NS-10M STUDIO / Trendy Wang
スタジオモニターの定番といえば、ヤマハのNS-10M。
略して「テンエム」や「テンモニ」とも呼ばれます。
1978年に発売されてプロと家庭用に人気を博した。いまだ録音スタジオで見かけるし、オークションでも人気が有る機種。
かって日本製品は、車やバイクに音響機器。多くの製品が世界を席巻した。
その中でも、NS-10Mが活躍した時期はあまりに長く際立っている。
今回は、私も使っているスピーカーなので、これから先も10Mを維持出来るメモ書きとパーツリスト。そして補助や代替え機検討用カタログとして作った。
NS-10Mシリーズの歴史や音質の感想。購入用リンクと便利な周辺機器を紹介。
■ YAMAHAとNS-10Mについて
現在のヤマハはピアノや楽器が有名でバイクや船外機も製造。かってはテニスやスキー,パソコン用品など。 幅広く手がける印象のヤマハですが、初めはオルガンの販売から歴史をスタートさせる。熱いスピリットは当初から有った。創業者は試作オルガンを担いで、箱根を越えて運んだ。
1950~60年代。ヤマハは新楽器エレクトーンに集中する。 そしてエレクトーン用に開発したスピーカーをHifi製品「NS(ナチュラルサウンド)スピーカー」として発売。 なかでもNS-1000シリーズが、国産高級機としては欧米で初めて高く評価されてヒットした。そして北欧の国営放送が導入する。日本でも人気が出た。
■ NS-10Mについて
NS-10Mは、20年近くもプロの現場で採用され続けてスタジオで白いウーハーが輝きを放ちました。オーディオブームの中で、ライバルを蹴落とし追撃も許さなかった機種。日本生まれのオーディオ機器が世界で長くヒットしためずらしい例です。
● 開発と歴史
NS-10Mは、1976年に発売されたスピーカーNS-451の次に開発。
設計者は仲村 昭(なかむら あきら)さん。~ NS-1000Mの開発者。NS-10Mは若者向けに低価格製品として開発。
1977年に発売。当時ではめずらしいペア販売で価格は5万円。
ヤマハの同クラス品から進化して、新たに密閉型を採用。デザインはNS-1000Mのミニチュア版の雰囲気で遊び心があるもの。 しかし筐体はブラックの樺リアルウッド突板仕上げで7工程塗装されて、三方留め構造,ユニットの左右対称配置などNS-1000譲りの本格内容で再現。レベルコントロールが廃止されるなど大胆な試みもされた。
筐体は12~15mm厚のパーチクルボードが接着された一体構造。ユニットは密閉式に合わせ新設計される。NS-451からカラーは引き継がれたがサイズは変更されて筐体に対して大きめの18㎝が採用。
特長は白いホワイトコーンで、ひとめで10Mと分かるポイント。平らな紙を円錐状にして作られ、押し出し成形やカーブ形状により周辺部での厚みの変化を無くし強度を保つことに成功。重さはなんと3.7g。 マグネットはアルニコからフェライトに変更。ツィーターは3.5cmソフトドームでカタログでは指で触って柔らかさをアピール。周波数特性は60Hz~20kHz。90dbと高能率で50Wの許容入力を持つ。
当時はデータにも現れてなかったが、実は応答速度が速く・歪みが少ないスピーカーの才能を持ちNS-10Mは生まれました。
● 発売
カタログは、裏表はおしゃれな部屋に置かれデザインと小ささを強調。
新製品なのに”ビッグベン”とあだ名を付けて伝統機だとアピール。「イギリスのビックベンの音が聞こえる場所に生まれた人が生粋のロンドン子と呼ばれるように、NS-10Mの音の洗礼を受けることが出来た人だけが、生粋の音楽ファン、オーディオマニアと呼ばれるはずです」と、今なら過剰広告と怒られそうなくらい自信満々。そして遂には「小さい割には、といった条件付の評価を拒絶した(中略)大型機とサイズが違うだけの小さなヤマハ」と力説。ヤマハの気合いが感じられる。
梱包箱の外観は、取っ手に”Big10M”と書かれており愛称にしたかったと伺える。箱はスペックと煽り文句で埋め尽くされ、側面は英字新聞風で見出しは「日本から来た小さな台風NS10M!」と楽しさ満載。
● 発売後、徐々に人気定番モデルとなる
オーディオ機器がまだ大きかった時代。NS-10Mは当時の主流よりふた回りは小さいが、都市化が進む日本家庭や音楽事情に上手く合った。お洒落なデザインと併せて人気が出る。
そして予想外の事態が起きる。プロの間でも10M人気が高まり、録音スタジオなど現場へ導入が進む。海外での評価と人気も上昇する。プロ用機を真似て作った家庭用機のNS-10Mが、プロに人気が出る面白い状況になります。
人気は製品へフィードバックされて、10Mのプロ向けやスタジオモデルが登場。スタジオで1970年代に人気だったオーラトーン5Cと10Mが仲良く並ぶ風景が見られる。 ~ 5CはラジオやTV。10Mが家庭用音響機器を再現するため選ばれた。そして80~90年代音楽でヒット作の多くが10Mを使用し作られる。
世界で人気が出て、プロの現場でも定番品となる。過剰と思われた広告をかなり現実化した。
10Mは、ほぼ10年置きに更新されながら販売。
そして2001年に生産終了を発表。販売終了の理由は木材パルプの調達が困難となり、ウーハー用コーンの安定供給が難しくなったとの理由。3月に販売終了。
シリーズ累計販売数は30万台以上。実に27年も販売された、異例のロングセラーモデルとなりました。
Antique recording studio / quinet
■ 使った感想と音質
Yamaha / ezhikoff
いまだプロの現場、スタジオでも10Mが置かれているのを見かけます。
人気の高さ故に中古品も人気。オークションでそれなりの価格で販売されてる。
NS-10M PROを私も所有。現役で使ってるので紹介しますね。
● 外観、大きさ
外観は半艶の黒で気品が有る。モノトーンでシンプルなデザインが美しい。前面ネットを装着すれば黒主体となり部屋に馴染ませやすい。
大きさはブックシェルフと呼ばれるサイズ。NS-10Mは現代では大きめだが、小型機で多いバスレフではなく、密閉型で奥行きも短いため省スペースで済む。設置自由度が高いのも10MがスタジオモニターやDTM用に人気な理由でしょう。 見た目は軽そうだが、実はやや重めで6㎏もあり、棚に置くのにはしっかりした台が必要。ちなみに私は、10Mを載せていた棚が地震に耐えられず壊れて、10Mが落下したことが有る。
● 音質
音質はよく言われるように軽く明るい音質。
強みは応答と停止が速く・歪みも少ない。中域にピークを持つため”耳の感度”が高い部分の印象が強い。良く言えばメリハリのあるはっきりした音。悪く言うと乾き,軽くうわずったような音。音場もややぼやけており定位もしっかりしたタイプでは無い。音量の変化に弱くて小音量になるに従い音像がぼやけ解像度が落ちる。
インピーダンスは8Ωで、低出力アンプでも良く鳴る。現代の小型デジタルアンプでも普通にお家やマンションで使うなら大丈夫。高域が良く出るツィーターと軽い音のウーハーそして密閉式で音もはっきりしてる。低音は密閉式ゆえ制限されており控えめ。
良い音を奏でる”響きの良い”スピーカーでは無い。同等の価格でもっと気持ちいい音が出せるスピーカーは存在する。しかし色付けしないのと反応速度の早さが10Mの強みでありモニターとして評価された。
10Mが向いている・強みを発揮する音楽を挙げるなら、10Mが活躍した80~90年代の音楽や歌でロックやポップスに合う。他は苦手なジャンルだらけで、クラシックや今の主流サウンドも苦手。音圧が高い音源や楽器とコーラスが多い等の情報量が多い音源は向いてない。 やはり10Mは「モニター用途」の特殊な環境下で人気がある機種。
10Mの面白い逸話では、2000年代に解析技術が進み”応答速度がとても速いスピーカーだった”とデータで明らかになっています。
Neve 8068 recording console / rockmixer
■ 使いこなし。
簡単に音質を良くするには。ネットを外すと嫌な響きや共振が無くなり、スッキリした音になる。
音質調整は、初期10Mで流行した『ツィーターの前にティッシュを貼る』定番お手軽チューンも有効。簡単な方法だが耳障りな高音を抑えられる。
使いこなしは非常にシビア。
音源の善し悪しや再生機器の不調も”もろに”出す。響きが無く反応速度が早いため、微かな不快音やノイズも直ぐ分かる。 また聴き疲れしやすい音質で、 聴ける時間はCD一枚や映画一本といった所。 現代の音楽環境でMP3やネット動画など低解像度音源には10Mの正直さが合致して聴くに堪えません。CD以上の音源をお勧めします。
ウーハー素材やツィーターの強い主張があり、イコライザーで日常用に調整出来るスピーカーでは無い。私自身も色んなアンプを使ったが、ベストと言える組み合わせは無い。BGM用途や緩く聴きたい・ながら聴き用なら別スピーカーとの使い分けをお勧め。
10Mに合わせるのなら、個人的には5万円以上のアンプをおすすめ。
■ メンテナンス
NS-10Mの良いところは、耐久性が高い。
普通に使えば塗装も剥げないし筐体も頑丈で長期使用に耐える。
スピーカーユニットは、繊維入りで同年代のウレタンエッジ型と比べ朽ちにくい。 弱点は白いウーファーでケント紙では無いか?と言われているが変色する。中古品はまず黄色くなってる。外観にこだわる場合や業者だとウレタンニスや漂白剤などで染めるようで、ネットでは10M用の着色剤も販売されてます。
パーツはプロ用機種だけありウーハーやツィーターの単体販売があった。新品を今だオークションなどで見かけるし、ヤマハの店で在庫が存在する場合もある。
長く使っている10Mで再生音が濁る、かすれる場合はユニットの固定ネジが緩んでいる場合が有る。全く締めてない場合はかなり緩んでるはず。ウーファーとツィーターを固定しているボルトを3㎜レンチで対角線上に締めていく。かなり音の透明感が戻り、音が締まる。
あとはネットの掃除。黒色で気付きにくいが、結構汚れて目詰まりするので布で拭く。ウーファーは柔らかいはたきやブラシ・綿棒で掃除。設置は、たまに位置を変えたり左右を入れ替えるのをお勧め。ウーファー軸が自重で下がったり、厚い塗装面がインシュレーターや塗装された棚に貼りつくのを防止できる。
● まとめ
モニター用途にお勧め。
良い音ではありません。でも機器のチェックや音源の確認には素晴らしいスピーカー。
デザインや人気に惹かれて音楽聴取用に購入を考えてる方には不向き。
車で例えるとAE86。 ~ かっては中古で数が多く入手や維持がし易かった。平凡で価格が安くシンプルな構造で走りに向いている。過給機のドーピングもないし、現代ハイブリッドカーのようなハイテクでもない。入門者の腕試しには最適。
魔法の機器ではない。性能は、40年前に発売されたスピーカーが現代製品に劣る場合があるのも当たりまえ。NS-10Mはオーディオ人気が高い時代にデザインとコストパフォーマンスで目立ちました。応答と制動の早さと歪みの少なさが強み。
強みと費用対効果や用途が理解できない、大型スピーカーの広帯域や安定感、良い響きを求める方には不向き。また現代の新素材を使い低能率でスペック重視の小型スピーカーとも違う。 この辺りがNS-10Mが時々、低評価を受ける部分でしょう。
ただし世界で普及した機種なので、オカルトじみた信仰が長く続くわけもなく、多くの人が10Mの音を聴いている。さらに30年近くライバルを蹴落としプロの現場で君臨し続けた実績を持つ。 実力が無ければ、変化の激しいオーディオ界ではとっくに消え去っているでしょう。 実際、各社から小型機でヒット作も幾つか出た。しかし国内で息の長い機種と言えば、現在も販売されるパイオニアのS-A4シリーズなどごく僅か。多くが退場して話題に上ることは無い。
10Mは魅力が有るスピーカーであり、機器や音源が上手く揃うと良い音で鳴るから不思議。
綺麗に鳴らそうとしたり,真価を発揮させようと接続機器に苦心したり。
素直な音が逆に飽きない。 長く付き合えるスピーカーです。
■ NS10Mシリーズと関連モデルの歴史 + 購入用リンク
NS-10Mシリーズの販売経緯と、関連性の高いスピーカー。
各モデルの特長と購入用リンクを紹介します。
前半は本体。後半は周辺機器や用品。
● 購入用リンクの使い方
商品写真と横の商品名リンクは、基本としてamazonへのリンク。
なお他のネット通販販売品を見たい場合は、
○○で検索をクリックすると、通販サイト内からの検索結果を表示。
価格相場は普通の状態で2~3万。
程度にこだわる方はショップのレストア品があります。
■ NS-10M 1977年~
初代10M。
左右対称で当時はめずらしいペア販売。
10Mは世界で大ヒットとなりました。現在でも流通量が多いモデル。
密閉式で2ウェイ。7工程の塗装を施したブラックの樺リアルウッド突板仕上げや三方留め構造。
低域には18cmコーン型ウーファー、マグネットはフェライト。高域はNS-690Ⅱゆずりの3.5cmソフトドーム型トゥイーター。アコーディオン型のヒダを持つタンジェリンエッジと一体設計。フェライトマグネットと耐熱銅クラッドアルミ線のボイスコイル採用。
初期型の特長はプレス式のスピーカー端子。背面に仕様書が貼りつけ。
初期型のみ耐入力が低いが、ヤマハ公式歴史解説によるとスペックに余裕を持たせたと推測されている。
再生周波数帯域 60Hz?20kHz
インピーダンス 8Ω
出力音圧レベル 90dB/W/m
定格入力 25W
最大入力 50W
外形寸法 幅215×高さ382×奥行199mm
重量 6kg
幅215×高さ382×奥行199mm
■ NS-10M 第2世代
ロングセラーを続けるNS-10M。
初のリニューアルでPRO, studio,10MCの3モデルが登場。
•NS-10M PRO 1987年
希望小売価格: 55000円
2代目モデル。進化点だがカタログによると、デジタルソースに対応する音のバランス設計、極太コード対応。耐入力の向上が主体。
変更はツィーターの周囲に吸音を目的とした5mm厚のリング型フェルト=アコースティック・アブソーバーを装着。当時ユーザーの間で10Mの高域調整にティッシュをツィーターに被せるテクニックが流行しており、メーカー側でも高音域のチューニングが行われた。
スピーカー端子がプッシュから大径ネジ式に変更。耐入力が向上。また各ユニットの固定ネジが六角ボルトに変更されて交換やメンテナスが容易になる。価格は5000円アップ。
後のモデルが防磁型やバスレフ型になるなど変更が増えて、別モデルといえる内容になる為に 10MとしてはPROが完成形と言えるモデル。
インピーダンス 8Ω
許容入力 60W
ミュージック許容入力 120W
外形寸法 幅215×高さ382×奥行199mm
重量 6kg
■ NS-10M studio 1987年 ~
PROのバリエーションで業務用モデル。
横置きで使用されることが多いスタジオ向けに作られた。開発は仲村昭さん。
正面と背面の文字表記とユニットが90度横向き。グリルネットは無しで取り付け穴も省略される。
中古市場での流通量は少ない。またプロ機への憧れから欲しがる人も多くて相場は高めです。
■ NS-10MC 1987年 ~
業務用モデル。
NS-10M studioを現場で扱いやすくした機種。
天吊り用ボルト穴とグリルネットが追加されて扱いやすくなった。グリルや筐体の文字も横向きで格好いい。
■ NS-10MX 第3世代 1993年~
希望小売価格: 64,000円(税抜) (2台)
AV機器の流行が始まる時代に合わせ10Mも防磁型となる。
磁気回路にはヤマハが独自に開発したA・MAG方式の防磁回路採用。
ツィーター・カバーは廃止された。
型式 2ウェイ・密閉型(防磁)
スピーカーユニット 18cmコーン型ウーファー、3.5cmソフトドーム型ツィーター
再生周波数帯域 60Hz~20kHz
インピーダンス 8Ω
許容入力 60W
最大入力 120W
出力音圧レベル 90dB/W.m
クロスオーバー周波数 2kHz
外形寸法(幅×高さ×奥行) 215W×382H×199Dmm
質量 7kg(1台)
付属品 スピーカーケーブル(4m)×2
■ NS-10MT 1995年~
希望小売価格: 34,000円(税抜) (1台)
NS-10Mの最終モデル。
当時流行していたシアターサウンド向けに作られたモデル。”T”の型番はシアターを指す。
デザインが左右共通となった。改良点は低音の増強と防磁が主体。型番は10Mでも変更が多くて、サイズが変更されバスレフとなり別系統といってもいいモデル。
サイズは奥行きが5.6㎝増加。 外見の特長は、ウーハーのセンターキャップが小径化。前面にバスレフポートが追加。ツィーターがセンター配置化、保護カバーは無くて口径は従来の3.5センチから3センチへ小径化。ユニットは防磁型へ変更されキャンセリングマグネットを使用。
仕様は再生周波数帯域が43Hz~30kHzに拡大。インピーダンスは従来の8Ωから6Ωへ。スピーカーターミナルが変更。内部はバスレフ化でウールの充填量が大きく減少された。
仕様
型式 2ウェイ・バスレフ型(防磁)
スピーカーユニット 18cmコーン型ウーファー、3cmソフトドーム型ツィーター
再生周波数帯域 43Hz~30kHz
インピーダンス 6Ω
許容入力 60W
最大入力 180W
出力音圧レベル 90dB/W.m
クロスオーバー周波数 2kHz
外形寸法(幅×高さ×奥行) 215W×382H×255Dmm
質量 7.0kg
付属品 スピーカーケーブル(4m)
■ NS-10MM 1997年発売
\18,000(2台1組)
10Mのミニチュア版。サイズが小さい可愛いモデル。
色は黒と明るいチェリーが用意された。
前面積がVHSビデオカセットと同じ大きさ。シアター用途と多チャンネルの時代に向けて作られました。防磁型スピーカーで低域に9㎝ウーハー使用。
シアタースピーカーでヤマハの人気が高かったため、お手軽なNS-10MMは結構人気があった。今でも中古販売店などで見かる。
使用ユニット 低域用:9cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型
周波数特性 100Hz?20kHz
出力音圧レベル 88dB/W/m
許容入力 40W
最大入力 100W
インピーダンス 6Ω
外形寸法 幅107×高さ191×奥行140mm
重量 1.5kg
カラーは、黒とチェリー。
■ NS-10MMT 2001年発売
「NS-10MMT」18,000円 「NS-C10MM」10,000円 ・メーカー紹介
10MMのバリエーション。シアター向けで、他に外観の似たセンタースピーカー「NS-C10MM」も販売。
バスレフとなり、ウーファーサスペンションが強化された。バナナプラグ対応スクリュータイプ金メッキ入力端子採用。壁掛け金具やスピーカーブラケット用ネジ穴も装備し、小型サイズを活かした幅広いセッティングに対応。
色は黒と明るいチェリー。価格は据え置き。
こちらも人気があったモデルで、今でも中古販売店などで見かけます。
型式 2ウェイ・バスレフ型(防磁)
スピーカーユニット 9cmコーン型ウーファー、2.5cmバランスドーム型ツイーター
再生周波数帯域 75Hz~33kHz
インピーダンス 6Ω
許容入力 40W
最大入力 100W
出力音圧レベル 88dB/2.83V,1m
クロスオーバー周波数 7kHz
外形寸法(幅×高さ×奥行) 107W×191H×141Dmm
質量 1.5kg(1台)
付属品 スピーカーケーブル(10m)×2、壁掛け用取付け金具
■ 後継機、似た機種
NS-10Mの血統を継ぐ機種を紹介。
■ HSシリーズ
10Mの置き換えに適したスピーカー。NS-10Mが生産終了し、後継に相当する時期に登場。”HS”はホームスタジオの略で、家庭での音楽制作とDTM向けに作られる。
• YAMAHA パワードモニタースピーカー HS50M
ヤマハ(Yamaha) 26,250円(1本) ・メーカー解説
形式は2ウェイのバスレフ型、アンプは内蔵タイプでバイアンプ仕様。ツィーターは1.9cm。ウーファーは12.7cm。背面にXLRとTRSフォーンジャック、音質調整用のイコライザー、トリム、ローカット装備。
2012年くらいまでは通販でも流通しており、現在でもたまに新品がある。
メーカー型番 : HS50M
様式 : バイアンプ2ウェイパワードスピーカー
クロスオーバー周波数 : 3kHz
総合周波数特性 : 55Hz-20kHz(-10dB)
サイズ : W165xH268xD222mm
• YAMAHA パワードモニタースピーカー HS80M
2005年10月 47,250円(1本)
メーカー解説:http://usa.yamaha.com/products/music-production/speakers/hs_series/hs80m/
2ウェイのバスレフ型でアンプ内蔵タイプ。ツィーターは2.5cm、ウーファーは20cm。サイズや出力以外の仕様は50Mとほぼ同じ。
メーカー型番 : HS80M
様式 : バイアンプ2ウェイパワードスピーカー
クロスオーバー周波数 : 2kHz
総合周波数特性 : 42Hz-20kHz(-10dB)
サイズ : W250×H390×D332mm
現在でも新品が流通。楽天のショップで定価販売中。
■ MSP STUDIOシリーズ
10Mの設計者が「NS-10Mのスタジオモニターの伝統を継ぐ」ために設計した。
それがパワードリファレンスモニターの”MSP STUDIOシリーズ”だ。2006年にリリース。
•MSP7 STUDIO
メーカー希望小売価格(税別):\63,000 現在はオープンプライス
「NS-10M STUDIO」を開発したヤマハスタジオモニター開発チームによるシリーズ最上位機種。周波数特性が大きく拡大されてハイレゾ相当化された。
バスレフ型パワードスピーカーで防磁型。入力はXLR端子のみ。
NS-10Mと前面がほぼ同じ大きさだが、奥行きが大きくなってます。
寸法(W×H×D)寸法(W×H×D) 218 x 330 x 235 mm
2ウェイバスレフ型バイアンプニアフィールドモニター
6.5インチコーンウーファー + 1インチチタンドームツイーター
45Hz-40kHz (-10dB)のフラットレスポンス / 130Wダイナミックパワー
31ポイントレベルコントローラー / LOW CUTスイッチ、HIGH /LOW TRIMを搭載
防磁設計
現在もカタログモデルとして販売中。
• YAMAHA MSP5 Studio ペア
メーカー希望小売価格(税別):\33,000 1本/ 現在はオープンプライス
パワードモニタースピーカー「MSP5A」の後継機種。
前面はA4サイズに近い大きさで、NS-10Mよりやや小さめ。奥行きはNS-10Mより2センチくらい大きめ。 寸法(W×H×D) 179 x 279 x 208 mm
MSP5はXLR端子とアンバランスのPhone端子を装備。
現在もカタログモデルとして販売中。
■ YAMAHA MSP3
1本・オープンプライス
MSPシリーズ譲りの性能を持つ小型モデル。
■ 関連機種
NS-10Mの源流にある機種。兄弟、派生機種
● NS-1000/NS-1000M(NS-1000 MONITOR) 1974年
YAMAHA NS-1000M 1974年発売 \108,000(1台、1978年頃)\119,000(1台、1993年頃)
NS-1000 発売時価格14万5000円/1台
[画像]NS-1000M
NS-10Mに多くの影響を与えた、ヤマハの代表モデルがNS-1000/M。
ヤマハがHifiオーディオを展開し初め、アンプを投入した翌年の1974年に登場。
系統としては1972年に発売されたNS-600と似た構成。世界初のピュアベリリウム振動板を採用する。広帯域で正確かつ明るい音は人気となる。世界で評価される日本スピーカーの先駆けとなりスウェーデン、フィンランド国営放送が導入。
バリエーションは、高級家庭機の位置づけで外観が木目で塗装と筐体が上質+サランネットを持つ1000、スタジオと家庭用で黒色の1000Mがある。1000はウーファーが違うのと重さが9Kgも重い。
改良版で型番が異なるNS-2000(1982年)やNS-1000X(1986年)が発売されるが、精悍な黒と価格で強みがある1000Mに人気が集中した。
1000Mは存在感を発し続け、なんと1997年まで発売されるロングセラーとなる。
やや高額な機種だが販売量が多かったため、今でも中古品は多い。
>1000M
>1000
■ NS-100M
\ 43,000(1台、1979年頃)
10Mと100の中間に相当するスピーカー。幅212×高さ416×奥行270mm
筐体は左右対称で6面一体構造。1000M同様の黒仕上げ。
低域は20cmでホワイトコーン。中域には5.5cmのソフトドーム型スコーカー、高域にはソフトドーム型トゥイーター3.0cm共に、6種の薬品を使用したコート剤とオリジナル布を使用。タンジェンシャルエッジごとの一体成型。
中、高域はレベル調整搭載。
外形寸法 幅276×高さ496×奥行251mm
重量 12kg
再生周波数帯域 50Hz?20000Hz
出力音圧レベル 90dB/W/m
インピーダンス 6Ω
定格入力 30W
最大入力 60W
■ NS-451
\ 26,500(1台、1978年頃)
発売時期やサイズや価格帯も近く、10Mにとっては兄貴のような存在。
451は入門,若年層向けに作られた小型モデル。サイズを小さくし、コンポとセット販売しやすいように低価格化された。
NS-10Mを箱に収めたような外観。 筐体は高密度パーティクルボードを使用しセンチュリーウォルナット仕上げ。白いウーハーを搭載して個性を出した。20㎝ウーハーで口径を大きくして、低価格でも高音質の提供に成功。低音の魅力を出すためにバスレフ化して、アルニコマグネットも採用した。
■ YAMAHA NS-E1000
\ 76,000(2台1組、1991年発売)
10Mよりはやや小ぶり。デザインがかっこよくて、進化版10Mといったところ。
用途はNS-V1000YSTやNS-C1000と組み合わせて使用するエフェクトスピーカー。
防磁型2ウェイ。特徴は前面が傾斜した筐体。低域は12センチ、高域はチタンにベリリウム蒸着ツィーター、磁気回路にアルニコ使用。
再生周波数帯域 80Hz~30kHz -10dB
幅160×高さ240×奥行190.4mm
[販売店無し]
■ NS-100
\ 68,000(2台1組、1999年7月発売)
幅212×高さ416×奥行270mm
10Mに似たサイズのスピーカー。シアター向けに作られたMCシリーズのスピーカーシステム。
低域は16cmで、ホワイトマイカを30%配合したPMD(Polymer Injected Mica Diaphragm)コーン。インジェクション成型で一体型です。高域は3cmシルクドームトゥイーター。 端子は金メッキ、バイワイアリング、バナナプラグ対応。
[販売店なし]
■ NS-1000MM
\30,000(2台1組、1999年頃)
NS-1000のミニチュアモデル。 当時流行していたAV用途でシアター向けに作られた小型機。ペアで3万円と買いやすい価格で登場した。
NS-10Mよりも一回り小さいサイズでしっかり3Way。
中古ではあまり見かけないが、私も欲しい。
■ アクセサリー
便利な周辺機器を紹介。
■ スタンド
• SPS-1(2台1組、\ 35,000)
10Mに合わせたスタンド。
[販売店無し]
• SPS-T10 (2台1組、\18,000)
10M-PROに合わせたスタンド。
■ ケーブル
ケーブルを変えて高音質に。
買いやすい価格で人気もあるケーブルを紹介します。
• Belden ベルデン(BELDEN) 8460 スピーカーケーブル
定番ケーブル。フラットな音が持ち味。
■ アンプ
• ヤマハ プリメインアンプ 192kHz/24bit ハイレゾ音源対応 シルバー A-S301(S)
ヤマハプリメインの現行機種で価格も安め。
ビンテージアンプのような綺麗な外観です。中身は最新でハイレゾにも対応。192kHz/24bit D/Aコンバーター内蔵。Phono(MM)を含む6系統のアナログ音声入力端子。システムリモコンを付属する。
低価格なアンプだが中身は結構詰まっている。日本メーカー製で多機能であり、お買い徳のあるアンプ。
カラー:黒、銀
■ 補修部品
新品は現在では珍しくなった。
たまにデッドストックや平行輸入品、中古品が出ます。
● ツィーター
• JA0518(JA051801)
初代用ツィーター。
•JA0518A(XC712AA0またはXC712AA1)
1987 NS-10MC、PROとSTUDIOモデル用
[在庫無し]
■ ウーファー
JA1801とJA1801Aバージョンはすべて NS10の間で実際に交換可能
• JA1801(JA180100)
1978年モデル用。1987 PROバージョンで使用可能
• JA1801A(XN542AA1)
1987 STUDIOバージョン用。PRO,NS-10MCでも使用可能。
[在庫無し]
■ その他
NS-10が新規や良品で欲しい方向け。
NS-10のレストア品、もしくはコンセプトやデザインを模したもの。
・ レストア品
NS-10Mのレストア品。バナナプラグになるなどカスタマイズもされている。
・Avantone 2WAYパッシブニアフィールドスピーカー ペア CLA-10
アヴァントーン(Avantone)
エンジニアのクリス・ロード・アルジ (Chris Lord-Alge)監修で、スタジオモニター向けに作られたスピーカー。NS-10Mにそっくりです。
クリス・ロード・アルジ氏はアメリカのミックス・エンジニアで、グラミー賞も獲った有名エンジニア。ジェームズブラウンやロッキーⅣ、プリンスのバッドマン、ローリングストーンズやブルーススプリングスティーン他、日本でも小室哲哉や安室奈美恵、Bz作品のミックスを担当するなど多くの有名アーティストと作品に関わっている。
■ あとがき
NS-10Mはヤマハにとっても大きな存在。
販売が終了しても小型で白いウーハーを持つデザインは、同社のスピーカーでいまだ多く使われる。
私は、今まで色々スピーカーを買ったり貰ってきた。~しかしサイズが大きすぎたり、用途がなくて結局持てあましたり。たくさんのスピーカーを捨ててきた。 その中で唯一生き残ってるスピーカーがNS-10Mです。
他に良い音のスピーカーも有ったが、不思議と10Mの音質は飽きません。使わずに部屋の片隅に置く時もあるけど、新しいオーディオを導入すると試聴はやはり10M。出して音を確認する。
そのたびに「出番ですか?やはり僕が必要なんですね」と、10Mの笑い声が聞こえるようです。そして、なんとなく使い始めるのを繰り返して、今も現役で鳴らしています。
・・・どうも、一生付き合うことになりそうですねぇ。(^_^;)
■ 更新情報
2022年02月16日 ヤマハと10Mの歴史を追記。ツィーター、ウーファーユニットの中古品リンクを追加。NS-100M検索追加。
2019年12月05日 文章、画像調整、レストア品、Avantone CLA-10追加
2019年03月12日 IKG削除
2018年04月08日 HRタグの高さ削除。
2017年08月20日 文章、画像調整、1000Mリンク先変更、ベルデンケーブル追加、ATケーブル、鎌ベイ削除
2017年04月27日 文章調整。NS-10MMT追加、NS-1000データと1000Mの違い追記、関連機を発売順に変更。10M PRO,MX画像追加。
2017年02月19日 NS-100M→100誤記修正、100M追加
2017年02月08日 文章調整 カタログ解説、発売時期と価格追加、NS-100&E1000追加、10MX,10MM画像追加
2016年11月15日 文章整理。歴史でプロ用項目をまとめる。10MXリンク追加、ヤフオク削除、HSM50、80,MSP5,8詳細追記。KRB:楽天リンク手動修正
2016年10月30日 文章修正と順序整理、重複文削除。メンテナス追記。NS-1000MM追加
2016年09月23日 NS-10M Studio、NS-10MT、KRBリンク追加.10M AZL画像追加。使いこなし、歴史項目、区切り線緑追加、自画像追加
2016年05月03日 作成
■ 関連 参考サイト
・ 一部製品の価格や発売時期について、価格コムやオーディオの足跡さんを参考にさせていただきました。
・ヤマハ
>プロダクトの歴史
http://jp.yamaha.com/about_yamaha/product_history/
10Mのカタログもリンクされています。
>スピーカーの歴史
http://jp.yamaha.com/products/audio-visual/special/hifi-history/speaker/
・ 日本音響家協会賞受賞者
http://www.seas.or.jp/office/seasaward.html
・ NS-10Mファンサイト(英語)
http://www.ns-10m.com/
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この記事へのコメント
MM
A to D
NS-100Mが、ポリコーンで銀色のようです。
10Mと名前やサイズ。価格帯が近いので派生機種として追記しました。
massa
NS-100Mは37年間所有していますが、10Mと1000Mの間に位置する、黒ボディ白ペーパーコーンの3ウェイ密閉型のモデルです。とても素直で良い音ですよ。
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/speaker/ns-100m.html
A to D
はじめまして。ご指摘ありがとうございます。記事の型番を修正、NS-100M追加させて頂きました。
NS-100Mを大事に所有されていらっしゃるのですね。100Mも喜んでると思います♪ ヤマハのスピーカーは不思議と長く付き合える魅力が有りますね。