
今日は、ビンテージオーディオの紹介。
1993年から発売されていたケンウッドのK'sシリーズ。
一時期はハイコンポとも呼ばれた、ミニコンポと単体コンポの間に当たるサイズ。人気が有ったシリーズで現在でも音質の評価は高い。
今回は、K'sシリーズの音を聴く機会があったので音質や使い勝手。
そして各機種の購入用リンクや周辺機器も紹介する。
■ KENWOODとKシリーズについて

CES 2012 - Kenwood audio / Doug Kline
ケンウッドは、かってオーディオや無線機器で有名だったメーカー。
60年代ステレオブーム初期の頃は、トリオブランドでサンスイやパイオニアと並んで人気。無線機器技術がありチューナーも人気が高い。
トリオは海外向けにKENWOODブランドを使用。80年代はカーオーディオでも人気ブランドとなり、86年に国内ブランドをKENWOODに変更した。
2007年からビクターと統合が始まり、2011年にJVCケンウッドとなるが商品ブランドとして”KENWOOD”が残っている。
■ 1990年代のK'sシリーズについて

Kが付与されるシリーズはケンウッドの主力製品。
トリオ時代から存在しており、現在もKseries(Kシリーズ)として販売。
KENWOODは、他社との統廃合があったためサイトに旧K'sシリーズ情報が残ってないのが惜しい。
今回紹介する「K'sシリーズ」は1993年に発売された。

バブル期に開発された部品や構成が投入される。外観は押し出しアルミパネルや無垢のノブ。内部はソリッドステート回路やA級アンプ、巨大なトロイダルトランスやコンデンサー,ガラスエポキシ基板と今見ても豪華な構成で、日本製造。
K'sシリーズのジャンルは「高級路線のミニコンポ」。~同社のROXYやALLOLAと異なる上位路線で、セットで20万以上になる高級コンポでありハイコンポとも呼ばれる。
当時は再生規格が多い時代で、K'sシリーズもラジオ,カセット,CD,MDと種類が豊富。チューナーとイコライザーも用意され、セットでK'sシリーズのコンポを積み上げるとかなり迫力がある。
フルサイズコンポが大型で設置しにくいのと、ミニコンポが低音質という弱点を上手く埋めるのに成功。K'sシリーズは人気製品となり、他社も同クラス製品や高級機で追随した。

■ 本体解説
外観や音質について解説
■ 外観

K'sのファンを魅了するのが、直線を基調とする高級感のある外観。
5mm厚フロントパネルや1.2mm鉄板による底板,フレームと豪華。アルミパネルとアルミノブを装備する。
大きさはフルコンポの3分の2ほどの幅で扱いやすい大きさ。
■ 音質 / 「 KENWOODらしい、元気があるサウンド」
音質は、当時の価格からすると納得の音質。
音に余裕があり、反応も良く安定している。
現在のIC主体アンプとは違う世界。そして音に奥行きがあり滑らか、巨大な電源を使っている効果でしょう。音楽の穏やかな部分では大型部品が投入されている分、音色に品が加わり豪華な感じが味わえる。
A-1001の後半出力段はICを使わない”ソリッドステートアンプ”。滑らかで魅力ある音質に貢献している。 当時人気が出たのも分かるし、現在でも充分に通用する音質。現在の高級オーディオがソリッドステート回路を採用して時代を巻き戻してるのを思えば、K'sシリーズの回路選択は正しく先見性があった。
弱点もある。音質は『やや味付け』されたケンウッドらしい高音域がはっきりし硬い音で、若い世代向けの尖った音。また同時代の高級機と比べると音像がやや中央より。音も中域を押し出すタイプで、その影で空気感や繊細な音が損なわれる。そのギャップが「元気がある音」と錯覚させる。ドンシャリとは言わないが、実際には高音質と言うより”音色のチューンが多め”。
例えば当時人気が高かったサンスイやヤマハなどの人気モデルと比べると、A-1001は音の余裕や解像度、空気感で劣る部分がある。対象顧客が違うためでしょうが音色の方向性が違う。
A-1001は当時の価格以上の性能は無いが、以下でもない。コンパクトながら『人気が出るサウンド』を実現している。
■ 良いところ
・デザインが良い
・中古品が多く流通しており入手が容易。
・音質はロック、ポップス向き。
・ほとんどの機種が日本製。
■ 弱点
・ケンウッド流の味付けが若干有る。
・ヘッドフォンでの音質は普通。
■ 感想 「ソリッドステートの音を聴きたい方にオススメ」
音質は、当時の価格相応。
しかし現在では中古市場でK'sアンプ単体が数千円で取引されており、セット物でも掘り出し物なら一万円台で有る。
費用対効果が非常に高くて実用性が有る。デジタルアンプが普及し価格が下がっている現在でも、この価格ではK'sシリーズに勝てる機器はなかなか無い。同価格帯のデジタルやD形式アンプと勝負するなら、音の余裕でK'sシリーズが格上です。
当時の最新回路や高級部品が投入され、現在も通用する内容。
現代のデジタルアンプに飽きてる人、かってのメイドインジャパン製品やソリッドステート回路採用アンプが欲しい方には、お勧めできるし魅力の製品です。
■ 購入用リンク
歴代K'sシリーズのラインナップを紹介。
90年代以降に絞りました。
● 購入用リンクの使い方
商品写真と横の商品名リンクは基本としてamazonへのリンクです。なお色違いや他の通販サイト、ショップ販売品を見たい場合は、
○○で検索をクリックすると、通販サイト内からの検索結果を表示。
■ 初代
K'sシリーズ 第1世代。
基本方針のデザインや機能構成などはこの時点で固まっている。
・ A-1001(プリメインアンプ)


今見ても豪華な仕様。
高級素材と大型の電源部を備え、構成も純オーディオ向きアンプ。
前面アルミパネル、アルミ無垢のノブを使用。
内部には大型のトロイダルトランス、コンデンサー、巨大なヒートシンクが見えます。
A級段、ドライバー段、ファイナル段がディスクリート構成。
CDダイレクト(リレー式)、ヘッドフォン出力有り。リモコン付属。
1001Gとの違いはPhono端子が無し。
> KA-1001G
単体販売 1995年 6万円

A-1001とほぼ似た外観。
PHONO端子が追加。
・ DP-1001(CDプレーヤー)

フロントパネルには厚さ5mmの押し出し材を使用、シャーシは暑さ1.6mm、背面パネルは厚さ1.0mmの構造。
興味深い点は、D/AコンバーターにフィリップスのDAC7を採用。評価が高かったチップでワンビットストリーム方式を採用しマランツやTEACの高級機でも使われました。
オペアンプはJNC4665DD。オーディオ回路最終段はディスクリート構成のバッファアンプ。K'sシリーズのシステムコンロールを利用しての連携録音が可能。
・ T-1001(FM/AMチューナー)


ケンウッドで評価が高かったジャンルと言えば、チューナー。
T-1001はAM、FM、AMステレオ対応。
20局プリセット可能。*アンプに付いてるリモコンが必要。
・X-1001(カセットデッキ)


当時のコンポで、デザインや高さを稼ぐために使われていたフロントローディング方式を採用。アルミダイキャスト3フライホイール使用。
機能はドルビーB/C。ドルビーHXプロを搭載しており豪華ですね。録音レベルと自動バイアス調整機構あり。
KSシリーズリモコンで操作可能。
・DM-1001(MDデッキ)


ソニーがMDから撤退し、今では動作するMDプレイヤーは希少な存在。
DM-1001は、ヘッドフォン端子が有るので単体使用も可能。
・ LS-1001(2Wayスピーカーシステム )セット用モデル
単体販売用型番;"LS-300G"、1993年11月単体発売 ペア6万円
K'sシリーズ用に作られたスピーカー。
ウーファーはパルプ。アルミのスタビライザーが付属。
ツィーターはソフトドーム。
・ GE-1001(パラメトリックイコライザー)

パラメトリックイコライザー。
今観ると新鮮な外観。多数のノブが並び画面表示などは無し。
ノブでイコライジング可能。高・中・低の各周波数帯域で周波数、レベル、Qカーブを調整。 Qカーブはイコライジングカーブの鋭さを表す単位で、Wide方向はイコライジングカーブが幅広く可変でき、Narrow方向では鋭く変化。
オペアンプはJRC 4560DN。Line、Tapeの2系統の入出力端子を搭載。 KA-1001GのリモコンでイコライザーのON/OF可能。
私も欲しい。音質の評判も良く人気が有る機種で、現在は単体販売が少なくKsシリーズの中古セットと一緒に扱われて入手が難しい。(^_^;)
■ 第二世代

K'sシリーズ 第2世代。
デザインや機能構成などの基本方針は受け継がれる。
ラインは2種で上位7002とコストダウン版5002。
■ プリメインアンプ
・KAF-7002
1997年 75000円


K'sシリーズ第2世代 上位モデル。
A-1001と比べると主電源スイッチやセレクター、フォノアンプが追加。スピーカーのAB(2組)切り替えが可能。最終段のトランジスタがサンケン LAPT→TRAITRに変更。電源部には新開発のリングコア・トロイダルトランスを採用。
弟機5002とは外観の差異は少なく、部品や構成が違います。7002では入力切り替えがリレー、電源、コンデンサーが大型。シングルプッシュプル動作。
定格出力 50W+50W(6Ω、20Hz~20kHz、0.06%)
実用最大出力 110W+110W(EIAJ、3Ω)
>・KAF-5002
49000円 1997年


7002と同様、最終段トランジスタにTRAITR採用
7002との差異は出力が10W小さい。入力切り替えが半導体、電源、コンデンサーが小さい。2パラレル・プッシュプル。
前代A-1001と比べると主電源スイッチやセレクター、フォノアンプが追加されている。
定格出力 40W+40W(6Ω、20Hz~20kHz、0.09%)
実用最大出力 90W+90W(EIAJ、3Ω)
重量 7.1kg
■ CDプレイヤー
・DPF-7002


なかなか精悍な外観。当時流行していたトレイ部が分厚いデザインでカッコいい。
特長は32fs Fine D.R.I.V.E.を搭載。従来の4倍の32fs 1.4MHzのサンプリング周波数で22bit相当の解像度で120dbの高解像度。単体DACとしても使用可能。
3重の音圧遮断構造を採用し、メカはセンタードライブ。
アンプ側リモコンと別売りCD専用リモコンで操作可能。
>・ DPF-5002

1ビットDACとD.R.I.V.E.を搭載。8fs 20bit相当の分解能を持つのがD.R.I.V.E.システムです。
アンプ側リモコンと、別売りCD専用リモコンで操作可能。
・ KTF-5002(FM/AMチューナー)
雑音対策にマニュアル選曲も可能。
39局プリセットメモリー、プログラムタイマー、スリープタイマー装備。
■ カセット デッキ
・ KXF-5002(カセットデッキ)


フロントローディング方式を採用。
機能はドルビーB/CとドルビーHXプロを搭載し豪華。録音レベルと自動バイアス調整機構あり。曲再生機能が豊富で、飛び越しやリピート再生が可能。
■ MD デッキ
・ DMF-7002


基本構造は K'sEsuleシリーズのDMF-7002SGと似た構成。
録音側には20bit Rec D.R.I.V.E.、A/Dコンバーターには4次⊿Σ方式+D.R.I.V.E.変換、出力側には24bit D/Aコンバーター搭載。
プロセッサはケンウッド独自。今見ても豪華な仕様です。
> DM-7002S(追加、単体販売)

録音レベル設定が可能になりました。
> 7003
追加モデル。
MDメカ部と電源部が改善された。
■ スピーカー
・ LSF-777(2Wayスピーカーシステム)
90,000円(2台1組、1997年頃)
2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型・防磁。筐体は木材とMDF。バッフルはアルミダイキャストでウーハーのフレームもアルミで豪華。バナナプラグ対応、ネットワークも凝ってます。
周波数帯域は45Hz〜30kHzとかなり広い。
・ LSF-555(2Wayスピーカーシステム)


思想は兄貴分777を受け継ぐ。
ユニットのサイズは同じでコストダウン版。
筐体はMDF。アルミバッフルに凝ったネットワークを搭載。
・ LSF-333(2Wayスピーカーシステム)


バスレフ、防磁型スピーカー。
■ K's Esule(ケイズ・エシュール)
1997年に登場したK'sの上位シリーズ。
アンプ/CDプレーヤー/チューナーを統合した一体型モデル。
1994年頃にソニーのセレブリティなどで発売されていた豪華な一体コンポです。なお2006年にエシュールの名前を継承したモデルが販売されています。
・ K270(CDレシーバー) 1997年発売。16万円

アンプ、CDプレイヤー、チューナー一体モデル。
KSシリーズを全部一つに詰め込んだ雰囲気。16万円となかなかの高級機。景気はそんなに良い時代でもないのに豪華な仕様に感心。
アンプ最終段にTRAITR採用。Aクラスアンプと電流検出帰還回路搭載。電源部はリングコア・トロイダルトランス。CD部には24bit Fine D.R.I.V.E.採用。
・ S270(2Wayスピーカーシステム)
[在庫無し]
■ 周辺機器
K'sシリーズを使うのに便利な用品。
・KH-KZ3000
Stereo Headphones(Head band Type)
現行のヘッドフォン。
ケンウッドブランドでは6年半ぶりの新製品。KH-KZ1000の上位機で、ハイレゾ対応。
オンラインストア販売品は、音が気に入らない場合は返品が可能。
・KH-KZ1000
Stereo Headphones(Head band Type)
■ まとめ
Kシリーズはお手頃価格で高音質セットを組むのに良い。場所も取らず融通が利く。デザインも綺麗ですし、現代でも「Kシリーズ」は強みのある単体オーディオ&セットです。
私の廻りは、ケンウッドを使う人が多くてお下がりを良く貰って鍛えられました。今でも家族の所で活躍してたり、なにかと縁があります。
Kシリーズは現代でも十分通用するどころか、上回る部分があるサウンド。
あなたが楽しく音楽を楽しめたら幸いです。
■ 関連記事
■ 更新情報
2019年09月29日 画像LSF-333を追加、画像位置調整
2019年06月09日 KAF-7002画像を楽天からAmazonに差し替え
2018年04月08日 HRタグ高さ削除
2017年05月06日 文章調整、LS-1001,KA-1001G,LSF-777 KRBリンク追加、第2世代 MD,CD、チューナー解説文追加。
2017年01月12日 文章調整
2016年11月17日 KRB:楽天リンク修正 6ヶ所、手動修復
2016年10月30日 文章整理、2回目の試聴を行い、音質感想追加。
2016年08月23日 文章整理、ヤフオクリンク削除
■ 関連URL、参考サイト
一部諸元について、オーディオの足跡さまを参考にさせて頂きました。
・KENWOOD”Kシリーズ”の特集。新型機の解説や購入用リンク
現行機を紹介。