長く愛されるヘッドフォン FOSTEX T20RPmk2の歴史と購入した感想 +購入用リンクや周辺機器

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日本の音響機器製造メーカーで、歴史が長いのがFORSTER。
そのフォースターが作る、ヘッドフォンで歴史が長いモデルがT20RPです。


 今日は現行機T20RPmk2の紹介。も多いのではないでしょうか?

 今回はT20RPの歴史と情報。そして私も”T20RPmk2”を購入したので、感想を紹介します。


■ FOSTEXと、T20RPmk2について


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 FOSTER(フォースター)は、日本の音響メーカーの老舗。特にスピーカーが強いメーカー。

50年代に世界で大ヒットしソニーの躍進のきっかけとなる、トランジスタラジオ「TR55」のスピーカーを作り薄型化に貢献しました。 

 その後も国内外の大手家電メーカーのスピーカーを製造。ソニー、ヤマハ、デノン、ノキア、Beats、ゼンハイザー。アップルの携帯機器iPhoneやIPodと数多くのヘッドフォンを作ってます。また車載スピーカーの取り扱いも世界10%と大きな会社。

 FOSTEXは、販売用の自社ブランドで自作スピーカーが有名。
最近では小型アンプやDACなど、幅広く販売を初め買い求めやすい価格と堅実な性能で人気が有ります。


 ■ T20シリーズの特長 


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  T20RPは、スタジオモニターでプロ用機器。
国内ではスタジオモニターでソニーのCD-900STが有名ですが、T20RPは世界で愛されている名機。

 FOSTEXのRPシリーズは、スタジオモニターらしく現在でも当時とほぼ同じ仕様で販売。音の基準として活躍し、買いやすい価格で一般にも人気。T20の外観はヘッドバンド部と2本の保持用ハンガー構成で一目で分かる形状。

 大きな特長がドライバー。
フォステクスヘッドフォンの中でRP搭載機は、RPシリーズと呼ばれT20も含まれます。“RP”(Regular Phase:全面駆動型)方式の平面振動板を採用。フォステクスはRPで、20以上の国際特許を持ちマイクやヘッドフォンに使用。

 RPシリーズの構造は、振動板の後ろにマグネットがコイルを挟む形で搭載。ダイナミック型のコイルに相当するプリント(印刷)コイルに電流を流し駆動する独特の形式。 ~ STAXに代表されるコンデンサー型とも違うタイプの平面板駆動方式。 従来のダイナミック型より、音の乱れが少なく追従性が高いのが特長。




 ● 世界の有名アーティストも使った!

 高耐久性も強み。逸話があります。
マイケルジャクソンは大音量で音楽を聴かれる方で、ウェストレイクスタジオでモニタースピーカーを発火させたりしたそうですが、 海外サイトのmjfranceのマイケルスレッドによると モニターヘッドフォンでもマイケルは大音量で聴くため、次々に破壊したそうです。AKGやゼンハイザーを試したけどダメ。煙を吹いて壊れる。 

そこで解決策はFOSTEXのT20となりました。マイケルが求めるサウンド。ボリュームに耐えたのです、 



 他のエピソードとしては、著名アーティストが結集した「We are the world」のPV。レイチャールズやスティビーワンダーがT20を使っています。


■ T20RPシリーズの歴史


Fostex T20RPMK2 Semi-Open Dynamic Studio Headphones for Professional Use ヘッドホン(イヤホン)【並行輸入品】

 国内サイトや公式でもあまり、しっかりした情報がないのですが、海外で人気が有るので情報を拾い出来るだけまとめてみました。

 T20は大きく分けて3世代有ります。
大体10年ごとに新型へ更新されています。



● 第一世代 T20 (海外名:v1)1977~86年

 初期型T20は1978年に登場。この時点でFostexにはT10,T20、T30、T50のラインナップが存在。

 T20現行機との違いは、ハンガー根本に社名とT20のラベル。ユニットは丸く、カップも平面で丸くなってます。コードは左右ユニット根本につきます。

優れた低域特性とフラットな中域。そして応答が落ちた後、20Khz辺りにピークを持つ。T20は海外でも人気が有り、多くのスタジオで導入。ミュージシャンの写真など使用されているのが見られます。

T20は、1986年まで製造。




● 第2世代 T20RP(海外名:v2)1987~2006年

 T20RPとなり2世代目になります。筐体は再設計。この時期に形状は完成し現在につながる形。

 カップ上端がやや四角い形状。ラベルは白印刷で、マークは黒。コードは片だしになりました。

 海外では定価が12ドル。価格の高いモニターヘッドフォンの中でT20RPはお買い得なプライス。 ~ 人気スタジオヘッドフォンとなりました。高域特性がややロールオフし、低音と中域が強力になりました。音は抑え気味でややぼかした感じになったようです。

 生産が中止していた時期があり1990年頃にはカタログから消えてますが、2000年には復活。



● 現行機 第3世代 T20RPmk2 (海外名:V3) 

FOSTEX ヘッドホン T20RPmk2n

 2002年にT50RPが登場し、T20RPとほぼ同型となりました。

T20RPも2006年に改良され、T20RPmk2となっています。
情報が少なく確証が無いのですが、先にT50RPに搭載された新設計の正方形TPドライバーが搭載されているようです。 

 従来機との違いは、カップのロゴ”FOSTEX”の文字が赤になりました。印刷は単にT20RP mk2。

 現在RPのラインナップはT20,40,50。全体の形状が統一され密閉方式やパッドが違うだけ。~つまり以前の様な数字の番数が多いほど上位機では無くなっています。
 
 セミオープンのT50RP(mk2)が特に人気が高い。そしてT20RPmk2も米国のAmazonや各種ショッピングサイトやAV機器比較サイトや掲示板で評価は高め。海外では2015年に第4世代となるT20RPmk3が登場。バトンを渡しています。

国内では現在でも販売される、超ロングセラー機となっています。


> 国内販売モデル。T20RPmk2n

 正確な発売日は不明ですが、価格コムで2007年8月に登録されています。
違いは型番にnが付加。箱や本体は海外版と同じ。取扱説明書が日本語になります。

■ 価格、スペック

 公式サイトからカタログ落ちしたので、スペックを記載しておきます。


標準価格:¥11,000(税込¥11,550) - 2012年頃

仕様
形式 :オープンRPダイナミック型
再生周波数帯域 :20〜30,000Hz
インピーダンス :50Ω
感度 :97dB/mW
最大入力 :2,000mW
本体質量 :約330g
ケーブル長 :3m(片出しタイプ)
プラグ :ステレオ標準プラグ


■ 購入レポート


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 感想。 外観や音質、買って良かった点を紹介。



■ 手元に届いて ~ 梱包状態。

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業務用機らしい淡泊な包装。
箱の中に、本体がビニール袋に包まれて入ってます。あとはヘッドフォンケーブルと取扱説明書のみ。



● 外観

 本体はやや大きめ。
プロ用で過度な装飾も無し。ハウジングは樹脂製。バンドはゴム製で中にスチールバンド入り。クッションは柔らかく触り心地は良い。




■ 使用開始。 付け心地、使用感

 かけ心地は普通。 バンドは大きく動き、髪が多い、頭の大きい人でも大丈夫。330グラムで重くもないが軽くもない。

 側圧はほんの少し高いがキツイほどではない。現行機はパットが変更されやや硬め。耳の中の空間が広いことと、フラット振動板で通常の密閉型ダイナミック型ヘッドフォンと比べると耳に音圧がかからず楽。

 気になるのは接続コードがコードが太く長く重い。こすれる音(タッチノイズ)が伝わり響jy。フラットケーブルや短いケーブルにリケーブをお勧め。音質の向上も望めます。


● 接続環境

 パソコンと接続し、チェックしました。
音源はネットラジオや、HDDに保存しているハイレゾ音源やCDから作成したWAVなどです。 


 ■ 音質について


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 お楽しみの音質。。
今回は、パソコンに繋いで色んな音源を聴いてみました。



 ● 全体の音質、雰囲気

 感想はとにかくフラット。
スタジオモニターですが、音楽専用と言うより生放送などで音をチェックしたり、音楽の仕上げで全体をチエックする様なヘッドフォン。

 T20の音質の傾向は、ヤマハの明るく軽い音に近い。実際、FOSTEXはヤマハやソニーのOEMをしており音の傾向が似ています。安定した音質でごまかしが無く、この辺りはモニタースピーカーで有名なNS-10Mと似ています。

 音場は狭め。音像が中央に寄っています。音もやや薄め。現代のヘッドフォンと比べると、全体として音の厚みが薄く音楽向きではありません。ダイナミックレンジも狭く感じます。

 高音域は良く出て、キラキラとした音や響きが聞こえる。独特の透明感を醸し出しています。周波数特性は、全体はカマボコ型と言われる緩い立ち上がりと穏やかな中高域。そして高音域で下がる。細かくいうと低音はフラットで伸びていき、中高域になってやや緩やかに落ち込む。3K~5KhZ辺りが一旦落ち込んだあと、6KHz辺りから10kHZ辺りへ波形が再び盛り上がる。

 音の分解能が良く、複数の楽器が鳴っても音が崩れす一つひとつの音が淡々とリズムを刻む。ドラムやベースの大きな音がしても、うねるような低い音の効果音や、高いリズム楽器の音などが崩れない。 例えばマイケルジャクソンのアルバムなどで、マイケルが後ろでコーラスとしてシャウトする声など。普通は他の音に埋もれますが、T20RPではくっきり聞こえる。

 モニターらしいところは録音状態が悪いCD音源の音割れや、機器のノイズなど聞こえるギリギリの超高域の音も拾う。中高音域が下がっている分、機器のノイズや質の悪いコードによる歪みが分かる。Mp3のような圧縮音源や低解像度の音だと、高音域の荒れやデジタルノイズが気になります。
 注意点として、T20RPはPC内蔵など出力の小さいアンプに不向き。平面タイプで音圧が低く、ボリュームも上げがちになります。スマホやパソコンのアンプでは最大にしても物足りない。~大きめで聴きたい場合は、出力が大きいアンプが必要。

 全体は、平面振動板独特の雰囲気を持ち、STAXの静電ヘッドフォンにもちょっぴり似てる感じ。聴き疲れしない音質。それでいてノイズなどのチェックも出来る性能を持つ。不思議な魅力が有ります。

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■ 残念なところ 気になる所

1 音質面は、中高音域がもっと出ていると、もっと評価されるヘッドフォンになったし、好む人が多そうなヘッドフォン。ボーカルがあまり目立たない&引っ込んだ感じが損してる。 ~ ただ、その部分は新型のT50RP Mk3で改善されています。やがて発売されるT20RP Mk3でも改善されるでしょう。

 オープンエアーで音の抜けは良いのですが、外の音が良く聞こえます。ユニットはプラのカップにRP振動板が収まるだけのシンプルな構造。外のプラカップ剛性が低く、かつユニット内の空間が低いびでハウジングが鳴る。プラスチックの響きがする。また外部の雑音に弱い。例えば、近くをトラックが通る場合なと、低周波で共鳴しハウジングが鳴る。

2 プロ用であり保証は無い。初期不良のみ。 

3 ケーブルは3Mと長め。機器側はステレオ標準サイズでTP20型はミニステレオ。 携帯音楽プレイヤーなどには変換プラグが必要。 ただしこちらも新型Mk3では改善されミニステレオになってます。

4 装着感は今の時代では良い部類では無く1~2時間の使用が限度。価格相応でしょう。わたしはヘッドバンドにウレタンとスポンジを貼って長時間使える様にしています。


■ 総評 


 外観も、音質も個性があり、好き嫌いが分かれるヘッドフォン。

 冷静で変化が少ない音はやはりモニター向き。
業務用かT20RP特有の刺激分の少ない冷静な音質を好むファン向けのヘッドフォン。

 T20Rは、穏やかでもあり中高域が下がる分、低域と高域が上がるような錯覚もあり独特な音質。この辺りが、緻密な音よりもはっきりした音を好む人が多い米国で長く人気が有る秘訣でしょう。

 家庭で使う場合は、刺激がないほどよい音質。音圧も低く聞き流すのに向いています。

価格からすると十分な性能。発売当時からの価格が続いてて割安感がある。現在では、mk3が海外で先行して発売され、国内でもT50RPmk3が発売され価格が倍くらいになってるけど、T20RPmk2は当時とほぼ同じ価格と音質を保つ貴重な存在。

 そして現代の国内メーカー製ヘッドフォンが味付けが多くなっており、低音を増量したり過度に高音が出る傾向にあるのを思えば、冷静な音を出すT20RPは貴重な存在でしょう。

世界の偉大なミュージシャンが使っていた系譜に触れられるというのも満足感が高い。
流行に左右されず、用途が定まっていることから一本持っておいて良い。長く使えるヘッドフォンです。



■ 参考: 使用機器, ネット通販各社 購入用リンク


 各モデルの特長と購入用リンクを紹介します。
前半は、本体。後半は周辺機器や用品を紹介

● 購入用リンクの使い方 

商品写真と、横の商品名リンクは、基本としてamazonへのリンクです。
なお、他のネット通販販売品を見たい場合は、
○○で検索をクリックすると、通販サイト内からの検索結果を表示します。




・FOSTEX ヘッドホン T20RPmk2n

FOSTEX ヘッドホン T20RPmk2n

 今回紹介した商品の購入用リンク。
末尾にnが付くのが日本国内向け。説明書が日本語になります。





■ 兄弟機

・ FOSTEX ヘッドホン T50RPmk3n

 上位機種。こちらもオープンエアー。デザインがやや派手になってます。
形状は、従来機と余り差異が無いのですが、そのぶん、新型ドライバーに力が入っています。 

 T20RPmk2やT40RPmk2よりも周波数特性の波形が滑らかになっており、T20RPである、3000~5000hZ辺りの落ち込みが少ない。 50RPmk3は綺麗なカマボコ型の波形に近づいています。
1メートルのミニステレオケーブルが追加されて、使い勝手も向上しています。

付属品;Φ6.3mmステレオフォーン・ケーブル(3m)×1、Φ3.5mmステレオミニフォーン・ケーブル(1.2m)×1





■ アクセサリー


 便利な周辺機器を紹介します。

■ リケーブル


・audio-technica GOLD LINK Fine オーディオケーブル ステレオミニ 1.0m AT544A

オーディオテクニカ製。チタン配合シース、OBDアダプター線材使用
1m、1.5m、3mがあります。

高音が良く出ます。
シールドがしっかりしており、パソコンのまわりで使うのに便利。





・MOGAMI 2893 ステレオミニケーブル

 抑えめの価格。長さも10cm~5mまで豊富に用意されています。
端子は金メッキ。ケーブルはMOGAMI2893使用。





・オヤイデ電気 oyaide HPC-MSL(ケーブル長 1.2m)

 オヤイデ製ケーブルの中では、価格が安め。





・MONSTER CABLE AI 800 MINI-3 ケーブル
モンスターケーブル

 安いがケーブル根元の構造が弱め。購入者のレビューで断線が多いようです。
参考に紹介しておきますね。






● 純正


・TM110B

別売のミニ・フォーン・プラグ(1m)





・ヘッドフォンケーブル

標準ヘッドホン・ケーブル。
フォステクスRPヘッドホンT20RPmk2n/T40RPmk2n/T50RP用付属

[売り切れ]


■ ヘッドフォンアダプタ



・audio-technica GOLD LINK Fine プラグアダプター ステレオ標準 - ステレオミニ AT519CS
オーディオテクニカ

 標準プラグをミニジャックに変換。





・ソニー ステレオミニプラグ⇔ステレオミニジャック PC-L42S

 最近は、めずらしくなったL型変換プラグ。
大手メーカー製では、ソニー製があります。
私も購入しましたが、使えるんですけど、ヘッドフォン本体の差し込み部分のミゾの高さと、ジャック側の段の高さがギリギリ合う。接触不良になる場合があります。





● イヤーパッド

・T-20RPmk2n用イヤーパット(2個)

品切れでしたが、再入荷しています。

 

・【国内正規品】SHURE SRH840交換用 イヤーパッド(ペア) HPAEC840

 海外のT20RPを改造している比較サイトのデータを見ると
このパッドが、T20RPの音響特性を上手く抑えて、周波数特性が一番フラットに近づいているようです。
私も、購入したら追記しますね。





・mimimamo スーパーストレッチヘッドホンカバー L

 T20対応。
イヤーパッドのカバー。
保護と、夏場に蒸れ防止にも使え、洗うことも可能
カラーも豊富で着せ替えが楽しめます。

直径:約90mm 厚さ:約0.5mm、本体:テンセル 89%、ポリウレタン11% ゴム:ナイロン89%、ポリウレタン11% 抗菌・防臭加工






■ 更新情報


2017年05月14日 文章整理。自画像削除、KRBヤフオクリンク削除
2016年11月05日 文章修正、区切り線追加ヤフオクリンク削除、イヤーパッド追加、スペックを追加
2016年09月16日 自画像追加
2016年01月27日 文章整理
2015年11月20日 周辺機器追加
2015年11月19日 感想、情報追加

◆ 注意点

 文章を分かりやすくするため、敬称を省いてる場合が有ります。
 感想については、今回、私の購入した個体だけでの感想。 ~経年変化で音が変化した場合は、感想を追記しますね。

 写真の著作権は私にあります。無断使用禁止。


■ 関連 参考サイト

・FOSTEX ヘッドフォン
http://www.fostex.jp/headphone-earphone/

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