
雨の降る時期になると、思い出すのが映画「クロウ」主人公の言葉。
「いつか晴れる日が来る」。
私がブルーレイドライブを買って、真っ先に見たい映画は「クロウ」でした。
今日は、映画「クロウ/飛翔伝説」の見所や感想を紹介。
■ クロウ/飛翔伝説 とは
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クロウ/飛翔伝説の原作はコミック。
映画は1994年5月にアメリカで公開。日本も同年9月に公開。
監督は、後に「ダークシティ」や「アイ,ロボット」で有名になったアレックス・プロヤス。
主演はブランドン・リーでブルースリーの長男。

クロウ/飛翔伝説は、奇妙な経緯を辿り公開された映画。銃撃シーン撮影時に主演リーが事故死しています。アメリカではステージ用に改造された実銃が使えます。事故は空砲に実弾が混在していた、ステージガンにするための改造用チョーク(詰め物)が飛び出した、など言われる。
著名人の子で、人気上昇中のリーの事故は世界に衝撃を与えました。撮影はほぼ終えておりCGを使用し映画公開。世界でヒット作が公開され話題になった時、既に事故死していた父ブルース・リーと似た運命を辿ります。

■ 映画のあらすじ
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場所は荒廃した近未来都市デトロイト。世界は暗く、雨と闇に包まれる。
ハロウィンの前日は「悪魔の夜」と呼ばれる、悪党が街を燃やし破壊する日と化していた。そして結婚式を控えた、主人公エリックと婚約者シェリーが暴漢に殺される。
しかし主人公エリックは、黄泉の世界と現実の世界をつなぐカラスの力を得て不死の復讐者になる。カラスは亡くなった人を黄泉の国に連れて行く案内人だけど、不幸な死を迎えて安らがない魂を地上に連れ戻すのです。
陰惨な話に見えますが、実際には非常にバランスの良い映画。
主人公カップルを慕いいつも遊びに来ていた少女「サラ」、主人公に味方する警官アルブレヒトや脇役のホットドッグ売りのおじさん。魅力有るキャラがまわりを彩り主人公を助けます
悪党は”ヒャッハー”なお馬鹿さんばかり。悪の総領も妙な美学や信念を持っており、妙に憎めない。
■ クロウの魅力解説。
クロウのお勧め部分を紹介します。
■ テーマ。復讐と愛。
まずテーマ。冒頭の少女のナレーションから始まり、生きるとは何か?愛とは何か問いかける。
主人公の目的は恋人を殺した連中への復讐譚。この映画が切ないのは、冒頭で主人公と婚約者は死んでおり『復讐しても報われない』のが見る物に分かっているところ。主人公は不死として蘇っても恋人はいない”復讐しても恋人は生き返らない。時間も戻らない”悲しい状態で話は進む。エリック自身も気付いており、終盤で結婚指輪を少女にプレゼントし『死を受け止め諦めている』と分かります。
■ 構成の魅力
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。
上手いのは構成。 婚約者と自分の命を奪った悪党を倒しつつ、主人公側の少女や警官と交流を重ねる。人間として成長し悪の統括者に近く。 悪側もエリックの動きを察しエリックの力を見抜く。 そして最後に激突。
雰囲気はテレビシリーズを上手に一本にまとめスピード感を増した構成。人情話を間に挟む緩急の作りで繰り返しのリズムが心地よい。アクションシーンや爆破シーン、見せ場の配置などテンポの良さが光る。
アクションは、主人公を演じるブランドンの静動のコントラストが見事。
ただの会話シーンは愛嬌のある感じでも一旦アクションシーンに切り替わると 鍛えられた肉体が生むシャープな動きは文句なしの格好良さ。
● 人間としての魅力。気づき。

そして内面での成長。 主人公が報われないと分かっていても見てしまうのは構成の巧さもあるけど、「人間回帰」のドラマだからでしょう。 残忍な復讐を重ねるか、悪党に恋人を殺した理由を話させたり降伏の時間を与え見逃す振りをしたり。 証拠が無い内は手を下さないし会心の猶予を与え、単なる復讐鬼ではない。
映画の序盤は真人間と言えないエリック。しかし自分を慕う人間や味方と付き合う内に恋人が生きている頃には感じなかった「愛情」や「優しさ」を手に入れていく。
自分の生活を犠牲にしてでも、エリックの殺された事件を追う警官アルブレヒトに、エリックは呟く。
「生きてる頃は、シェリーが大事にしていたものがくだらないものに思えた・・・だけど今ならシェリーの言ってることが分かる。・・・くだらないものなんて、何ひとつ無い」 ~ 恋人が大事にしていた大切なものを知る。人間としての優しさが出てきます。
■ クロウで良いシーン
主人公エリックは難しい話はしない。~誰もが胸に持つ、持っていて欲しい愛情や正義感を言うだけ。
言う事を聞かない、会心の余地が無い悪党は燃やす、建物ごと爆破、車ごと海にたたき落とす。 容赦なく叩きのめし切り捨てる。しかし純真な人間達には「煙草は身体に毒だ」「ドラッグやめろ」。当たり前だけど人が知らずに填る罠から救いだし、人間性を固めていく。

Fried eggs / Japanexperterna.se
私が好きなのはエリックが、孤独な少女サラを救うシーン。
サラの母親”ダーラ”は、酒場に勤め悪党に給仕。そしてドラッグと背徳に溺れている。そんな母親でも子の母。エリックは道を誤っていると気付かせ、淡々と親の役目と立場を諭す。「 子どもにとって親は神と全く同じ存在なんだ。 ドラッグは身体に良くない。・・・あんたの娘は、いつもあんたの帰りを待っている。 」
母親は変わろうと努力を始める。家に帰り娘サラの朝食を作り”真人間”になろうとする。その様子サラは「いい人になる薬でも飲んだの?ダーラ」と他人のように蔑む。
母親は「やっぱり、あたしには母親なんて無理なのよ」と怒り諦めるけど、娘は母が目玉焼きをゴミ箱に捨てるのを止める。そして「両方焼いて。両方焼くのが好きなの・・”ママ”」と言う。母と娘は仲良く並んで楽しそうに、フライパンの中の目玉焼きをひっくり返す。
~映画での愛情表現は色々あるでしょう。このシーンでは愛してると言ったり、抱きしめるわけでもない。子の好物も知らない母親だけど、娘はやはり母が大好き。今まですっとすれ違ってきたけどやっと邂逅し、お互いに近ずく。 母子の互いの愛情と努力が胸を打つ。
■ そして結末へ。

復讐と周りの人間との交流を重ねながら、作品は終盤へ。
悪は主人公の弱点を見抜いておりサラを誘拐します。エリックは悪の総領の元へ向かい激突。 そして迎える結末・・
Jane Siberryの歌うエンディングテーマである「It Can't Rain All The Time」と重なるシーンやセリフ。
「 止まない雨はない・・・・ いつか晴れの日が来る」
小さく小さく積み上げてきた、行動や言葉。気づきが花咲く。哀しみの暗雲と不幸の雨の中でも、悪を追い詰めた。必死にもがき続けたエリックが最後に手にする”晴れの日”。感動するシーンです。
■ 作品のキー。 クロウの世界を楽しむための知識
エリックの能力に、相手や物に触れると「その人が目にした景色。記憶」を受け渡し出来る力がある。
これは冒頭で飼い猫「ガブリエル」を拾い上げるところから発揮される。能力を理解していると 主人公の行動が理解しやすく味わい深くなる。
能力は、犯人を追い詰めていくための糸口と、彼女の亡骸の傍に居てくれた警官の様子を知ったり、人の気持ちに気付く。序盤ではただの復讐者でミュージシャンのエリックが、人間として欠けていた部分を育てるきっかけになります。
そして、エリックは自分は幸せになれなくても警官の煙草は止めさせ、サラとダーラは幸せにしました。
■ 関連商品

クロウは古い作品であり見る方法が少ない。DVDやBlu-rayのメディア版が手に入れにくくなってます。
気になる方のために紹介しますね。
● 現在、作品を観る方法
現在、作品を見る方法はDVDやBlu-ray。
ブルーレイは解像度が上がりました。クロウは全体に暗めで撮影されてますが、BD版となり暗部の見通しが向上。音質も上がり新鮮みを持って見られる。 実際私は、初めてクロウを見た時くらいの感動を受け、見ている途中で泣けました。
クロウはとても吹き替えの翻訳と声優の選択が良い。観る時は吹き替えがオススメ。
■ クロウ -飛翔伝説- [Blu-ray]4Kリマスター。
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なんと!新しく4K版が発売されました。
もうBlu-ray版すら手に入れにくくなってたので嬉しいリリース。
ディスクは2枚組。特典はうれしいことにTV放映版の吹き替えが追加。日本語版予告、TVスポットそして未公開シーンなど充実。吹き替えは新規収録にテレ東版(1997年9月25日初回放送「木曜洋画劇場」版)版が追加。
日本語字幕翻訳:菊地浩司 ソフト版 吹替演出:清水勝則/吹替翻訳:武満真樹
テレビ東京系「木曜洋画劇場」版 吹替演出:清水勝則/吹替翻訳:武満真樹
■ クロウ -飛翔伝説- [Blu-ray]
Blu-ray版は6年前の発売で、なかなか手に入れるのは難しくなってます。
今はプレミア気味。
■ クロウ Blu-rayツインパック (初回限定生産)
2008年発売
クロウの1である飛翔伝説と、4にあたる作品のパック。
■ クロウ - 飛翔伝説 - DTSエディション [DVD]
2005年と2008年に発売。手に入れるのは難しそう。
■ クロウ - 飛翔伝説 - コレクターズ・ボックス (完全限定生産) [DVD]
2005年発売。
本編と特典ディスク。特典はサントラCD、フィギュア、写真。
現在はプレミアがついてます。
■ サウンドトラック
・クロウ ~飛翔伝説~
サントラのお買い得価格版。昨年発売されました。
旧版は私も持ってます。サントラというより劇中歌集ですが
クロウの場合は歌がBGMがわりに上手に使われているので充分満足出来るアルバム。音質も良い。
■ 原作
■ ポスター
■ 終わりに
主人公の言葉やけなげなサラの魅力。印象に残るシーン。
観た後もゆっくりと心に染みいり、また観たくなる映画。
身体を大事に、人に優しく。当たり前だけど忘れがちな大切なことに気づく力を貰えます。
自分の人生に小さくても影響を与え力を付けてくれる。それが良い映画ではないでしょうか?
あなたもぜひ観てね。とてもオススメ。

The Crow / domwlive
■ 更新情報
2017年6月7日 文章調整。画像追加、4Kリマスター、デラックス版追加、KRB古いリンクを修正
■ 参考、関連サイト