラースは瞬時に犬が偽物と見抜く。 ノルウェー隊のヘリを使って犬の追跡を開始する。 これは1982年版『物体X』の冒頭に繋がる展開となる。
■ オチについて ~ またもや謎の残るラスト

/ Marcin Wichary
今作もラストが分かりにくい展開だ。
ケイトは、カーターが”X”と見抜いて火炎放射器で焼き殺す。
曖昧にしたのは、1982年版のラストと同様に「誰がXなのか明快にしない、不気味な演出」をなぞっている。~ だが今作ではXの証拠が乏しいため理解しにくい。
不自然な点を、詳細に解説する。
■ カーターの殺害シーン。 ケイトが、カーターをXと見破った流れ。
UFO内でケイト達とXの格闘は終わった。UFOから脱出して雪上車に乗り込もうとするケイト。なぜか運転席のカーターを観察する。 ~ ケイトは乗るのを止めて、車から火炎放射器を降ろし装着する。カーターが戸惑う。
ケイト 「あなたが基地に戻った時に人間だと分かった理由が分かる?(左耳に)ピアスをしていた」
カーター 右耳を触る。
ケイト 「違う耳よ!」と怒った後に火炎放射。
おそらく多くの観客が「はぁ?」と驚くシーンだ。 なぜなら作品の脚本や映像ではケイトの意図が理解しづらいからだ。
まるでケイトが誤解してカーターを殺した。もしくは錯乱して殺害したように見える。
1. 耳のピアスが決め手!・・・だけど
人間のカーターは左耳にピアスをしていたのが証拠。
英語ではイヤリングと言うが、耳に穿孔しているので日本で言うピアスだ。
作品のラストに関わる部分だがピアスに関しての演出や話の流れが雑だ。
不自然な展開を指摘する。
・ピアスの確認方法が問題。 ケイトは雪上車内でカーターの右側にいる。そこでカーターはケイトのいる方向に合わせて右耳を触っており人間の反応としてありうる行動だ。
・ピアスの存在自体が不明瞭。 カーターのピアスがかろうじて見えるシーンは基地内でXと闘う際や雪上車に乗り込む場面等だ。 一番はっきり映るのは作品の1時間20分辺り。雪上車でXの追跡中にケイトがカーターを凝視して両耳を確認している。
ピアスについて解説をする。
ピアスは中世から恋愛対象の性別を意味する場合が有る。 ~そのために観察力のある女性が、男性がピアスを付ける方向を気にするのは自然だ。 だが作品全体ではカーターのピアスは存在が分かりにくい。それは軍服に大きなファー(襟)が有るので耳が見えにくいから。 そして耳が出ていても光の加減でピアスが無いように見えるシーンも有る。
またピアスなら外れて落とす可能性が有るのも問題だろう。
2. カーターは本当に”X”だったのか?
かなり大事な所だ。誤解で焼き殺されたらたまらない。
だが明快な描写は無い。カーターが車内で燃える焼ける際に途中でXに変化すればスッキリするがなぜか変身しない。
私は視聴していて「ええっ!人間だったの?」と焦った。 ただしカーターが燃えながら大きく"Xの叫び声"が入るのでXだったという表現は一応入っている。
決めシーンにしては不親切な作りだ。これだとはっきりしないボケをかました奴を火炎放射器で焼いてしまう。ものすごいボケ・ツッコミに見える。 もしくはケイトが錯乱したとも受け取れる。
なお余談だが炎上シーンは難燃性のジェルを使ってスタントマンが行っている。
■ その他、Xである証明が弱い理由 ~ おかしい展開や設定の例。
上記以外にもカーターがXである表現が薄い部分が多い。
■ オチについて 「女性はよく見ている」

Mary Elizabeth Winstead / Gage Skidmore
今作のラストは女性の特長が良く出ている展開だ。
ケイトは度々、他人を凝視するシーンが有る。
これは女性が良くする仕草。他人の外観をしっかりチェックする。
そして女性はクールでタフです。ピアスが無いだけで即座に焼き殺すのだから。
● ラストシーン全体について。
本来なら悲哀のあるシーンになるはず。
それは主人公の葛藤。恋人候補や地球を救った人間を敢えて殺さねばならない苦悩が描けるからだ。
作中でカーターは序盤からケイトに好感を持ってるようでありさらに終盤は相棒として活躍する。 しかし冷静なケイトは科学者として人類を守る為に彼を殺さねばならない。 ~ 作品途中でピアスに言及するシーンがあれば上手く伏線になったはず。名シーンになった筈なので惜しい。
・ラストシーンで良い部分。新しい挑戦
今作は、1982年版『物体X』と比較して新しい展開があった。それは今作でも2人が生存するがさらに一歩踏み込んだ。 生存者の一人が、もう一人を”X”と断定する展開にしたのだ。
■ ケイト その後どうなった。

Antarctic Road Trip. Deep field #Antarctica @Antarctic_ALE / Christopher.Michel
ラストはケイトはサンダーの乗ってきた雪上車に乗り換える。そして運転席のケイトがクローズアップされて映画は終わる。
ノルウェー基地から50㎞離れたロシア基地に行ったと推測されるがケイトの安否は不明。1982年版の映画「物体X」にケイトの存在は無い。整合するために退場した形となる。
● 2011年版 オリジナルのエンディング
映画制作時には4か月の再撮影が行われてシーンの強化と新たなエンディングが用意された。
「オリジナル」と呼ばれる当初のエンディングでは、ケイトはXに殺された宇宙船のパイロット全員の死体を発見する。そして壊れているポッド室(標本の収容場所)を発見。UFOで何が起きたか理解する。 異星人は別の惑星から標本を集めていた。だがXに襲われた。乗組員は、Xを殺害するためにUFOを地球へ墜落させたのだ。
つまりノルウェー基地と同様の事態が宇宙でも起こっていたという展開だ。なかなかいいオチですね。
しかし終盤のUFO突入シーンは、ケイトがサンダーと共にUFO離陸を阻止することが重要なのでUFO探求と相反する。それゆえオリジナルのエンディングはキャンセルされている。
● ノベライズ版でのオチ ~ ケイトの正体とその後
ケイトは文明社会へ帰還する。
だがある日、自分がXであることに気づいてしまう。
■ おまけ - 鑑賞法と映画の見どころ

Iä! Iä! Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wait… what's the rest of it? / evil nickname
2011年版「物体X」の楽しみ方。
映画のパターンだが、危険な遺物を掘り出す展開だ。映画『エイリアン』やアニメ『伝説巨人イデオン』『新世紀エヴァンゲリオン』のように。危険なものに欲望やうかつさ。不要な好奇心を持って近づいた為に巨大な災厄を招く。まさに触らぬ神に祟りなしだ。
1982年版『物体X』はアクションやパニック,モンスター映画としても評価は高い。 2011年版『物体X』も旧作の設定を補完しながら娯楽部分が面白く仕上げられている。
■ 2011年版「物体X」で良い部分
・派手になったアクションシーン。
ケイトが主人公となり、後半はアクションが増えて宇宙船での激闘もある。映画『エイリアン』や『ターミネーター』のように派手になった。ケイトを演じるメアリー・エリザベス・ウィンステッドは、『ダイ・ハード4.0』でマクレーンの娘ルーシー役を演じただけありアクションが似合う。
・新しい人間関係
1982年版は登場人物は男性ばかりだった。 だが2011年版の新しいキャラ達は女性隊員も多い。夫婦関係もあるなど新しい関係が見られた。ただし人数が多すぎてピントがぼやけた印象だ。
・クトゥルフの雰囲気が強化
物体Xの原作は、クトゥルフ神話からインスパイアされている。2011年版の構成でもクトゥルフRPGの雰囲気がパワーアップした。1982年版のメンバーは原作小説と同様に血液検査などで不信感が漂う。だが1982版映画のメンバーは最後まで根性があり一本筋だ。 だが2011年版ではメンバーが未知の脅威におびえて次第に狂気に蝕まれる。クトゥルフの要素が上手く取り入れられている。
■ 2011年版「物体X」で残念なところ
2011年版では構成やキャラクター設定に弱い部分が多い。
・作品の流れが悪い。
特にケイトのパートナーが次々変わるのが緊迫感が大きく落ちる要因だ。主要人物が決まらないのでストーリーに集中しにくい。
例えば最初の仕事仲間のアダム。優男で憎めない感じでケイトと恋仲になるかと思ったらXに頬ずりされてまさかの途中退場。 中盤はタフなラースが助けるが彼も突然失踪する。 さらに代役のカーターも終盤で一旦行方不明になる。
•ケイトの印象が弱い。魅力が無い
旧作のマクレディに対して、女性を主人公にするアイデアは良い。だが成功していない。主人公の魅力も強さも描けていない。ケイトは外観は良いが印象が弱い。 主人公としても科学者としても弱い。
まず強さ。前作のマクレディのような強靭さはない。 そしてアクション映画で女性が出るなら観客は「エイリアン2」のリプリーや「ターミネーター」のサラのようなタフな女性を期待する。 ~だがケイトはさほど強くない。 だからといって保護対象になるようにか弱くもない。 主人公としての機知も弱くて、やはり前作マクレディに劣る。Xと渡り合うための判断と行動力が無いのだ。 例えばXの断定に簡単で確実な熱線による血液検査を発案する等だ。 科学者なのに観客が驚くようなアイデアや応用力が少ない。
私はそれならばケイトを華奢でか弱い女性にして、最後に大逆転して物体Xを退治すれば良かったと感じた。映画「エイリアン」のリプリーのように。 実際に2011年版『物体X』で制作側はプロットの初期段階から、ケイトの立場や演出にリプリーを参考にしたそうだ。だが映画を見る限り上手く消化できていない。
• キャラの知性や魅力が無いために緊迫感が減少。
出来の悪い災害映画やホラー映画のように、興味無い&知らない人が次々犠牲になる雰囲気だ。
ストーリーや人物説明が雑であり、各キャラに感情移入する前にXとの戦闘へ突入していく。 ~ 前作はわき役が大した活躍は無くても観客の想像力を掻き立てた。妙にキャラの外見が立っている。ローラースケートを履いたコック、もじゃもじゃ頭の男性など。
そして前作では面白さを出していた。科学者の知見とアイデアとXの知恵比べや駆け引き。そして体力派メンバーを陥れようとするXとの戦い。2011年版では、制作時に敢えて科学者を中心に構成されているが残念なことに劇中で役に立たない。
2011年版で残念なキャラ代表がサンダーだ。ステレオタイプのいかれた科学者で「人命軽視、倫理観無し、成果重視」であり作品を退屈にしている。~ なお監督によるとサンダー博士は、1951年の映画に登場した博士のオマージュだと述べている。だが1951年版の研究者は命を賭けてXと話し合おうとしており憎めない部分があった。

そしておかしい科学者キャラの最後は怪物に襲われて自滅が定番だ。 しかしサンダーは散々まわりに迷惑掛けて、なんとラスボスになって最後までメンバーを苦しめる。 序盤から嫌な奴・怪しい人が最後まで悪い奴という安易な展開だ。
1951年版の博士と比べると随分劣化している。
■ 感想

Cthulhu Commission / SlyMcNasty
私は、見る前に想像してたよりは『ファーストコンタクト』は面白く感じた。
1982年版の『遊星からの物体X』は、娯楽作品としては傑作であり個性と独創性が有った。 『ファーストコンタクト』も努力はしているが前作に及ばない。だが『遊星からの物体X』の設定を利用した作品と考えれば面白い作品だ。
映像も綺麗で、UFO探査シーンも豪華。そしてXのアクションが序盤から派手になったのも現代風だ。 またクトゥルフ神話の要素が大きく入ったのが良い。クトゥルフのTRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)のように話が進行するにつれてメンバーの神経が蝕まれてそして正気度が下がっていく。
「物体X」シリーズの根本もいくつか気になる部分は有るが、守られている。それゆえ1951年、1982年版『物体X』に対する敬意を感じる。1982年版を研究して再現してるのとストーリーの整合性を重視している。例えば1982年版の音楽が使われる、閉鎖空間での戦いやX探しの為の検査、Xとの戦いでメンバーが疑心暗鬼になる等だ。
今作のクォリティは高めで、82年版の後の展開を描いた続編や外伝が作れそうに感じた。
評価:68点。
■ 関連商品
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『遊星からの物体X』シリーズが気になる方、「また観たい!」 あなたのために紹介。
■ 配信
・ プライムビデオ 吹き替え・字幕
■ 映画 - メディア版
人気作品であり、販売製品は多い。新規格になる度に発売されている。
・遊星からの物体X ファーストコンタクト Blu-ray
今回紹介した作品。Blu-ray版も登場。
● 関連作品
・遊星からの物体X [Blu-ray]
1982年のカーペンター版。
展開では『ファーストコンタクト』の続きにあたる。
・ジョン・カーペンター DVDコレクターズBOX 2003
DVD 2003年発売
6枚組。収録作品は「遊星からの物体X」「ヴァンパイア:黒の十字架」「ゴースト・オブ・マーズ」「光る眼」「スターマン/愛・宇宙はるかに」「クリスティーン」
・ 遊星よりの物体X
1951年の米映画。カーペンター監督に大きな影響を与えた。
原作を素材にしたホラー&モンスター映画の雰囲気だ。全体にお気楽なのは、アメリカ映画らしい。
ヒロインもいるので、だいぶん軽い印象だ。 だが幾つか見どころは有って、冒頭のUFO捜索の緊迫感はみごと。あと科学者がかなりイカれてて実験シーンも怖い。
■ サントラ
ファーストコンタクトのサントラは、国内で販売されてない。
『ファーストコンタクト』でも使われた、1982年版の音楽を紹介する。
・The Thing: Original Motion Picture Soundtrack Soundtrack, Import
エンニオ・モリコーネ 形式: CD
公開当時のサントラと同構成。 エンニオ・モリコーネは映画音楽で有名で半世紀近く活躍しており、多くの映画や名作に関わっています。
・Ost: the Thing CD, Import
Alan Howarth 形式: CD
再録。16曲と量も多め。
■ 書籍
・影が行く―ホラーSF傑作選 (創元SF文庫) 文庫 – 2000/8
フィリップ・K. ディック (著), ディーン・R. クーンツ (著), その他
創元文庫が出したSF短編集。
映画『遊星からの物体X』の原作となった『影が行く』収録。
原作はクトゥルフ神話からインスパイアされている。短編なのでアクションは無くて、Xへの恐怖や人間同士の不審に焦点が当てられている。
13作収録され、リチャード・マシスンの作品はトワイライトゾーンで映画化されている。アルフレッド・ベスター,フィリップ・K・ディックなどSF有名作家が揃う。
・遊星からの物体X ファーストコンタクト (竹書房文庫)
オチが映画版とまったく異なる。
● パンフレット
・映画パンフレット★『遊星からの物体X ファーストコンタクト』/メアリー・エリザベス・ウィンステッド
シネマインク
■ 視聴データ:
遊星からの物体X ファーストコンタクト: DVD版(字幕)、プライム 字幕,吹き替え版、Netflix 字幕,吹き替え版
遊星からの物体X :DVD版(字幕)、プライム 字幕,吹き替え版、
■ 参考、関連サイト
■ 更新情報
2024年9月6日 句点を減らした。
2023年5月16日 色分けや字よせ等を使って読みやすくした。原題の解説、アニマトロニクスの採用、UFO内部と2011年版オリジナルのエンディングについて追記。
2023年1月11日 解説を強化。UFOとXの解説。1982年版と関連があるシーンの解説。ピアスの由来。コリンの削除シーン。ノベライズ版ラストを追記
2018年8月15日 プライムで再確認。文章調整、公開。
2018年6月5日 作成
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