野球に余り詳しくない人でも知っているのが、沢村栄治。
プロ野球の創世時代に活躍した投手だ。
豪快な足上げフォームと剛速球は伝説であり、誰もが一度は写真を見たことがあるはず。
だが沢村栄治の全盛期は、写真や練習風景の動画が残るのみ。プレイ中の鮮明な動画が残ってないと言われていた。
しかしなんと、沢村のプレイ動画が残っていたと明らかになった。
■ 沢村栄治選手について

沢村栄治は1917年三重県生まれ。プロ野球選手として活躍した。
有名な逸話では、 日米対抗野球で来日したメジャー相手に登板。そしてベーブルースを三振にした。その後は、アメリカ遠征でも好成績を収める。
そして新たに開設された日本プロ野球チームのジャイアンツ前身である「大日本東京野球倶楽部」に入団。プロリーグが開始されると、史上初のノーヒットノーランを達成した。巨人に勝利をもたらし初のMVPに輝く。
しかし戦争で何度も戦地に送られ、重い手榴弾を投げて肩を痛めてしまう。野球に戻るが、成績が悪くなり解雇された。
そして野球引退後に3度目の徴兵を受ける。戦地フィリピンに向かう沢村の乗った輸送船は、台湾沖で米軍の魚雷攻撃に遭い撃沈。沢村は27才の若さで亡くなる。
・死後の評価
戦場に散った悲惨な最期も、野球で遺した数多くの伝説と共に心を打ちます。
戦後、沢村栄治の背番号14は巨人で初めての永久欠番となる。また沢村栄治賞が設立された。年度ごとに最優秀投手が選ばれている。
沢村の逸話や人生は、伝記や野球の書籍でも取り上げられることが多い。作品では、マンガ「栄光なき天才たち」やアニメ版の巨人の星などで沢村栄治が紹介されている。
■ 沢村栄治を撮影した動画について
さて、今回話題の沢村を撮影した動画です。
私が知ったのは、昨日NHKで放送されたクローズアップ現代から。
番組「幻の“日本シリーズ” ~フィルムからよみがえる選手たち~」によると、映像はフィルムで2分半ほど。撮影は繁岡ケンイチが趣味で取られていた映像。
フィルムを見つけた孫が「貴重なものかも」と考える。そしてフィルムの内容を確認するため、インターネットで公開したところノンフィクション作家の森田 創が目にとめる。州崎球場のドキュメント『洲崎球場のポール際 プロ野球の「聖地」に輝いた一瞬の光』を書かれていた森田は、昭和11年の巨人とタイガースの優勝決定戦ではないかと推測。
情報を元にNHKがフィルムを復元する。デジタル処理で高精細化して、スコアやゼッケンが分かるようになりました。その後、野球殿堂博物館のスタッフと鑑定し、映像のプレイ内容と当時のスコアを検証し断定されました。
■ 映像について
芭蕉は洲崎球場。昭和11年12月11日の東京ジャイアンツVS大阪タイガースの優勝決定戦だ。当時の球場や観客の盛り上がりも伝わる貴重な映像。
”洲崎球場は、満潮時には外野席に潮が迫った”という話どおりに、映像のグラウンド後方には海が迫り、実際に外野席は空けられていた。また、試合終了後には、座布団がグラウンドに飛び交う熱狂ぶりだ。
フィルムは総時間が2分ほど。 カットは1~2秒でシーンが切り替わる丁寧で細かい撮影でしたが、なんとその中に沢村選手の投球するシーンが映っていたのです!
フォームは、言われるような大胆な足上げフォームではないが、投球後に真っ直ぐにマウンドに大きく踏み込む足。とても格好いい映像です。
■ 私の感じたこと

Baseball / andrewmalone
私は今回 沢村の全盛期の映像を見て、
伝説の投手を観られた幸運と、失わせた当時の社会情勢を考えた。
今、日本の世情は沢村選手が活躍した時代のように怪しい。
政府や政治家は、国民の意見も聞かずに次々に変更を重ねる。原発の再稼働や消費税の導入。最近でも年金データ流出など、不手際や失敗が反対があるにもかかわらず、国民に番号をつけるマイナンバー制度を推進して国民の管理を進めようとする。
防衛では、武力行使の定義変更や、防衛大臣下で自衛隊官僚を支持する体制を変更しようとする。 政治家や自衛隊の権限がどんど増えていき、危険な状態だ。
かって沢村が活躍した時代は、日本が軍隊主体となり戦争へ突き進む。
そして沢村は犠牲になりました。
沢村を 記憶に留めること。そして今の世を”かって戦争に向かった時代”と同じに絶対にしてはいけない、立ち向かい声を上げるべきだ。
私たちみんなを。 そして現代にいるはずの、多くの沢村のような才能を持つ者を守るために。
■ 更新情報
2023年7月10日 文章調整。敬称略、さん付けを辞めた。
2018年2月20日 動画、画像位置調整
■ 参考、引用、関連サイト
・NHK 2015年06月10日 (水) クローズアップ現代 沢村投手の全力投球
・洲崎球場のポール際 プロ野球の「聖地」に輝いた一瞬の光
今回の発見に活躍された森田 創氏の本
・栄光なき天才たち 9 (ヤングジャンプコミックス)
集英社 , 森田 信吾
沢村の話が収められる。
全盛期のメジャー相手の活躍から最期までが描かれる。
印象に残るのは、戦争へと向かい暗雲垂れ込める中で球界にも圧力がかかり、敵性語となったベースボール用語が禁じられた。沢村が「ストライク言うてみい」と言いながら投げ続ける姿は涙もの。

