
日本の音響機器製造メーカーで歴史が長いのがFORSTER。
そのフォースターが作るプロ用ヘッドフォンがT20RPです。
海外では評価が高いモデルだが国内では情報が少なく、気になる方も多いのではないでしょうか?
今回はT20RPシリーズ歴史と最新モデルの解説。購入用リンク、便利な周辺機器を紹介します。
■ FOSTEXとT20RPmk3について
![[atod][fostex_t20rpmk2n]DSC_1004.tibi.jpg](https://analog-to-digital.up.seesaa.net/my_pic/5Batod5D5Bfostex_t20rpmk2n5DDSC_1004.tibi-thumbnail2.jpg)
FOSTERは日本の音響メーカーの老舗で特にスピーカーが強いメーカー。
ソニーのヒット作で躍進のきっかけとなるトランジスタラジオ”TR55”のスピーカーを作り薄型化に貢献した。
その後も国内外の大手家電メーカーのスピーカーを製造しソニー、ヤマハ、デノン、ノキア、Beats、ゼンハイザー。アップルの携帯機器iPhoneやIPodのヘッドフォンを作っている。また車載スピーカーの取り扱いも世界10%とかなり大きな会社。
FOSTEXは販売用の自社ブランドで自作用スピーカーが有名だが、最近では小型アンプやDACなど幅広く販売を初めており、買い求めやすい価格と堅実な性能で人気が有ります。

FOSTEX - DIY Speaker kets. / MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito)
■ T20シリーズの特長
![[atod][fostex_t20rpmk2n]DSC_0999.tibi.jpg](https://analog-to-digital.up.seesaa.net/my_pic/5Batod5D5Bfostex_t20rpmk2n5DDSC_0999.tibi-thumbnail2.jpg)
T20RPはスタジオモニターでプロ用機器。
国内だとスタジオモニターはソニーのCD-900STが有名だが、T20RPは世界で愛されている名機。
FOSTEXのRPシリーズはスタジオモニターらしく、現在でも当時とほぼ同じ仕様で販売。音の基準として活躍し、買いやすい価格で一般にも人気です。
T20の外観はヘッドバンド部と2本の保持用ハンガー構成で一目で分かる外観。 大きな特長がドライバーにあり“RP”(Regular Phase:全面駆動型)方式の平面振動板を採用。フォステクスヘッドフォンの中でRP搭載機は『RPシリーズ』と呼ばれT20も含まれる。フォステクスはRPで、20以上の国際特許を持ちマイクやヘッドフォンに使用。
RPシリーズの場合 簡単に言うとユニットが平面スピーカー。 構造は振動板の後ろにマグネットがコイルを挟む形で搭載。ダイナミック型のコイルに相当するプリント(印刷)コイルに、電流を流すことで駆動する独特の形式。 ~ STAXに代表されるコンデンサー型とも違うタイプの平面板駆動方式です。 従来のダイナミック型より、音の乱れが少なく追従性が高いのが特長。
![[atod][fostex_t20rpmk2n]DSC_0995.tibi.jpg](https://analog-to-digital.up.seesaa.net/my_pic/5Batod5D5Bfostex_t20rpmk2n5DDSC_0995.tibi-thumbnail2.jpg)
● 世界の有名アーティストも使った!

Fostex 1840 / choking sun
高耐久性も強み。 マイケルジャクソンは大音量で音楽を聴くので、ウェストレイクスタジオでモニタースピーカーを発火させたり悩んでいた。 海外サイトのmjfranceのマイケルスレッドによると モニターヘッドフォンでもマイケルは大音量で聴くため次々に破壊。AKGやゼンハイザーを試したけどダメ。煙をふいて壊れる。
そこで解決策に使われたのがFOSTEXのT20。マイケルが求めるサウンドとボリュームに耐えたのです。
他のエピソードでは、著名アーティストが結集した「We are the world」のPVで、レイチャールズやスティビーワンダーがT20を使っています。
■ T20RPシリーズの歴史

国内サイトや公式でも情報が少ないが、海外で人気が有るので情報を集めてみた。
T20は大きく分けて3世代有ります。大体10年ごとに新型へ更新されています。
● 第一世代 T20 (海外名:v1)1977~86年
初期型T20は1978年に登場。この時点でFostexにはT10,T20、T30、T50のラインナップがありました。
T20の現行機との違いは、ハンガー根本に社名とT20のラベルがある。
ユニットは丸くカップも平面で丸い。 コードは左右ユニット根本につきます。
優れた低域特性とフラットな中域。そして応答が落ちた後に20Khz辺りにピークを持ちます。T20は海外でも人気が有り多くのスタジオで導入され、ミュージシャンの写真で見ることができます。
1986年まで製造。
● 第2世代 T20RP(海外名:v2)1987~2006年
T20RPとなり2世代目になります。筐体は再設計。この時期に形状は完成し現在につながる形に。カップ上端がやや四角い形状。ラベルは白印刷でマークは黒。コードは片出しになりました。
海外では定価が12ドル。価格の高いモニターヘッドフォンの中でT20RPはお買い得なプライス。 ~ 人気スタジオヘッドフォンとなりました。高域特性がややロールオフし、低音と中域が強力化。音は抑え気味でややぼかした感じになったようです。
生産が中止していた時期もあるようで、1990年頃にはカタログから消えているのですが2000年には復活。
● 第3世代 T20RPmk2 (海外名:V3)2006年~2016年

2002年にT50RPが登場し、T20RPとほぼ同型となりました。
T20RPも、2006年に改良されT20RPmk2となっています。
確証が無いのですが、先にT50RPに搭載された新設計の正方形TPドライバーが搭載されているようです。
従来機との違いはカップのロゴ”FOSTEX”の文字が赤に変更。印刷は単にT20RP mk2
現在RPのラインナップはT20,40,50は、全体の形状が統一され密閉方式やパッドが違うだけ。~つまり以前の様な数字の番数が多いほど上位機というわけでは無くなりました。セミオープンのT50RP(mk)が特に人気が高いのですが、T20RPmk2も米国のAmazonや各種ショッピング、AV機器比較サイトや掲示板で評価は高め。
海外では2015年に第4世代となるT20RPmk3が登場しバトンを渡しています。
国内では現在でも販売される超ロングセラー機となっています。
> 国内販売モデル。T20RPmk2n
正確な発売日は不明ですが、価格コムで2007年8月に登録。
違いは、販売型番にnが尽きます。単に国内販売用の型番でしょう。
箱や本体は海外版と同じ。取扱説明書が日本語になります。
● 現行機 第4世代 T20RPmk3n (海外名:T20RPmk3)2015年~

昨年海外でRPシリーズはモデルチェンジ。国内では今年5月18日発売。
T20RPmk3となり第3世代。T40と50も同時に新型となりました。
外観やパッドの追加。チューニングなど、うまく現代に適応させた進化モデル。RPシリーズのファンや改造好き。新しくRPを購入するにも嬉しいモデル。
海外ではイギリスで2015年8月4日に発売。公式のスペックを見る限り、外観や価格は共通で筐体の密閉方式やパッドだけが違います。T20は引きつづきオープン(開放式)となりました。
外観はかなり格好良い。全体は、黒がベースとなり、エッジが効いているRPによく似合って精悍。バンドにFOSTEXのレタリング。コードはオレンジでアクセントになってます。

ヘッドバンドは合皮になり装着感が向上。ユニットのパッド部は、素材に低反発ウレタンを使った高級イヤーパッドを採用しています。
脱着式のケーブル構造は継承。 ただ付属品が増えて時流に対応。接続ケーブルが2種用意。1メートルのミニステレオケーブルの追加など、使い勝手も向上。 ~ 自分で変換アダプタを用意したり、新しいコードを買う必要が無くなりました。
付属品: Φ6.3mmステレオフォーン・ケーブル(3m)、Φ3.5mmステレオミニフォーン・ケーブル(1.2m)
● 音質面での比較
Mk2よりヘッドバンド部が進化しており、やや出過ぎだった低域や不快な響きが抑制され聴きやすくなってます。
T20、40、50RPシリーズの音質と違いを見てみましょう。
周波数特性のグラフを見るとT20RPが一番低音が出ています。高音域はT40と同様の波形で一番出ているのはT50RP。大ざっぱに言うと、中~高音域が良く出るT50RP。低域が良く出るT20RP。中域の波形が滑らかなT40RPとなっています。
データには出ない時間軸での反応と減衰もあります。音の好み。屋外での使用など用途でも選べます。
■ メーカー広告。海外公式での新RPシリーズのキャラクターは以下の通り。
・ 国内
T20RP mk3n=伸びのある高域、迫力のある低域。RP 振動板が奏でる比類なきRP サウンドを実現する開放型。
T40RP mk3n=スタジオワークに最適な密閉型。
・ 海外公式
Open (T20RPmk3) for “Deep Bass”,
Closed (T40RPmk3) for “Focused Bass”
Semi-Open (T50RPmk3) for “Flat and Clear” sound
> 国内販売モデル。T20RPmk3n
今年5月18日発表。
違いは販売型番にnが付与。単に国内販売用の型番と思われます。
価格は2万円+消費税
■ 参考: 使用機器, ネット通販各社 購入用リンク
各モデルの特長と購入用リンクを紹介します。
前半は本体。後半は周辺機器や用品を紹介
● 購入用リンクの使い方
商品写真と横の商品名リンクは、基本としてamazonへのリンク。
なお他のネット通販販売品を見たい場合は、
○○で検索をクリックすると、通販サイト内からの検索結果を表示します。
・Fostex オープンRPダイナミック型ヘッドホン T20RP mk3n
■ アクセサリー
便利な周辺機器を紹介します。
細かい部分ですが、これまではサービスパーツとして取り寄せだったTHシリーズ、TxxRPシリーズ用イヤーパッド、ケーブル等の交換パーツを市販品として発売されるようになりました。
■ リケーブル
● 純正
・ ET-RP1.2
Mk3シリーズに付属するケーブルの単体発売版。赤で格好いい。
ヘッドフォンと機器側がミニジャックでL型。そして純正と同じくロック用の爪がある。
ケーブルは柔らかめ。利点は純正の黒タイプより接触不良が減る。音質は普通で価格相応。
同型番でマイナーチェンジしているようで、T50RPMk3g発売の時に端子が金メッキ化されている。現行の単体発売版 ET-RP1.2も金メッキされている。
・ ET-RP3.0
Mk3シリーズに付属するケーブル。
オーディオ機器側が標準プラグ用です。
・TM110B
別売のミニ・フォーン・プラグ(1m)
T20RPmk2n/T40RPmk2n/T50RP用として発売され、現在は在庫が無くなってきてます。
● 社外品
・MOGAMI 2893 ステレオミニケーブル
抑えめの価格。長さも10cm~5mまで豊富に用意されています。
端子は金メッキ。ケーブルはMOGAMI2893使用。
・オヤイデ電気 oyaide HPC-MSL(ケーブル長 1.2m)
オヤイデ製ケーブルの中では価格が安め。
・MONSTER CABLE AI 800 MINI-3 ケーブル
モンスターケーブル
安いのですが、ケーブル根元の構造が弱め。購入者のレビューで断線が多いようです。
参考に紹介しておきますね。
・audio-technica GOLD LINK Fine オーディオケーブル ステレオミニ 1.0m AT544A
オーディオテクニカ製。チタン配合シース、OBDアダプター線材使用
1m、1.5m、3mがあります。
私も買いました。AV向きかな。T20RPに使うと音がハイ上がりです。
■ ヘッドフォンアダプタ
・ソニー ステレオミニプラグ⇔ステレオミニジャック PC-L42S
最近はめずらしくなったL型変換プラグ。大手メーカー製では、ソニー製があります。
私も購入しました。
楽天やヤフーで取り扱いがあります。
・audio-technica GOLD LINK Fine プラグアダプター ステレオ標準 - ステレオミニ AT519CS
オーディオテクニカ
標準プラグをミニジャックに変換。
● イヤーパッド
・ EX-EP-RPmk3
純正のイヤーパッド。MK3用。
対応機種 : T20RPmk3n/T40RPmk3n/T50RPmk3n
入り数 : 2枚1組
・【国内正規品】SHURE SRH840交換用 イヤーパッド(ペア) HPAEC840
海外のT20RPを改造している比較サイトのデータを見ると
このパッドが、T20RPの音響特性を上手く抑えて、周波数特性が一番フラットに近づいてます。
私も購入したら追記しますね。
・mimimamo スーパーストレッチヘッドホンカバー L
イヤーパッドのカバー。
保護と夏場に蒸れ防止にも使え、洗うことも可能
カラーも豊富で着せ替えが楽しめます。
直径:約90mm 厚さ:約0.5mm、本体:テンセル 89%、ポリウレタン11% ゴム:ナイロン89%、ポリウレタン11%
抗菌・防臭加工(SEK認証番号 288Z14)
■ まとめ
日本でやっとMK3シリーズがが出揃いました。
価格やデザインも同じで、音質の差だけが違いになります。どのモデルが人気が出るのか興味があるところです。
■ 更新情報
2019年7月2日 KRB amz lady-n用タグを修正
2019年03月12日 IKG削除
2017年6月29日 文章整理、区切り追加、自写真追加、画像追加。ヤフオクリンク削除
◆ 注意点
文章を分かりやすくするため、敬称を省いてる場合が有ります。
■ 関連 参考サイト
・FOSTEX ヘッドフォン
http://www.fostex.jp/headphone-earphone/
> T20RP
http://www.fostex.jp/products/t20rp/
>プレスリリース: ステレオヘッドホン T20RPmk3nとT40RPmk3n を発売します。
http://www.fostex.jp/20160428/8741/
>サービスパーツについて
http://www.fostex.jp/20160428/8791/
・周波数特性参考 CanJam at RMAF 2015 Showstopper: Fostex T50RP T40RP and T20RP Mk3 Line Refresh | InnerFidelity
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